陣痛がきた夜は、運悪く夫が出張で不在でした。
夜中の3時から陣痛が始まり、「これは陣痛かな?」と疑いつつも、「ただの腹痛だったら恥ずかしいな」と思い、トイレでいきんでみたり、ベッドに移動してみたり……。
そうやって痛みを我慢しているうちに、一睡もせずに夜を明かしました。
朝8時になんとかタクシーを呼んで産院に向かったときには、陣痛はかなり激しいものになっていました。
病院に着くと、「子宮口が8cm開いてます! あと数時間で生まれますよ!」と言われました。
なんと私は、初産にもかかわらず、子宮口が8割方開くまで我慢してしまったのです。
その後3時間いきみ続けた末、吸引分娩で3300gの赤ちゃん(男児・以下、大ちゃん)が誕生しました。
生まれた瞬間に「旦那さん、到着しましたー!」という声が聞こえました。
あれほど取り乱し、すべてのエネルギーを使い果たしたのは生まれてはじめての経験でした。
人生最大の大仕事を成し遂げた達成感に包まれたのもつかの間、産後2時間ほどで助産師から歩くように言われました。
しかし体に力が入らずに、一人で立ち上がることもできません。
足はまるで生まれたての子鹿のようにプルプルと震えました。
また「悪露(おろ)」というものがあるのは知っていましたが、思っていたよりずっと大量で驚きました。
そして、さまざまな不調が体を襲いました。
それもそのはず。個人差はありますが、出産は骨盤が開いて靱帯が緩んだ状態なので、体は交通事故に遭ったときのようなダメージを受けているのだそうです。
それでも出産は短距離走なので、瞬発力と気合で何とかなりました。
でも、これから始まる育児はフルマラソン。
しかも出産でパワーを使い果たし、ボロ雑巾のようになった体で、休む暇もなくそのフルマラソンがスタートするのです。
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