ちゃんと唯と話をしなくちゃ。
手紙発見から二日目の朝、目を覚まし、ベッドに寝転がったまま、心を決める。
いつもより丁寧に朝食をつくって、唯を起こそう。
そう思いながらリビングにいくと、そこに唯がいた。「うわ」と思わず声が出たけれど、唯はテーブルに向かって座ったまま、こちらを見ない。
自分で用意したのだろう。トーストと牛乳だけの朝食を食べ終わるところだった。
「起きてたんだ、早いね。おはよう」
私が声をかけると、こちらを見ないまま「あのさ」と言う。
「目玉焼きとかスープとか、もういらないから。自分でトースト焼いて食べるから。中学に行って、部活の朝練とかあったら、これからママと時間合わせるのも大変じゃん?自分のは自分でできるから、別々でいいよ、もう」
そう言うと、私が何か言う前に立ち上がり、皿とコップをシンクに置いて、さっさと自分の部屋に行こうとする。
公開 2018年08月17日
ああ、もう。あんなこと言うべきじゃなかった。/ 娘のトースト 2話(2ページ目)
23,170 View唯の部屋に落ちていた書き損じの手紙を読んでしまい、それを唯に見つかってしまった母の庸子。その時、思わず言った一言が唯を傷つけてしまう。
※ この記事は2024年11月02日に再公開された記事です。
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連載「娘のトースト」
#2
狩野ワカ
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