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公開 2019年08月28日  

パニック泣きを受け止めるには?親子で模索した心のコントロール

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スイッチが入ると、一切聞く耳を持てなくなるほどに泣きわめく息子。少しずつ少しずつ、感情のコントロールを身につけてきました。


小2になり、パニック泣きが激減した息子


息子は現在、小学2年生。

昨年までは、叱られるとパニックを起こしたかのように大泣きすることがたびたび見られていました。

一度スイッチが入ると、こちらの話は一切耳に入りません。

叱ってもなだめても聞く耳を持たなくなる彼に手を焼き、あまりにもひどすぎるのではないかと保健センターの担当者や先生に相談を持ち掛けたこともありました。

しかし最近、ようやく落ち着きを見せ始めたのです。

以前の彼は、大声で泣くことで外部からの会話をシャットダウンするようなところがありました。

ですが、今は落ち着くまでの時間が大幅に短縮。

「自分の気持ちを整理する」ことができるようになってきたのかな、と感じています。

周りでも同じように悩んでいるお母さんの話を聞いたりするので、何かの参考になればと思い、これまで息子と共に乗り越えてきた、ここまでの軌跡を語ってみたいと思います。



感情を抑え込むことはしなくていい


振り返れば私自身が「疳(かん)の虫が強い」といわれる子どもでした。

ですが、息子のように負の感情を爆発させたとしても、いつも厳格な父に怒鳴られてしまい、怖くて泣き止まざるを得ませんでした。

父はいわゆる「昭和の父親」タイプのため、子ども心にとても怖い存在だったのです。

結果、抑え込まれた私の感情は妹とのケンカに向かいました。

今になり冷静に分析すると、あの頃は妹を「弱者」と見なしている自分がいたように思います。

もしかすると、弱い者を相手に据えることで、感情を爆発させられていたのではないか?

……そう思うと、少し怖いものがあります。


こうした体験から、子どもにはまず感情を出すことを大切にしてほしいと思うのです。

まずは安心できる場所で感情をむき出しにする体験を重ね、その次にようやく感情のコントロールができるようになっていくのではないかと考えています。


工夫をしながら、親子で山を乗り越える


なるべく息子のパニックを受け入れて、抑え込むようなことはしたくない。

そんな思いがありながらも、理想は理想。

親も人間です。

スイッチが入りどう話しかけても聞く耳を持てなくなる彼に、気が狂いそうになることも多々ありました。

そんな時には、「このままだと話もできないし、ママも大声で怒鳴ってしまうからあっちの部屋に行くね。」と一声かけて離れます。

これは私が感情的になることを抑止する目的がありましたが、つかの間でも物理的に離れることで、子どもをクールダウンさせる効果もあったようです。

毎回それで収まるわけではないのですが、空白の時間を挟むことで私は冷静に話ができるようになり、彼も会話ができる状態までに落ち着いている事が多かったように思います。


落ち着いてきたら、ゆっくり会話をします。

息子が自分の感情をことばで表現する機会を、意識的に作るように。

「大声で泣いているだけでは、あなたの本当の気持ちはわからないよ。」

「泣いてばかりいるのって、どんな気持ちになる?」

息子からは「わかってもらえないのは悲しい」「泣いてばかりいるのはしんどい」という声が返ってきます。

自分で感情のコントロールができないことで、息子もつらい思いをしていたようです。

「あなたがどんな気持ちか知れて嬉しいよ。こうやってお話できるといいね。気持ちを落ち着かせられる方法をまた探してみようね」と伝えながら、少しずつ少しずつ成長する息子を見守ってきました。



先輩ママの言葉を励みに


スイッチが入ると手が付けられないほど大泣きする息子でしたが、学校や学童保育では、家で見せるような感情の爆発は見られなかったそう。

相談した学童の先生には、「外でがんばった疲れが、家で爆発して出ているのかもしれませんね」と言われました。

そして、「家で出せるのは、家庭が安心できる場所だからですよ。ママの前では爆発しても大丈夫だと思えているからなのだと思いますよ」とも。

幼い頃のかつての私は、父の前で無理やり感情を抑え込んでいました。

それを思えば、息子が私の前で爆発するのは、心を許している証拠だともいえるのでしょう。


2年生になり、ずいぶん落ち着いてきた息子。

とはいえたまには感情が荒れることもありますが、そうしたときにエールになっているのが、大学生の子を持つ友人の言葉です。


「私の息子も、『この子はおかしいんじゃないのか』と不安になるくらい泣いたり怒ったりしていたけれど、中高生頃から一気に見違えたよ」


息子はまだ7歳。

5年後、10年後の姿を楽しみに、抑圧にならないよう、親子共に感情のコントロールをうまく身につけていけたらと思います。



※ この記事は2024年11月04日に再公開された記事です。

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