── 2018年末にお子さんがお生まれになって、家事分担などは積極的にされていますか?
家事も育児も、なるべくやるようにしています。
もともと一人暮らしが長くて、料理などの家事は嫌いではないので、少しでも奥さんの負担を軽くしたいと思っています。
女性が家事育児をするのは当たり前で、男性がやると「偉い」とか「よくやってるね」とか言われる風潮がありますが、私の中では男も女も同じ。家にいられるときは、同じようにやりたいですね。
特に離乳食作りは志願してやっています。作りだめをして冷凍しておけば奥さんも楽できるので、ある程度の量を一度に作っちゃいます。
"よしお兄さん"がパパになった日。子どもたちが特別な「宝物」に見えた
25,398 View昨年末に第一子が誕生した“よしお兄さん”。出産当日の番組収録では、子どもたちへの思いが大きく変わったことを実感したそうですが……。小林よしひささんのインタビュー後編をお届けします。
母の教えで料理が好きになった
── 離乳食を担当するパパはちょっと珍しいかもしれません。
もともと両親が共働きで、母から帰宅前に「お米を研いでおいて」「野菜を洗っておいて」という電話がよくかかってきました。
姉もいましたが、私もやりたくて一緒に手伝っていたんです。
そこから母の横に立って材料を切ったり炒めたりして、徐々に難しい料理もやらせてもらうようになりました。料理の大変さもそこで学べましたね。
母が「食育」を意識していたかどうかは分かりませんが、季節ごとに旬の食材を使ってくれたおかげで好き嫌いは全くありませんし、料理をするのが当たり前の家庭だったので、一人暮らしのときもほぼ自炊していました。
経済的にも助かったし、健康管理にもつながりましたね。
── その知識と経験を離乳食作りにも生かしているんですね。
とはいえ離乳食や幼児食は専門知識も必要なので、奥さんの妊娠が分かってから「食育インストラクター」の資格を取り、その勢いで「幼児食アドバイザー」の資格も取得しました。
とにかく食べることは好きですし、そのおかげで自分が健康に丈夫に育ったと思っているので、自分の子どもにも同じ環境を作ってあげたいなと。
まだ資格を取っただけで深い知識はないので、作りながら実践で勉強しています。
娘と一緒に成長していきながら、将来的には「食」に関する仕事もできたら楽しいですよね。健康のためという意味では、体操も食もつながっていますから。
── 資格まで取得するとは……勉強が好きなタイプですか?
いいえ、嫌いなタイプです。
料理や食は好きな分野だったので、苦労がなかったというだけで。
そのための勉強も楽しかったですし、半分くらいは持っている知識でなんとかなりました。
なかなか娘と会えない分、「これはパパが作ってくれたんだよ」と私がいないときに話題に出たらうれしいなという下心もあります。
スーパーでネギを吟味していると……
── 夕食を作ったり、離乳食以外の料理もされますか?
基本的にできるときにはやります。
早めに仕事が終わったときなどは、「夕飯どうする?」と電話を入れて、私が帰りにスーパーに寄って食材を購入して帰ります。
頼まれなくても帰り道にスーパーに寄らなきゃ気が済まないタイプです。
旬の食材は安いし栄養価も高いので、よく使います。
とうもろこしが出てきたら、「甘いから離乳食にいけるんじゃないか……」とか考えながら、スーパーをうろうろしてます。
今は離乳食に使える食材を中心に選んで、そこから夕食メニューを決めることが多いですね。
普段は歩くのが早くて人にあまり気づかれない私なんですが、スーパーで食材を選んでいるとき、特に大好きなネギを吟味して選んでいるときは動きが止まって、声をかけられる率が高まります(笑)。
── パパとしてのスペックの高さを感じますね……!
