長男ケイがまだ小学生の頃、Yさんというママ友がいました。
実際は、Yさんの息子さんはよく勉強もできたし、運動神経も抜群によかったのです。
それなのに…
何を言っても、自分の息子のことを“認めない”Yさん。
「どうして、自分の息子のことをここまで低く評価するのだろう…」と、いつも疑問に感じていました。
そんなYさんとは、その後すれ違いが多くなり、立ち話をすることもなくなりました。
お互い仕事もしていたので、私もYさんのことを気にすることはなくなっていました。
先日のことです。
ショッピングモールで偶然、10年ぶりにYさんに会いました。
10年ぶりに再会したYさんは、まるで別人のように明るい人になっていました。
以前はあんなにネガティブなことばかり言っていたのに、大学を出て社会人としてがんばる息子さんのことを話す姿は、とても誇らしくうれしそうでした。
Yさんがこれほど変わったのは、なぜなのか。
実は、Yさんは当時、厳しい姑さんに“息子の教育の不備”を突きつけられていて、毎日が針のむしろ状態だったそうです…。
「虫歯になったのは、母親のせい」
「背が伸びないのは、母親が作った食事のせい」
「勉強ができないのは、母親の指導のせい」
このような言葉で毎日追い込まれていくうちに、Yさん自身からも自己肯定感が消え、まるで子育てを“失敗した”かのように思い込んでいたのだとか。
やがて姑さんが亡くなると、Yさんの「どうせ、どうせ…」という呪縛のような気持ちは消え去り、息子さんものびのびと勉強に運動にと励んだと聞きました。
自分の子育てに常に自信を持っている人なんて、私はあまり聞いたことがありません。
みんなさまざまな不安を抱えながら子育てしているもの。
そんな中で誰かに非難ばかりされていたら、自分のことも、子どものことも肯定できなくなってしまうのだと思います。
10年ぶりに再会して、私はようやく、初めて“Yさん自身”と会話できたような気がしました。