独身時代、将来出産するなんて考えたことも無かった。
“出産”=“痛い”という印象があったので、生理痛で毎月痛みに耐えてどんよりするというのに、出産も痛くていやだなぁと感じていました。
そんな私が素敵な人と出会い、結婚して、妊娠することになりました。
出産の痛みはまだ先だから良いかなと思って、生理痛の無い妊娠生活をとても楽しんでいました。
予定日から遅れて2日後。
軽い生理痛の痛みが来て病院に行くことになりました。
まぁ耐えることができる痛みだったけど、様子を見るということで入院することに。
昼食も余裕でぺろりと食べることができましたが、夕方から7分間隔で痛みが強くなり顔が歪み、そこからが地獄でした。
夜に子宮口が7cm開いているので、浣腸をしてもらうことになった。
すぐにトイレで出したものの、腹痛と陣痛のダブルですでに涙ぐんでいました。
出産していないのにもう痛くて泣いてしまって、こんな私が本当に産むことができるのだろうか。と出産が怖くてさらに泣いてしまいました。
結局その3時間後の深夜2時頃。
子宮口の大きさは変わらなかったので、朝9時に促進剤を使うことが決定。
あと6時間ほど、この痛みに耐えなければいけないと思うと辛くなって、ふて寝したのを今でも覚えてます。
痛みより眠気が勝ったのはこの時間だけでした。
翌日、陣痛室に横たわると目の前には注射針。
助産師さんが腕にプスリと刺して血が流れる。
それだけで痛いのに、針を入れられて固定、テープでぐるぐる巻き。
陣痛の痛みより腕を動かすのが怖くなりました。
針が入ったまま腕が動く経験が初めてだったので緊張しました。
そこから30分ごとに陣痛が強くなり、促進剤を入れて1時間30分後にはギャンギャン泣きまくっていました。
助産師さんが見に来てくれた時に「痛いです!痛いです!!!」と言っても「子宮口まだ7cmだからね~」と言って去られた時には、終わったと思いました…。
泣きながら頭の中ではこんなことが頭をよぎっていました。
ゲームでダンジョンがクリアできなくて、もうやめようかなって電源OFFにすることができる。
体調が悪かったら会社を休むことができる。
自分で判断して選択をすることができる。
でも、陣痛って自分で止めることができないし、出産するまで走り続けないといけない。
『逃げたい!!もう嫌だ!!!痛い!!!』って思いながらも『もう逃げられない』と冷静な自分もいました。
ずっと旦那にさすってもらい、なんとか子宮口が全開になりました。
分娩台に上がっても痛みが続いていて意識朦朧。
助産師さんがいきんでいいからね~と言った瞬間にいきんでみるものの、いきむのもこれまた痛い。
助産師さんの準備が終わって本格的にいきみを開始、痛くて目をつぶっていたら注意されました。
いきみ方とか雑誌で読み、病院からもらった冊子で前もって勉強していたのに全然だめ。
痛みで全部忘れてしまっていました。
「目を閉じないでねー!」「お腹を見て!」「ハンドルを握って!!」周りの看護師さんに言われるがまま、いきんでいました。
10分くらいで頭が見えてきたので旦那が来ました。
ここから旦那を見ながら呼吸したり、いきんだり。
数分後に「もういきまなくていいからね」と助産師さんから神の言葉をもらいました。
でも自然といきみたくなって、我慢するのも痛かった。
「はい出るよ~」という言葉と共に赤ちゃんの身体が見えた瞬間に今までの痛みがふっと飛んで、泣くほど痛かったのに、ぱっと消えてびっくり。
周りからは「おめでとうございます!!!」という言葉。
こんな時、感動で泣くのかなと思ったけど涙は出ず、私は痛みから解放されて放心状態になっていました。
ふと旦那を見るとボロボロ泣いていました。
感動して泣いているものだと思ったら意外な言葉が。
「陣痛から出産まで、痛みに苦しむみかんがやっと解放されたと思ったら、もうね、涙が止まらなくて…陣痛とか出産とかのどれか1つの痛みを代わってあげられるなら、代わりたいってずっと思っていたから…。」と鼻を真っ赤にして泣いていました。
旦那の言葉を聞いて、痛みに耐えていたのは私だけじゃなかったのだと知りました。
そうだよね、旦那だって痛がる私を見て一緒に頑張ってくれていた。
陣痛が始まって入院したら、すぐに会社を休んで飛んできてくれた。
1日中ずっと親指の皮がめくれるまで腰をさすってくれていた。
出産までずっと見守ってくれたよね。
1人で痛みに耐えているものだと思っていたけど違ったね。
出産の痛みが終わってやれやれと思ったら、次の日には胸が岩のように痛くなっていました。
産後も痛みに苦しむのかと、ひたすらマッサージの日々。
退院して数日したら柔らかくなったので一安心。
これで痛みとは無縁かなと思っていたら、その3日後に切れ痔になりました…。
でも出産という大きな痛みは終わったから、どんな痛みにも負けないぞと思って前向きに毎日を過ごしました。
どの痛みも出産を一度経験すると、まぁなんとかなると思える不思議さ。
出産ってすごい。
前の私だったら切れ痔になっただけでも、毎日ため息をついていただろうな。
あと1週間で赤ちゃんが2か月を迎えます。
最近、赤ちゃんと目が合ったら「はうー」「あー」と言うようになって思わず泣いてしまいました。
出産も痛かったし、育児だってまだ慣れていない。
ちゃんとできているか不安だったので、余計に涙が止まらなかった。
ミルクや、おむつ交換という作業的な毎日を過ごしていたところで、私に話しかけてくれたことが嬉しくてたまらなかったです。
日々赤ちゃんも成長しているんだなぁと実感。
こうやって赤ちゃんにできることが増えるたびに感動できるのは、出産という痛みを味わったからだなと改めて思います。
2人目や3人目を出産するお母さんは、この育っていく喜びをすでに知っているからだろうな。
あの出産の痛みがあったからこそ私自身が色んなことに強くなったし、母にもなれた気がする。
本当に出産して良かったと今なら心の底から思えます。
ライター名:みかん