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公開 2018年11月05日  

「あんなに検索してたのに…!」産後わたしを待ち受けていた落とし穴<記事投稿コンテストNo.53>

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出産に関するあらゆる不安材料をネットで調べていたはずのHIGAさん。産後、とても大事な点を見落としていたことに気づいたそうです。


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30代後半に差し掛かった頃、ようやくはじめての子を授かりました。

周りに子持ちの友人もおらず、もっぱら情報源はGoogle。

妊娠中・出産前後に起きるあらゆる不安と、それを解消しそうなキーワードをつっこみ、片っ端からブクマしていきました。

出産自体はとても怖かったけれど、どこかで「みんなあたりまえにやってる」とどこかで楽観視している自分もいたように思います。

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検診に行くたびちょっと気になっていたのが「助産師外来」という診察室。

自分と同じような妊婦の方がそこへ吸い込まれて行くのに、一度も案内されたことがなく、どうやらおっぱいケアをしてくれる所らしいぐらいしかわからないけれど、「まぁ臨月が近くなれば私も案内されるのかも」なんて、のんきにかまえていました。

早い時期からのおっぱいマッサージは早産になりやすい、という情報をみかけたこともあり、おっぱいの事は予定日近くなってからでいいやと先延ばしにしていたのです。

ところが正産期まであと一週間というところで早産になり、心の準備も物理的な準備も整ってないまま、あれよあれよというまに子供が産まれてきました。

※全然関係ないのですが、出産中何故かずっと下図のイメージで力んでいました。

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赤ちゃんを迎える準備はこれからバタバタだけど、何にせよ安産で良かった。

正直、私はどでかい一仕事終えた気分でした。

これからは寝不足で大変だけど、穏やかで幸せな時間が始まるのだと疑ってませんでした。

ところが、です。

お乳がでない。

産んだその日こそ授乳はなかったのですが、翌日から3時間置きの授乳タイム。

出ない。にじむようにしかでない……デナイ……。

哺乳瓶で飲ませるために絞っても、鍾乳洞からじんわりにじんでようやく垂れてくる水滴ぐらいのスピードでしか溜まっていかず。

助産師さんの痛い痛いマッサージと搾乳で、ようやく授乳が終わったころには、次の授乳時間まであと1時間を切ってることなんてザラでした。

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助産師さんに、病室で「時間あるかぎり乳頭マッサージしてね!」と言われてやり方も教わったのですが、乳頭マッサージをしようとすると、とたんに何故かとてもブルーな気持ちになりました。

どうしても触りたくない。おっぱいのことを考えたくない。となってしまっていました。

後になって、Twitterで「授乳時にブルーになる方が居る」というのを見かけて、これに近いかもしれないと思い、納得した覚えがあります。

マッサージできない事や、おっぱいが出ない事、また、息子に黄疸がでて光線療法をすることになり、保育器の中で目隠しをされてうつ伏せで寝ている小さな背中をみて、ショックで涙がでてしまいました。

でも、泣くだけ泣いたら少しスッキリして、頑張れそうな気がしました。

翌日からブルーになっても気づかないふりをして、ただ淡々と無心でマッサージを続けました。

少しずつ、少しずつ出る量が増えていきました。

退院した翌日にびっくりするぐらいおっぱいが張って、今度は溜まっているのに出せないという、針の先ほどの穴から粘土を絞りだすようなもどかしい授乳がはじまりました。

その結果、乳腺炎になってしまうのですが、受診した救急病院で、ベテラン看護師さんが教えてくれた授乳のアドバイスがとても役に立ち、その後は快適な授乳時間を持てるようになりました。

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振り返ってみると、あらゆるキーワードで検索してたはずなのに、「授乳」に関するものは、あとから見返すとなぜかとても手薄でした。

激しい痛みを伴う出産よりも強く、『みんなあたりまえにやっている』というバイアスがかかっていたのだと思います。

事前に「あれが起きるかも」「こうなったらどうしよう」と恐れて検索してブクマしまくっていた私。

そのどんな不安材料よりも、私にとっては「みんなあたりまえにやっている」と思い込んで楽観視していた授乳こそが、一番強敵だったなと思うのです。


ライター:HIGA

※ この記事は2024年12月08日に再公開された記事です。

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連載「第一回 記事投稿コンテスト 『出産』」 #53
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