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公開 2018年11月21日  

モニターをみて助産師さんの表情が変わった。その時起きていたこと<投稿コンテストNo.100>

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異変は、足首のむくみと激しい胃痛から始まった!母子共に危険な「常位胎盤早期剥離」を起こしして救急搬送されたゆーママさんの緊迫感あふれる出産レポです。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10172001514

>【第一話】から読む


初めての妊娠はツワリも軽く、経過も順調で、予定日の1ヶ月前まで働いていた私。

妊娠を軽く考えていました。

産休に入ってから徐々に左足首がむくみだし、1週間も経つ頃には靴も入らないほどパンパンに腫れ上がっていました。それでも検診まで1週間を切っていたので、検診の時に聞けばいいやーとか思ってました。

検診前日の朝方2時。キューッと締め付けられる胃の痛みで目を覚ましました。

その後急な吐き気……すぐにトイレに駆け込みました。

真夏で薄着で寝ていたので、お腹が冷えてしまったのかなとか考えていたのですが、痛みは段々増してきます。胃の中をかき回されてるようなものすごい痛み。

髪の毛が張りつくほどの脂汗をかいていました。朝までトイレで過ごしましたが一向に痛みはおさまらず……。お腹の赤ちゃんが心配だったので、検診時間前でしたが、旦那に産院まで送ってもらうことにしました。

産院まで向かう車の中から見た空は、雲ひとつない青空で、少し気持ちがやわらぎました。


朝7時。

先生はまだ出勤してなかったようで、助産師さんが診察してくれました。

子宮口は1cmも開いておらず、「陣痛は今の100倍は痛いわよ。」と冷静に言われ、悔しくて涙が出たのを覚えています。

しかしNSTモニターをつけてから、事態は急変しました。モニターの数値を見ていた助産師さんが、慌てて部屋を出て行きました。

すぐに先生が来て、数値を確認しています。

先生に険しい顔で、

「赤ちゃんの心拍が下がっているので、今から分娩室に行きます!」

と告げられ、車イスで移動しました。

「赤ちゃんに酸素を送るため、ゆっくり深呼吸してねー。」

「吸ってー 。吐いてー。」

痛みに耐えながら、看護師さんに合わせて深呼吸を繰り返します。

分娩室に着くと、すぐに真っ裸にされて分娩台にあがりました。

何やらお腹を触られたり、エコーを見たり。

繰り返される痛みでもうろうとしてる中、

先生から

「ここで対応することは出来ないから、救急車を呼んだので総合病院に向かいます!!」

と言われました。

真っ裸にバスタオルをかけられて、ストレッチャーで運ばれながら、(ウソでしょ!?こんな恥ずかしい思いしたことない……)とか思いつつ、救急車に産院の先生も一緒についてきてくれました。

本当は母子共に危険な状態だったにも関わらず、

「赤ちゃんは大丈夫だよー。深呼吸しようねー。」

とずっと声をかけてくれていました。

「赤ちゃんは大丈夫」

と安心した途端、意識を失いました。


次に目が覚めると、誰もいない真っ白な部屋で身体中にチューブがつけられていました。身体はビクとも動かず、今までに感じたことのない疲労感・倦怠感に襲われます。

むくみを取る機械も足に装着されていて、静かな部屋にガ、ガ、ガ、ガショーン、ガ、ガ、ガ、ガショーンという機械音だけが響きます。

「赤ちゃんはどうなったんだろう…」

と思いながら天井を見ていると、看護師さんが来ました。

「えっ!?起きてるの!?強い麻酔を使ったから、まだ起きるはずないんだけど……ちょっと待ってて。先生呼んでくるから。」と去っていきます。


夕方17時。

今日は目覚めないと言われ、帰ろうとしていた旦那と私の父と母と、先生が一緒に入ってきました。

先生の説明によると、私の身体は『常位胎盤早期剥離』を起こしていたそうです。

『常位胎盤早期剥離』とは、なんらかの原因で、赤ちゃんがまだお腹の中にいるうちに、胎盤が子宮の壁から剥がれてしまうことです。

胎盤が剥がれると、子宮壁から出血して胎盤を圧迫し、赤ちゃんだけでなく母体にも影響を及ぼす怖いものだそうです。

私自身、出血多量で2L以上の輸血をしたそうです。普通は下からの出血で異常に気づくそうですか、私の場合、出血は全くなかったので、気づくまでに時間がかかってしまったそうです。


今回の場合、立ち仕事をギリギリまで続けていたことや足のむくみなどから、おそらく『妊娠高血圧症候群』だったのではないかと言われました。

36週6日での緊急帝王切開での出産。予定日より3週間も早く産まれた娘は、『2,958g』で産まれました。

お腹から出てきた時、1分近く心肺停止状態にあったそうですが、先生方の懸命な処置により、無事に産声をあげたそうです。

ICUでの治療を終え、産科に戻れることになったのは、出産から2日後でした。

ストレッチャーで移動する際、NICUに寄っていただき、初めて我が子に対面しました。

看護師さんが抱っこして、顔の横に連れてきてくれました。暖かい体、真っ赤な顔で泣いている姿を見て、涙がこぼれました。

娘も驚異の回復力を見せ、4日で保育器を出ることが出来たので、一緒に退院することが出来ました。


そんな娘は、後遺症も障害も残ることなく、小学1年生になりました。3歳の妹・9ヶ月の弟の面倒をよく見てくれる頼れるお姉ちゃんです。

『常位胎盤早期剥離』は繰り返す恐れがあるから注意が必要と言われていましたが、2人目・3人目は経過も順調で、予定帝王切開で無事に産まれました。

陣痛を味わうことは出来なかったけど、お腹の傷は親子で頑張った勲章だと思っています。


ライター:ゆーママ

※ この記事は2024年12月13日に再公開された記事です。

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連載「第一回 記事投稿コンテスト 『出産』」 #100
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