事の始まりは、急きょ私が退職したこと。
所属部門が突然閉鎖になって退職が決まり、予定外に“主婦”になる期間ができたのです。
退職が決まった瞬間、私が思ったのは「これでちゃんと家事ができる!」でした。
もちろん転職活動はありますし、昔の付き合いでちょこちょこと在宅仕事を引き受けたりもしていたので、完全な専業主婦ではなかったのですが…。
そうは言っても、残業は当たり前&休日出勤もあった在職時代と比べれば、時間はあります。
今思えば、勉強するとか趣味をするなどでも良かったはずなのに、なぜか頭の中は家事のことでいっぱいでした。
ワーママから突然の専業主婦ライフへ!良き母の幻想から自由になるまで…
23,816 View最近、よく耳にする「家事」の話題。共働き家庭はもちろん、専業主婦の方の場合にも、「家事を『やらなきゃ』という思い込みを捨てよう」という話をよく聞きます。さて、ワーママの私が約2ヶ月の間、専業主婦をした場合は…?
急な退職で、人生初の専業主婦生活スタート
手抜き一辺倒だった料理が様変わり
特に頑張ったのは、食事の用意。
朝はパンや果物で簡単に済ませていたところを、卵やベーコン、アスパラ、トマト、スープなども出すようになりました。
夜も、それまではせいぜい汁物だけは何とか作ってメインに肉か魚を焼く、あれば納豆など調理不要なものを出す…という感じでしたが、最低3~4品は作るように。
しかも食材はなるべく旬のもの。今まで省略していた副菜は、和え物、酢の物、煮物、サラダ、茶わん蒸し…など、作り置きせず、毎晩違うメニューを出していました。
5歳息子も、お皿がたくさんある食卓に、「パーティーやん!!」と大喜び。
『今の私、ひょっとして素敵なママなんじゃない?』
そんな自己満足にひたる私。
料理上手な方からしたら当然のレベルかもしれませんが、「とりあえず何か食べさせとけば子供は育つんじゃ~!」と豪語していた身としては、すさまじい変わりよう。
ちなみに昼食もレトルトなどは使わず、自分だけの日も、焼うどんや親子丼など簡単とはいえ手作りにしていました。
完全に、おかしなスイッチが入っていたようです。
ずっとやりたかったのに…“ちゃんとしたご飯”がつらい
ところが。
最初は喜んでいた息子ですが、さすがは子供。
数日ですぐに順応して、それが当たり前になります。
特に、園の給食に好物が出ておかわりした日などは、夕ご飯をあまり食べません。
朝も、用意した後に「グラノーラだけがいい」とか言い出したりするのです。
外で働いていた時の私なら、「あ、そう?」と流していたことでしょう。
しかし、主婦モードがオンになった私は、気合いが違います。
「これだけ頑張って用意したのに…」
「できたてが美味しいのに…」
「子供が食べないんなら、もっと違う味付けにしたのに…」
どうしても湧き上がるモヤモヤ感。
夫がシフト勤務のため夜はいないことも多く、息子が食べなければ他に誰も食べてくれる人がいないのも悲しいところです。
モヤモヤがイライラに変わるまで、そう長くはかかりませんでした。
あれもこれも、家のことが気になりだす
さらに、家にいる時間が長いので、家の汚れも目に付くようになりました。
週に2度だった掃除機は毎日に。
床も拭き、トイレや洗面所の掃除も、毎日しっかり磨きます。
台所のシンクは、お皿洗いが終わるとその都度きれいにして…。
窓を拭いて、洗濯機の裏のホコリをとって、リサイクルのゴミはこまめに出して。
それからそれから…。
今まで夫と分担していたことも、外で仕事していないのに夫に何かさせるのは悪い気がして、「やって」と言えません。
時間があるはずなのに、時間がない。
そして、何だか息苦しい。
なぜでしょう、「家事ができる!」と喜んだはずなのに…。
“良きお母さん”の幻想から自由に
「家事なんて適当でいいじゃん」
「パパにも分担してもらうよ?当然だよね」
「家事ストレスなんて私には無縁。上手に手抜きするもん」
…ずっとそうしてきたはずが、退職した途端にできなくなりました。
心のどこかで、「本来やるべきことができていなかった」とか、「お母さんなんだから本当はちゃんとやるべき」と思っていたのでしょう。
自分では捉われているつもりはなかったのに、“良き母”という理想像に、無意識下でバッチリ縛られていたようです。
こりゃダメだと思ったのは、約10日後。
夫と子供に「やっぱ疲れたから無理」と一言つぶやいて、私の良妻賢母キャンペーンは終了しました。
外で働いて時間がないのも大変ですが、長く家にいるとどうしても家事レベルを上げざるを得ません。
専業主婦にも違う苦労があるのだと、身をもって知ったのです。
その後は無事に再就職が決まり、家事はボチボチに逆戻り。
短い主婦生活の終了と同時に、「もし今後、専業主婦になっても家事で無理はしない」「理想の母像には縛られない」と決意しました。
もちろん、家事が好きな人もいると思うのですが、私には向いていなかった…。
抱いていた”母はこうあるべき”像から、今度こそ本当に自由になったような気がします。
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