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公開 2019年08月06日  

「私だって育児わからない!」嫁の一言が、俺の父親レベルを爆上げした。

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今回の子育てインタビューは、2017年生まれの息子さんをもつスギちゃん。「今すごくいい関係」と語る奥さんとの絆や、“ワイルド”から“チャイルド”へと変わった優先順位の変化について。前後編に分けてお届けします。


我が家なりの分担ルールを見つけたら楽になった


── 2017年に第一子となる息子さんがお生まれになったとのこと。もうすぐ2歳ですね。

イヤイヤ期に突入しました。もう手がつけられません(笑)。
読者にも同じくらいの年頃のお子さんをもつママ・パパが多いそうですが、煮詰まっている人もいるでしょうね。

こないだ嫁が1歳半健診に行ってきたんですけど、待合室で走り回る我が子を疲れた表情で見ているお母さんが何人かいたそうです。

子育ては休みなしですからね。最前線のママさんたちは大変だと思います。


── 家事の分担などもされていますか?

世の中の奥さんたちは、夫に対して「言う前に動いてほしい」と思っていると聞きます。
それを受けて、少し前までは俺も夕食を作ったり、洗い物をしたりしていました。

しかし、すき焼きを作ったつもりが野菜炒めになってしまったり、洗い物しても洗い残しがあったりで二度手間になると注意を受けました。最初のうちは言わないようにしてくれてましたが、ストレスになっていたようです。

今は嫁が家事をしている間、子どもの面倒を見るようにしています。

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我が家の場合は先回りするよりも、嫁の動きを見て、手が回っていない部分を俺がフォローするスタイルが合っているようです。

嫁がキッチンに立ったら、俺は子どもの面倒を見る。

嫁が子どもと遊んでたら、キッチンの片付けに向かう。

それでうまくいくということがわかり、それからはだいぶ楽になりましたね。

うちは嫁が北海道出身で、俺が愛知県出身。
実家が遠くて頼れないから、俺が何とかしなきゃいけないと思って頑張っています。

嫁が倒れたら終わりという危機感


── 奥さんを楽にさせてあげたいという思いが伝わってきます。

1人ではしんどいと言われていますからね。

子どもをお風呂に入れるのも、嫁を楽させるためと思ってやっています。

嫁のマッサージをすることもあります。
「やって」と言われたとき、返事に間が空かないようにも気をつけています(笑)。

今では右手の中指の関節にタコができました……。
えらいですよね、俺。

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でも「一番気持ちいい」って言ってくれるから。
それで体力回復してくれるならいいなと。

俺は地方ロケで家をあけるときもあります。
そのときに嫁が倒れたら……と思うと心配で。
助けてくれる人も近くにはいないし。

俺がフォローしないと成り立たないなと思ってやっています。
それを苦労と思っていた時期もあったけど、嫁をフォローすることで家庭がうまくいくのだとわかってからは苦労と思わなくなりました。


── 奥さんもその思いを素直に受け止めていらっしゃるんですね。

それはまた難しいところもあって。

たとえば俺が休みのときに、「マッサージにでも行っておいで」って言っても、「行く行く」と言いながら結局行かない。

「家で寝てていいよ」と言って子どもを連れ出そうとしても、「なんで2人で出かけるの?」と言ってくる。

俺は休んでほしいと思っているのに、嫁は休みの日こそ家族一緒に過ごしたいらしくて。でもそれだと結局嫁は休まらない。
そのせめぎ合いがあります。


── 奥さんのその気持ち、わかります!

うちは息子がまだ母乳を飲んでいるから、卒乳も課題です。

それで考えたのが、嫁に一晩隠れてもらって俺が夜寝かしつけをして、朝までおっぱいなしで頑張ればそのまま卒乳できるはずというプラン。

うまくいった日があったのですが、安心して一眠りして起きたら、朝、嫁は息子から母乳をうばわれてました(笑)。

俺の思惑はどうなるんだ……と思って聞いてみると、断ちたいけどさびしさもあるみたいで。

ママの気持ちは複雑なんですね。

本当なら3日間くらい休みを取り、俺と息子で旅行に行くか、嫁に旅行に行ってもらうかして、物理的に離れ離れになることで卒乳できると思ってるんですけど。

今の俺なら子どもと二人きりの旅行もできると思うから。

嫁は何でもわかってると思ってた


── 自信があるんですね!

実は大きな転換点がありました。

最初の頃は、子どもの面倒を見ていても、泣き出すと手に負えなくて嫁に渡していたんです。

なんとかしてあげたい気持ちはあるけど、俺には子どもがなんで泣いているのかわからないし、どうしようもないと。

すると嫁に言われたんです。「私だってわからない!」と。

雷に打たれたような衝撃がありました。
「嫁にもわからないことがあるのか……!」と。

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だとしたら、俺も子どもに向き合って「なぜ泣いているのか、理解しなきゃダメだ」と。

それが半年くらい前のこと。そこから意識が大きく変わりました。

考えてみたら当たり前のことなんですけどね。

ずっと一緒にいるから、嫁は子どものことは全てわかっているんじゃないかって、勝手に解釈していました。
子どもと対峙せず、嫁に甘えていた自分に気づきました。


── そこから具体的にはどんな変化があったんですか?

