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公開 2015年05月20日  

なぜ母乳育児は難しくなってしまうのか?

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哺乳動物の本能である母乳育児。妊娠中には「母乳で育てたい」と考えているママが多いものの、現状として5カ月時点で母乳育児を続けているママは半数程度。なぜ母乳育児は難しくなってしまうのか…考えてみたいと思います。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11017003685

母乳で育てたい

妊婦さんに「赤ちゃんを母乳で育てたいですか?」と尋ねると、多くの妊婦さんが「母乳で育てたい」と答えます。しかし、実際に母乳で育てられる人が多いわけではありません。

母乳育児がうまくいかない理由

「母乳で育てたかったのにミルクになった」理由として、「うまく飲ませられない」「吸わせると痛い」が上位を占めており、「赤ちゃんが生まれて抱っこしたら、パクッと吸いついて溢れるように母乳が出る」イメージをもっている方が多いことを指しています。また「母乳の出が悪いから」母乳育児がうまくいかないと感じている多くいらっしゃいます。



つい忘れがちですが、人間は哺乳動物。母乳育児は「母乳の出がよい人だけができる特別なこと」ではなく、「本来、誰もが持っている力」です。野生の動物は当たり前のように母乳育児ですし、犬や猫もそうです。



母乳育児は、大変で痛いことではなく、本来「心地よくて気持ちいいこと」なのです。世界中で粉ミルクが使われるようになったのは1960年代。人類の長い歴史から考えると、まだまだ最近のこと。



そして、粉ミルクという商品が存在しない頃の人々は、今よりもっと快適で、今より栄養価の高い食事を摂って暮らしていたから母乳がよく出ていたわけでもありません。

なぜ、母乳育児が当然ではなくなってきたのか

ミルクという商品が存在する前までは当然のように行っていた母乳育児が、なぜ現在は当然ではなくなってきたのか。



さまざまな理由がありますが、私は「経験値」<「情報量」が理由のひとつではないかと考えています。「母乳育児をしている人を見かけたことがない」「母乳がよく出ているとはどういう状態なのか知らない」にも関わらず、ネットや本には情報があふれかえっています。



60年前に比べれば子どもの数自体も減っています。経験していないことを頭で考えれば考えるほど混乱するのは当然のこと。知識や情報が増えるほど難しく感じてしまいます。



犬や猫は「○○分吸わせるべき」「○○時間くらい寝るはず」もしくは「そろそろ搾乳しよう」などとは考えてはいません。「なんとなく」「てきとうに」「らくちんに」吸わせているだけです。

母乳は、たくさん吸われたら出るようになる

母乳は、たくさん吸われたら出るようになります。出るようになるのを待ってミルクを与え続けていたら、出るタイミングが来ないかもしれません。



そもそも「これが出ている感覚!」を知らないままで続けていたら、母乳がたっぷり出るようになっているのに気がつかないこともあります。実際に、たっぷり母乳が出ているにもかかわらず「出が悪い」と悩んでいる方に多く出会います。



今まで助産師としてかかわらせていただいた「母乳の出が悪いから母乳育児がうまくいかない」と悩んでいる方のうち、実際に本当に出が悪いケースは少数派。そして「母乳の出が悪いように感じているが実際はよく出ている」ケースのほうが圧倒的に多いというのが事実です。

悩んだり、迷ったら相談を

母乳育児は哺乳類の本能。「○○するべき」「○○しなくてはいけない」と考えるのではなく「吸わせたいから」「だっこしたいから」で始めた方が楽しいはず。



「うまく吸わせられない」「吸わせると痛い」対策は、助産師など客観的に考えてくれえる人に相談することをおすすめします。



そして「ミルク育児」の場合も、「育児はこれが正解」はひとつもありません。それは「母乳を飲ませたか」という結果ではなく「育児を頑張った」プロセスそのものが、母子にとって宝物の体験であることはまちがいないからです。

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