「そろそろ母の日で忙しくなるし、悩むのもほどほどにしないとね。一度、正直に話し合うのが一番かな」
中村さんは何度か頷きながら、「そっか、母の日か。じゃあ、今日はカーネーションをいただいていこうかな」と、お茶を飲みほした。
「いつもありがとうございます」
いえいえ、と言って、中村さんは片づけをはじめる。
私もテーブルの上の書類をしまおうと、手を伸ばす。
「そういえば、唯ちゃんの宝箱ってありましたね」
思いついたように中村さんが言った。
え、と私が手を止めると、面白そうな顔で続ける。
「ほら、小さい頃、唯ちゃんが隠していた箱。大事なものをたくさん入れてた」
「ああ、あったあった。なんか、ガラクタばかり入ってたヤツでしょう?」
公開 2018年08月24日
検索、検索、検索…。何が知りたいのかな、私。/ 娘のトースト 3話(2ページ目)
15,819 View唯との関係に行き詰まってしまった庸子。少しでも唯の気持ちを理解しようと、スマホを片手に検索に没頭する。
※ この記事は2024年11月18日に再公開された記事です。
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#3
狩野ワカ
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