1人暮らしのときは、帰宅から1時間で一連の家事をこなすスピード感でやっていました。
まず、帰りながら料理のプランを考え、帰宅後のシミュレーションをしておきます。
帰宅後すぐに洗濯機を回して、その間に干した洗濯物を取り込んで畳みます。お風呂を沸かしている間に、野菜を切るなどの下準備を完了させて、お風呂に入って出てきたら、料理を仕上げるという流れ。
これでざっと1時間くらいですね。
ご飯を食べた後は動きたくないという理由もあるんですけどね。
効率よく家事を回す技術は鍛えられました。
今はご飯を食べた後も、奥さんがお風呂に入っている間に娘を寝かしつけて皿洗いを済ませることも。
── 奥様とのコミュニケーションのコツなどはありますか?
家事・育児をやってもアピールはせず、静かに「やっておく」ことでしょうか。
奥さんはもともとケンカをしても引きずらないタイプ。お叱りを受けるときは反論せず、意見を存分に受け止めておくと、翌日にはもう忘れてくれるので助かります。
私が仕事に出ている間、奥さんはずっと子どもと一緒にいるわけですから、家にいられるときは少しでも自分の時間を持ってもらうようにしています。
── 料理も育児も上手にこなして、ママの時間も確保とは……いい旦那さんですね。
自分では料理、寝かしつけ、オムツ替えもできると思っていますが、「ママじゃなきゃダメ」というときはやっぱりあるんです。
泣き止まなくてどうしようもなくて奥さんに渡したら落ち着くという。
この敗北感は大きいですよ。
大抵それは授乳なので、「お腹が空いていただけだ」「パパとママの実力差ではない」と自分を慰めつつ頑張ってます。
やっぱりお母さんという存在は偉大です。ちょっと見えなくなると、娘もすぐママの姿を探しますからね。
子どもはみんな誰かの「宝物」
── お子さんが生まれたとき、どんな風に感じられましたか?
娘の出産時はまだ“たいそうのおにいさん”の任期中でした。
もともと子どもが好きでしたし、毎日多くの子どもにも会っていたので、「自分の子どもが生まれても特別な変化はないかな」と思っていました。
でも生まれてきたわが子を抱っこした瞬間、何て言うんでしょう……特別にかわいくて、「宝物」が手の中にあるような感覚になりました。
子どもは生まれた瞬間に親孝行が終わっている、まぁそれくらいかわいいという話がありますが、本当にその通りだと思うくらいでした。
父親は父性がなかなか芽生えにくいという話もありますけど、全然そんなことなかったです。
地の底から沸いてくるような「父親になれた!」という喜びがあって、“自分でお腹を痛めたのか!”というくらいの強い感情でしたね。
── その後の仕事への取り組み方などは変化しましたか?
実は出産に立ち会った後に収録があったので、そのままスタジオ入りしたんですが……そこで子どもたちを前にしたら1人1人がピカピカ光って見えたんですよ。
あぁ、この子たちも誰かの「宝物」で、その集合体なんだと。
そうしたら子どもたちがものすごくかわいくて、もっと大事にしたい、もっと楽しんでほしいと強く思うようになりました。
それまで13年間も“たいそうのおにいさん”をやってきて、もっと好きになるってすごい感覚ですよね。
子どもを持ったことで、自分自身も大きく変化した瞬間でした。
パパを認識してくれている?!
── お子さんと過ごす時間はどう捻出されていますか?
毎日家を出る時間も帰る時間もバラバラなので、決まった時間は確保できません。
なので、朝起きる時間を少し早くして遊んでから出かけたりしています。
今ちょうど8ヶ月目で、やっとひとりで座っていられるようになりました。
遠くのおもちゃを取りに行くときは、なぜかハイハイではなく、ゴロンゴロンと体を回転させながら移動しています。
そのほうが早いからなのか、回転が好きなのかは分かりませんが、想像を裏切るアプローチで笑ってしまいます。
── 最近、子育てでうれしかったことはありますか?
最近、私のことをパパだと認識してくれているような気がします。まぁ本人に確認していないので分からないんですけど……。
奥さんが私の出演番組を「パパだよ〜」と言って見せたときに、玄関をパッと見るそうです。それは「パパ」=「帰ってくる人」として反応している証拠なので、うれしいですね。
帰宅したときに「ただいま」と言うと、じーっと顔を見た後にニヤッと笑ってくれるんですよ。
そのまま抱っこしたいところを我慢して、急いで手を洗ってから抱っこします。
その瞬間が一番幸せですね。
育児筋トレ、パパにおすすめです
── どんな遊びをするのがブームですか?
