―― 産後はどれくらいでお仕事を再開されたのですか?
子どもの様子を見ながら、できる範囲で仕事を再開させていったので、「産後何ヶ月から本格復帰」ということはありませんでした。
たとえば最近なら、小学校の夏休みや春休みに合わせて仕事を入れたり、その都度調整しています。
きっとフルタイムでお仕事をされているママさんたちには、もっといろいろな苦労があるだろうなと思います。
―― お子さんが生まれてから、仕事への取り組み方は変わりましたか?
子どもが生まれる前は、自分がいっぱいいっぱいになると、家でもつい仕事のことを考えてしまっていました。
でも、娘が生まれてからは、家で仕事のことを考える時間はありません。
「短い時間でもきちんと仕事をしなければ」と、それまで以上に集中して取り組むようになりました。
出産前に比べて時間は限られるようになりましたが、うまく切り替えができるようになったと思います。
あとは、仕事に対する感謝の気持ちがより大きくなりましたね。
たくさんのタレントさんの中から私を思い浮かべてくれて、お仕事のご依頼をいただけるというのは、すごくありがたいことだなと感じています。
―― お仕事について娘さんの反応は?
「今度こういう仕事をするんだけどどう思う?」という話はいつもしています。
やはり私が仕事で外に出ている時間は、娘と一緒に過ごせなくなってしまうので。
彼女が小さい頃は、もしかしたら本人なりに我慢してきた部分もあったかもしれません。
でも、きちんと説明をすると、「私は大丈夫だよ。お仕事頑張ってね!」と言ってくれます。
今では私の仕事についてもしっかり理解してくれていて、誰より応援してくれるんですよ。
乙葉さん「叶うなら3歳の娘に会いたい」迷いながらも幸せだった子育て時間
74,425 View11歳(小6)の娘さんがいる乙葉さん。インタビュー後編では育児の思い出を振り返っていただきました。もし過去に戻れるなら一番会いたいのは3歳の娘さんだそうですが、その年頃のお子さんがいる読者に伝えたいこととは?
子どもが生まれて“切り替え上手”になった
「できなくても生きていける」割り切りも必要
―― 子育てと仕事の両立のために工夫したことはありますか?
無理をせず、できないことはできないと諦めるようにしてきました。
もともと私は何でもきちんとやりたいと思うタイプ。
やらなきゃいけないことができないことに焦り、パニックになってしまうこともあったんです。
時間のない朝に、慌ててごはんをつくってヤケドしてしまったり。
そんな日は、「ああ、もう今日はダメだ」と、1日気分が落ち込んでしまっていました。
でも子育てをする中で、「これができなくても生きていける」と割り切ることも必要だと学びました。
「焦って失敗するくらいなら、完璧にしなくてもいい」と、前向きに気持ちを切り替えられるようになりました。
あとは、トイレに行ったついでにトイレ掃除をしたり、娘をおんぶしたときにフローリング掃除をしたり、お掃除グッズを各所に置いて「ついで」の家事を増やしたりも。
―― 割り切れるようになったきっかけは何かあったんですか?
今思えば、娘が生まれてすぐの頃は、「ちゃんとやらなきゃ」と頑張りすぎていました。
それこそ授乳した時間やオムツを替えた時間などを細かく記録して。
そのうち書くことに追われて1日が終わってしまうという本末転倒な状態に……。
さらに「昨日はこうだったのに今日は違う」と、些細なことを心配して気持ちが追い詰められていました。
そんな風にいっぱいいっぱいになっていた私を救ってくれたのはお義母さんの一言でした。
「そんなにきっちりやらなくても、元気に育っているから大丈夫よ!」と声をかけてくれたんです。
その言葉でフワッと心が軽くなりました。
―― 一人で抱え込まないことが大事ですね。
家に引きこもってばかりにならないように、娘を連れてできるだけ外に出かけるようにもしました。
出先で同じくらいの月齢の子をもつお母さんに自分から声をかけて、友達になってもらったことも。
他の赤ちゃんを見て「こういうことをしてもいいんだ」「こんなこともできるんだ」と学んでいきました。
育児書を見ると、「何ヶ月で首がすわります」「何ヶ月で寝返りをうちます」と細かく書いてあるじゃないですか。
「離乳食は何ヶ月から」「これは食べさせちゃダメ」とか。
赤ちゃんの頃って、気にしようと思えばいくらでも神経質になれる時期だと思うんです。
でも、全部細かくやろうとすると、キリがないですよね。
外に出てママ友達ができたことで、「何でも全部やろうとしなくても大丈夫なんだ」と思えるようになりました。
―― 周りの人の存在も大きかったのですね。
あのときは自分でもアクティブだったなぁと思います。
大人になると、知らない人に自分から声をかけることって勇気がいりますよね。
子どものためだから積極的に声をかけることができたけれど……今もう1回同じことができるかと考えたら、無理かもしれないです。
独身時代からの友達にも救われましたね。先に結婚・出産した私とみんな変わらず遊んでくれました。
娘も赤ちゃんの頃からたくさんの大人に遊んでもらって人見知りもなく育ったので、そういう面でもよかったと思います。
親子でも好きなものは全然違う
―― 娘さんは今どんなものが好きですか?
