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公開 2018年11月08日  

「ちいさく産んでしまった」と嘆かないで。小児科医がママに伝えたいこと。

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高橋孝雄先生著作『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』(マガジンハウス)より、選りすぐりのお話を3週連続でご紹介いたします。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10272005135

生まれてきてくれただけで、遺伝子は十分に仕事をしたのです。


赤ちゃんが生まれてきたときのことを、憶えていますか?

歓びとか感動とか安堵とか、いっぺんに感情があふれてきて、胸がいっぱいになったことでしょう。

しかしいっぽうで、流産になったり、生まれつきの障害や病気があることを知らされたり、予定日より数か月も早く出産してしまったり、妊娠や出産は必ずしも歓びに包まれるイベントとは限らないのです。

しあわせの絶頂を味わうはずが、まるで落とし穴におちたような現実に、途方に暮れてしまうかもしれません。

残念なことに子宮に着床しても胎児が育たない場合には、もともと染色体や遺伝子に大きな問題があることが多いです。

ここは強調しておきたいのですが、決して母体の、おかあさんのせいではないのです。

遺伝子に問題があっただけ。
遺伝子の力およばず、です。

遺伝子のシナリオ、という観点からすると、たとえ重篤な障害を持って生まれてきたとしても、生まれてきただけで「ゴールイン!」です。

早産・超出生低体重児で生まれてきたとしても、生まれつきの重い病気があったとしても、出産にたどりつけただけで遺伝子の仕事としては第1関門通過、ある意味「想定内」なのです。



妊娠40週よりも早く、ちいさな赤ちゃんが生まれてくると「ちいさく産んでしまった」となげくおかあさんもいますが、自分を責めることはありません。

妊娠がわかるまえにお酒を飲んでしまった。

鎮痛剤を飲んでいた。

葉酸が足りなかったのかも。

仕事が忙しくてストレスフルだったとか。

そんなひとつひとつを思い出して自分を責めつづけ、後悔しても状況は変わらないのです。



早産や流産の原因はさまざまです。

ただ、おかあさんの不注意でそのようなことになったわけではないのです。

あなたのおなかのなかで育つ命は、堅牢でしなやかな遺伝子で守られています。

現在の日本でごくあたりまえの暮らしをしているかぎり、大きなダメージを受ける心配はないはずです。

遺伝子のたのもしさを感じるのは、やはり赤ちゃんをこの手で抱いたときかもしれません。

予定日どおりに健やかな赤ちゃんが生まれてきたのであれば遺伝子に感謝しましょう。

生まれつきの病気や障害があったとしても、予定よりも早く、標準よりも小さく生まれてきた新しい命も、生まれてきてくれただけで「合格」なのです。

どうか「生まれてきてくれて良かった、おめでとう!」という気持ちをどうかいつも忘れずにいてください。



(編集:コノビー編集部 瀧波)

※ この記事は2024年12月15日に再公開された記事です。

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