飛ぶ感覚が好きみたいなので、高い高いをして、そのまま横移動をさせると喜びますね。視界が変わるのが面白いようです。
自分のトレーニングにもなるので、よくやります。『おかあさんといっしょ』は卒業しましたが、“たいそうのおにいさん”は一生続けたいと思っているので、筋トレは欠かしません。
子どもを遊ばせながらのトレーニングはパパにおすすめですよ。
たとえば寝転んだ状態で高い高いをするだけで腹筋を鍛えられますし、左右に捻れば横の腹筋にも効きます。
── 子どもをあやしながら体型も維持できるのはいいですね。
実は寝かしつけにもスクワットを導入しています。
寝かしつけに関しては、自分なりにかなり試行錯誤していまして……うちの娘は縦抱きが好きなタイプなので、抱っこしたままスクワットをします。
しかもエレベーターで下降したときに“ふわっ”となるくらいの上下運動でしばらく続けると、段々目をつぶってきます。しかし、これはまだ序章です。
手がだらんと下がったら、あと10分で陥落というサイン。
上下の動きを少しずつゆるやかにしていくと、体がふにゃ〜っとゼリーみたいになって、私の体に密着してきます。
ここからベッドに寝かせるまでも勝負です。
なるべく動かさないようにベッドに運び、体を密着させたまま寝かせます。
すぐに体を離すと起きてしまうので、そのまましばらく我慢して、ゆ〜っくり体を話して完了です。
ここまで終わると、冬でも汗びっしょり。
寝かしつけとスクワット・トレーニングが同時にできて一石二鳥ですよ。
自分で選択し、意見を発信できる子になってほしい
── よしお兄さんの育児の方針を教えてください。
父親としては、参観日や運動会といった学校の行事などにも参加して、普通のお父さんがしていることを当たり前にやりたいです。
娘に関しては、自分でしっかり選択して生きていける子に育ってほしいと思います。レールに乗るのではなく、自分で考え、意見を発信する力をつけてほしいですね。
そのためには父親である自分が、先頭に立ってチャレンジする姿をみせなければいけないと思っています。
子どもに「こうなってほしい」と思い描く姿を自分で体現し、その背中を見せられるようにしていきたいです。
── その方針はご自身の育った環境も影響していますか?
そうですね。
母は常に「あなたはどうしたいの?」と、私の意見を聞いてくれました。
それに対して、私もやりたいことや進路の希望など、すべて伝えてきました。
だからこそ娘には自分で進む道を決められる子に育ってほしいですし、それを尊重したいと思っています。
── 読者のお父さん・お母さんへエールをお願いします。
“たいそうのおにいさん”は14年間続けてきましたが、育児をする父親としては初心者です。
子育てにはいろいろな不安や大変さがあり、それは私自身も日々肌で感じています。
その気持ちを皆さんと分かち合い、一緒に成長していけたらいいなと思います。
お互い楽しんで子育てしていきましょう!
プロフィール
小林よしひさ
埼玉県ふじみ野市出身。浅井企画所属。2005年4月4日からNHKの子ども番組『おかあさんといっしょ』の第11代目“たいそうのおにいさん”に就任。2019年3月30日放送分で卒業するまでの14年間の任期は歴代最長記録。卒業後はバラエティ番組やCMなどで活躍中。
出演情報
『映画 おかあさんといっしょ すりかえかめんをつかまえろ!』
2020年1月24日(金)より全国公開
“映画館でいっぱい遊ぼう!”をコンセプトに、お兄さんお姉さんたちと歌ったり踊ったり、クイズに答えたり。よしお兄さんの「ブンバ・ボーン!」など、人気曲もたくさん登場! お子さまの初めての映画にもおすすめしたい親子で楽しめる参加型・体験型ムービー。
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