今は歴史に興味があるようで、家族でお城を見に行ったり歴史博物館に出かけたりしています。
子どもたちの興味のあるものへの情熱というか、情報をキャッチする力や知識を吸収するスピードには驚かされますね。
ほかにもいろいろなものに興味があるようですが、私が子ども時代に好きだったものとは全然違うので、発見と勉強の連続です。
―― 親子でも好きなものが違うのは面白いですね。
「ずっと一緒にいるのにこんなに好きなものが違うんだ!」というのは、子育てをして初めて知った驚きでした。
娘が好きな歴史も私は全然詳しくないので、いつも教えてもらっているんですよ。
自分の子どもであっても、好きなものや苦手なものは親と同じではないんですよね。
それはやっぱり一個人として尊重すべきだと思います。
たとえば習いごとも、私は子どもの頃ピアノを習っていましたが、「親が好きなものを子どもも好きになるとは限らない」と思い、娘の興味がありそうなことをいろいろ試しました。
本人が「やりたい」と言ったら、何でもまずは体験して、その中から娘が夢中になったものを選んで続けていきました。
逆に、本人が苦手なものや「やりたくない」と言うものを無理強いすることはなかったですね。
自分が好きなことに思い切り打ち込んでほしいと思っています。
―― 将来はどんな風に育ってほしいですか?
まずは安全で元気に育ってくれれば。
その上でやりたいことが見つかれば、全力で応援したいと思いますし。
これからもずっと、何かあったときにはいつもそばにいるということを知っていてもらいたいですね。
娘が成人するまで本当にあとちょっとだと思うと、正直寂しい気持ちが大きくて。
成長がうれしい反面、少しずつ親から離れていってしまう寂しさがありますね。
叶うなら、一瞬でいいから赤ちゃんの頃に戻ってほしいくらいです。
それでも娘にとっていつでも帰ってくることができる、心のよりどころでありたいと思っています。
これから中学生、高校生になると、勉強や部活などで忙しくなって大変だという話を先輩ママからよく聞きます。
来年からは家で過ごす時間も短くなりそうなので、今のうちにたくさん話をして、娘と過ごす時間を楽しみたいです。
あの片言をもう一度聞きたい!
―― もし過去に戻れるなら、何歳の頃の娘さんに会いたいですか?
うーん、難しいですね……。
何歳の娘も大好きなんですが、強いて言うなら、3歳くらいの片言をしゃべっていたときは本当にかわいかったです。
舌っ足らずな感じの片言や言い間違いを、もう1回聞いてみたいですね。
娘が片言を卒業して流暢におしゃべりができるようになったとき、「普通にしゃべれるようになっちゃったな」って、ちょっと寂しかったんです。
あの頃踊っていためちゃくちゃなダンスも、今はもう恥ずかしがって絶対にやってくれないですから。
あのダンスや歌も、片言も、本当に一瞬だったなって思います。
―― 3歳頃の言い間違い、かわいいですよね!
「抱っこして」を、なぜか「ドラチチメ」って言ってたんですよ。
娘が「ドラチチメ~、ドラチチメ~」って言いながらこっちに来ると、ああ抱っこしてほしいんだなって。
それがすごくかわいくて、できることならもう一度言ってほしいですね。
あと3歳くらいまで、パパのことを「おとうしゃん」って呼んでいました。
夫にとっては、小さい娘に「おとうしゃん、おとうしゃん」って言われるのがたまらなかったみたいですけど、普通にしゃべれるようになったら「パパ」に変わってしまいました。
周りのお友達が「パパ、ママ」って言うのを聞いて、合わせたのかもしれません。ちょっと残念ですね(笑)。
そんな話を娘にしても、「え?何が?」という感じで、全然覚えていないんですよ。
今子育て中のママ、パパにとっては、お子さんの片言や言い間違いも日常のことだと思いますが、ぜひたくさん録音をしておくことをおすすめします!
何もできなかった1日を子どもと笑う
―― 子育てを楽しむコツはありますか?
11年母親をやっていても、まだまだわからないことはたくさんあります。
たまに間違ったことを言ってしまって、子どもに謝ることもありますし。
だから、「子育てを楽しもう」と気構えるのではなく、子どもと一緒に、1日1日を「何もできなかったね〜」と笑い合えるくらいがちょうどいいのかな、と思います。
子どもとお出かけしなきゃとか、楽しまなきゃとか、頑張らなきゃとか、そういう思いはいったん脇に置いておいて。
「何もできなかったね、笑っちゃうね」というくらいの感じでやっていければ、結果としてそれが、子育てを楽しむことになるのではないでしょうか。
―― 頑張りすぎないこともコツなのかもしれないですね。
頑張りすぎると、きっとママ自身がつらくなってしまいます。
時にはうまくいかなかったり、適当になってしまうこともあるかもしれません。
でも、何でもルール通りにやろうと頑張りすぎるより、そのときの流れでマイペースにやっていく方が、きっと気持ちもラクになると思います。
―― 最後に、子育て中の皆さんにメッセージをお願いします。
子育てをしていると本当に学ぶことが多いです。
私も今、子どもと一緒に成長しながら、親として勉強している最中です。
大切なのは、子どもとの毎日を家族で過ごせること。そのためにも、私自身、できるだけ心にゆとりを持っていたいと思います。
今、子育て中のママやパパも、毎日大変なことがたくさんありますよね。
でも、子どもの成長は本当に早いです。
1日1日を楽しみながら、一緒に頑張っていきましょう!
プロフィール
乙葉
1981年生まれ、長野県出身。エンプロ所属。1999年雑誌でデビュー、2002年には歌手デビュー。その後、テレビやCM、ラジオ、映画、舞台など多方面で、タレント・女優として活躍。2005年、お笑いタレントの藤井隆さんと結婚。2007年10月に第1子である女の子を出産。「いい夫婦 パートナー・オブ・ザ・イヤー2015」受賞。
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