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公開 2019年05月29日  

地震に怯える娘を支えたい。被災体験を家族で乗り越えるための工夫

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大きな地震を経験して以来、すっかり怖がりになってしまった娘。心配性で、あれこれ考えては「怖い!」と感じています。今後、地震が起こったときにどう動くべきかを家族で話し合いました。


「地震はイヤだ!前に住んでいた場所に帰りたい」


今住んでいる場所に引っ越してきたのは、娘が2年生になりたてのとき。

そこで大きな地震に見舞われました。

激しい揺れに続き、停電で部屋が真っ暗になってしまい、懐中電灯の灯りだけで過ごしました。

幸いにして復旧までの時間は早い地域でしたが、子どもたちは相当な恐怖を感じたようです。

娘はニュースをよく見ていて、災害について関心がありました。

それだけに、実際に自分が地震を体験したことにショックを受けてしいました。

地震が起こった直後は、布団にくるまって汗をたくさんかいていたのに、出てこられなかったほど。

後から娘に理由を聞いてみると、「上から物が落ちてきてもケガをしないように」とのことでした。

地震からしばらく経ちますが、娘はすっかり怖がりになってしまいました。

暗闇や夜の物音に怯え、テレビで流れるニュース速報や災害の映像に敏感に反応します。

ついには、「地震があるからここはイヤだ!前住んでいたところに帰りたい!」とまで言い始めました。


そんなに怖がらなくて、大丈夫だよ


暗い部屋で何か物音がすると、「暗いのは怖いよぉ。あの音は何?」と娘からは質問攻めです。

私は娘にどうして怖いのかを聞いてみました。

娘によれば

「暗闇が地震のときのことを思いさせるし、暗い場所で何か起きたら怖い。音がすると何かがいるような気がする」

とのこと。

どうやら、揺れると建物が壊れたり、火事になったり、津波が来たり、電気が消えたりするんじゃないか、と不安感を抱いてしまうよう。

そこで私は、娘の恐怖を和らげるために、次のような説明をしました。

・おうちはまだ新しいので、ものすごく大きな揺れの地震が来ない限り壊れないから大丈夫だよ。

・海から離れているので波はここまでやってこないと思うよ。

・みんなが別々の場所で過ごす昼間に何かあった時は、避難場所である子どもたちの学校に集まろうね。

・日本は地震が多い国だから、どこにいても地震は起こるもの。揺れを感じた時に、ちゃんと自分の身を守れるようにしようね。


まだ娘は2年生なので、どこまで理解したかはわかりませんが、「そんなに怯えなくてもいいんだよ」と伝えました。



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ママは必ず迎えに行くからね


その後娘は、学校での防災訓練などにも積極的に参加し、さらにいろいろと学ぶことで心境に変化が生じてきました。

実際に授業中に地震が起こったことがありましたが、帰宅後に「学校では机の下にもぐったよ」と話してくれました。

またテレビや映画などで、地震をはじめとした災害のシーンが映ったとき、「本当に信号機が消えていたね」とか「真っ暗の中で買い物はたいへんだったね」と、自分の経験を通じた感想を言ってくれます。

私が学生のころに経験した震災の話も、娘に少しずつ話ができるようになりました。

娘は「地震のときに、ママがいてくれてよかった」と言ってくれます。

まだ小さい子どもたちは、いざというときにパパとママがそばにいると安心するものです。

私はいつも、娘に次のことを伝えています。

「ママは、みんなが学校や仕事に行って家族が一緒にいないときでも、何かあれば必ず迎えに行くから待っててね。先生のお話も聞いてね。

ママが行くまで必ずだよ。何もない普通の日でも、ママはおうちでみんなが帰ってくるのをずっと待ってるから、ちゃんと元気に『ただいま』って帰ってくるんだよ」

そう言って娘をギューッと抱きしめると、娘は「分かったよ」と笑顔で答えてくれます。


どんなことがあっても家族で乗り越えるために


まだまだ暗闇は怖がりますが、娘は娘なりに恐怖心を乗り越えようと頑張っています。

今では地震に備えて食べ物や防災用品を一緒に揃えに行くことができますし、地震発生時に行ってはいけない場所などについて普段から話せるようになりました。以前ほど怖がらなくなっています。

娘はお友だちや、他県に住んでいる祖父母やいとこの心配もしているので、「大丈夫だよ」と伝え続けています。

家族で経験した震災を、イヤな思い出として心に残すのではなく、「次に何かあっても家族で乗り越えられる」というパワーに変えていきたいです。



※ この記事は2024年11月04日に再公開された記事です。

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