「お昼には帰ってくるねー」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
勢いよく飛び出していく背中に声をかけ、手を振った。
さて、やらなきゃいけないことはたくさんある。たまっていた洗濯物を終わらせて、布団も干して。そろそろ真冬のコートもクリーニングに出しておきたい。
「まずは掃除から」と、私は物置から掃除機を取り出した。朝昼はまだまだ冷えるけれど、日中はもうだいぶ暖かい。
家中の窓を開け放して、全ての部屋に掃除機をかけて回る。リビングとキッチンを済ませ、次に唯の部屋に入る。
部屋はわりと片づいていた。
壁には、4月から着る中学の制服がかけられている。しばらくの間それを眺めてから、私は掃除機のコンセントを入れようとしゃがみ込む。
なんだこれ?
公開 2018年08月10日
親より友達。もう、そういう年頃なんだね。/娘のトースト 1話(2ページ目)
25,646 View小学生最後の春休み。友達と遊びに出かけた唯を見送り、部屋の片付けをはじめた母の庸子は、一枚の紙くずを拾う…。
※ この記事は2024年11月08日に再公開された記事です。
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