息子が泣き止まないとき、どうしたら笑わせられるか考えました。

そしたら意外と、くすぐったり、体勢を変えてあげたり、そんな小さなきっかけでケラケラ笑ってくれるんですね。

初めて泣き止ませることに成功した日のことは、今でも忘れられません。
「あぁ俺にもできるんだな」と。
大きな壁を乗り越えた瞬間でした。

子育てに関して「何でもできる」という自信がついた出来事でした。

そうして自信を高めていき、卒乳のための父子2人旅を提案できるまでになったんです。


── ママにとっても、うれしい大革命ですね。

ひどい旦那だったこともありましたよ。

子どもが夜泣きしていた頃は、恥ずかしい話、俺は熟睡していたみたいで……。

そのせいで母乳のみに頼ることになり、なかなか卒乳できない現状につながっているので、俺にも責任の一端があるわけです。

それに、仕事で疲れてイビキをかいて寝てる俺を、嫁は一度も起こさなかった。その優しさに報いたい気持ちもあります。

こんなこともありました。

俺、外出するときはよくマスクをするんですけど、こないだスーパーの試食コーナーで、抱っこしていた息子が俺のマスクをずらして、試食を口に入れてくれたことがあったんです。

「なんていい子なんだ!」と、かわいくてたまらない気持ちになりました。

ふと気づいたのですが、それは、嫁が俺にいつもやってくれていたことだったんですね。

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嫁がやっている姿を見て、息子は真似した。
息子が俺に優しくしてくれるのは、嫁が俺に優しくしてくれるから。

嫁の愛はなんて深いのだろうと、改めて感謝の気持ちを抱きました。

自分にとって一番必要な人に出会えた

── 奥さんとの信頼関係が盤石ですね。

喧嘩も多いですけどね。

嫁は少し言葉足らずなところもあって、怒っている理由も最初は理解してやれないこともありました。でも、もとを正せば家族のため、子どものため、俺のために怒っている。

結局“いいやつ”なんですよね。

たとえば、付き合っていた頃から「ラーメンのスープは飲まないで」「お酒を飲みすぎないで」とか、いろいろ言われることが多かったけど、俺の体を思ってのこと。
素直に言うことを聞いていたら健康になれました。

子どもが生まれてからは、飲みに行くこともなくなりました。
嫁が家で子守している間に飲みに行きたいとは思わないし、吐き出したいことがあるのは嫁だって同じだから。

おかげで無駄な出費もなくなりました。

今は子どもや嫁と過ごす時間が一番幸せだから、フラストレーションもたまりません。
いいことばかりです。
俺に一番必要な人に出会えたんだなと思います。

上手に誘導されているのかもしれないけど……俺の中に「嫁の言うことを聞いていれば大丈夫」という深い信頼があります。


── 今は何でも話せる関係なのでしょうか?

嫁は以前はためこむところもあったのですが、子どもが生まれてからは、何でも話してくれるようになりました。

思ったことは全て投げてくる。しかも豪速球のストレートで(笑)。
でも吐き出してもらえれば、こちらも打開策も考えられるから、そのほうがいいんです。

俺の感情や反論より、嫁の意見を尊重


── 意見が対立するときもありますか?

もちろんありますよ。

たとえば俺と子どもが歩くときのポジションで言い合いになったことも……。

俺は自分の前に子どもを歩かせたいんです。それが一番安心だから。
でも嫁は、危ないから子どもを横に歩かせろと言います。

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横だと後ろから自転車が来たときに危ないだろうと俺が言うと、前だと自転車が子どもの存在に気づかなくて危ないと嫁は言う。

俺、昔から体育の授業でも、サッカーが得意じゃないのにゴールを決めてたりしたから、ポジション取りはいいほうだと思うんですけどね(笑)。

でも嫁の意見も間違っていないと思うんですよね。
だから嫁と3人で外出するときは子どもを横に歩かせてます。


── どんなときも奥さんを尊重されているんですね。


やっぱり子どもと長く一緒にいるのは嫁ですから、子育てに関しては、嫁の意見が大概正しいと思うんです。

打開策を考えるのは別として、嫁が感じたことに対して俺の感情や反論をぶつける必要なんてないと思ってます。

嫁が素直に気持ちを言える環境と、それを突っぱねずに受け入れる旦那。
それが家庭円満の一番大事なポイントなんじゃないでしょうかね。
うちはそれでうまく回っています。


── 旦那さまの度量も必要ということですが、心が折れそうになることはないですか?

でも嫁が何を言ってきたとしても、それは嫁が俺のことをまだ諦めていないということですから。

「何を言ってもダメだ」と思われれば、そのうち俺はいらない存在になるだろうし、関係も崩れていくと思います。

男として、パートナーとして認めて可能性を感じてくれているから文句も出るのでしょう。
それがモチベーションになっています。

今すごくいい関係だと思います。
たとえ嫁が血迷うことがあったとしても、俺は別れる気なんてないし、添い遂げる気持ちです。

いいやつと知っているから。

喧嘩しても、いい意味でゲーム感覚。
どうしたら早く仲直りできるかと考えるだけです。


── 育児へかける思いのベースには、奥さんへの深い愛情があるんですね。

嫁に「息子がなんでこんなにかわいいのか、わかった。好きな人の子どもだからなんだね」と言われたことがあります。
俺も全く同じことを思っていたので、嫁も同じように感じてくれているのがうれしかった。

この愛情と信頼には応えたいと思っている。
これが一番の基盤になっているかもしれませんね。


プロフィール
スギちゃん
1973年生まれ、愛知県尾西市(現一宮市)出身。
サンミュージックプロダクション所属。
高校を卒業しお笑いコンビとして活動、その後ピン芸人へ。
小型2級船舶、キャンプインストラクター、温泉ソムリエなどの資格を持つ。
持ちネタの『ワイルドだろぉ?』は2012年の「新語・流行語大賞」の年間大賞に選ばれている。


<後編に続く>

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※ この記事は2024年11月27日に再公開された記事です。

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