―― お子さんが生まれてから、仕事のやり方は変わりましたか?
あんまり変わらないですね。
仕事をちょっと減らしたくらいかな。
たとえば、何泊もするようなロケは断ったり、テレビのお仕事もレギュラーではなく準レギュラーって形にしていただいたり。
仕事によって、できるものをやる、という感じで調整してました。
子どもの行事があるときはそっちを優先して、仕事を休んでましたし。
―― 学校行事は多かったですか?
ほかの学校に比べてすごくたくさん行事がありました。
うちの学校は「教師と保護者と子どもの三者でやっていきましょう」っていう校風だったので、保護者参加の行事も多くて。
私も学校行事にはほとんど行ってましたね。
運動会なんて本当にすごい盛り上がりで、親だけの騎馬戦があったんですけど、もうみんなガチ(笑)。
髪の毛引っ張ったりして、みんな血の気が多いから、救急車を呼ぶ騒ぎになったこともありました。
「ちょっとやりすぎ」ってことで、途中からなくなって穏やかになりましたけど。
でも、普段走らないお父さんが足つったりしてね。
まあ元気でいいんじゃないですか。
終わったらみんなでお酒飲んだりして、すごく楽しかったですよ。
―― 保護者同士も楽しそうですね。
学校行事もレクリエーションだと思って気軽に参加してみたら、どんどん楽しくなっていくと思うんですよね。
はじめはどうなんだろうって思っても、参加してみたら楽しいじゃん、っていうのがほとんどなので。
もちろん学校やクラスの雰囲気もあるでしょうけどね。
思春期の備えは幼い頃から! 心配しすぎて個人の尊重を忘れちゃダメ
12,969 View大学生の息子さんが高校生のころまでは、PTAや学校行事にも積極的に参加したというYOUさん。保護者活動を通して得られたことは多いそうです。YOUさん流の子育てを楽しむコツも聞いてみました。
保護者活動はレクリエーション感覚で楽しんでた
PTAをやると学校の仕組みがよく分かる
―― 行事のほかに学校に行く機会はありましたか?
役員もよくやってたから、一貫校に通っていた幼稚園から高校までの15年間は、しょっちゅう学校に行ってました。
仲がいいお母さん同士で、「一緒に学級委員をやろうね」って立候補したりして。
そうすれば違うクラスでも委員会で会えるから。
PTAはめちゃめちゃ楽しかったな。
行事もPTA活動も、とにかく楽しんでやってましたね。
―― 役員をやってよかったことは何ですか?
違う学年のお母さんと知り合いになって、縦のつながりができたことかな。
子どもが直接教わっていない先生とも、すごく仲よくなれたし。
PTA活動を通して学校全体の仕組みがよく分かったから、子どもたちの様子もつかみやすくなりました。
もし役員をやっていなかったら、自分の子どものことだけに考えが偏ってしまって、かえって心配ごとが増えていたかもしれない。
もちろん性格にもよると思うけど、私の場合は参加しちゃった方がいろいろ分かって楽しかったですね。
―― 「PTA=大変」というイメージもあると思いますが、楽しむコツは?
うーん、たとえばクジ引きで決まるとか、やりたくないのに役員をやるのは嫌だよね。
私はもともと学生の頃から、そういうことをやるのに抵抗がなかったから楽しめたけど。
クラスにもよっても違いますからね、やっぱり少し難しいクラスもあるし。
でも、何でも「楽しもう」という意識があれば、いい方向に転がるというか。
「大変そう」と、あんまりネガティブにとらえて気構えると、どんどんやりにくくなっちゃうと思うんですよ。
学校に行くようになれば、顔見知りもどんどん増えて、いろいろ話せるようになるし。
あんまり面倒くさいと思わないで、自分も学生時代に戻ったような気持ちで参加してみると、きっと自然に友達もできるんじゃないかな。
で、友達ができれば学校に行くのも楽しくなる。
それは本当に学生時代と一緒だと思います。
学校に文句を言う前にコミュニケーションを取ろう
―― 「無理せず楽しむ」という姿勢がポイントですね。
もちろん、いろんな事情でPTA活動ができない人もいますよね。
できる人がやるから楽しいんです。
私が役員をやったときにみたいに、明るい感じの人たちが率先して分担していけると、うまく回るんですけどね。
子どものことだから、全部学校任せにはできないし。
そういう意味では、先生に対しても、リスペクトはしてたけど必要以上にアテにはしてなかったですね。
だって先生一人で全部やるなんて無理だもん。
分からないことがあれば学校に行って聞いたり、先生が大変そうだったら「じゃあこっちでできることはやります」って、みんなで明るくやってました。
―― 信頼はしても任せきりにはしない、ということですね。
そう。それに先生に不安を感じたら「大丈夫?」って聞いちゃう。
時々、先生とコミュニケーションを取ろうともしないで文句だけ言う保護者がいるけど、それはちょっと違うと思う。
たとえば「若くて頼りない先生だな」と思ったとしても、先生だって経験を積んで成長していくんですよ。
しっかりコミュニケーションを取れば、先生のいいところも分かるし、サポートもできる。
何でもやたらと学校のせいにするなんて、本当にくだらないと思いますよ。
そうやって子どもたちの考える力や、危機回避能力を失わせることになるんだから。
そりゃ「何かあったら怖い」って気持ちも理解できるけど、やってみないと何も分からないじゃない。
困っているお母さんがいたらみんなで助ければいい
―― 学校生活でトラブルはなかったですか?
お母さん同士のもめごとなんかもありましたよ。
親同士でトラブルがあって、学校に来なくなっちゃったお母さんがいたり。
でも話を聞いてみると、「誤解じゃないかな?」と思うようなこともあって。
それでいろいろ調整して、そのお母さんが行事に来られるようにしたりしてました。
不登校の子とかもいたけど、「お母さんだけでも学校に来ればいいじゃん」って声をかけて、「子どもも家では元気にしてるよ」って話を聞いたりして。
そういうことも、上手にリーダーシップをとれる人がいると、まとまるんだよね。
だから、何かできないことがあるお母さんや、困ってるお母さんがいたら、「一緒にやろう」って気持ちになれたらいいですよね。
ただ、学校はあくまでも子どものための場所だから、「親が主役じゃない」というのはわきまえてないとダメ。
親は親で先生と協力してうまく回す。
子どものことは、何か問題があれば話を聞いて、解決させる。
学校によって違いはあるでしょうけど、私たちはそんな感じでやってました。
―― 学校との密な関係があるから分かることですね。
子ども同士でトラブルがあったときは、クラスのミーティングを2~3時間やってたみたいですね。
何かあったら自分たちでクラスのルールを決めて解決する、っていう。
すごく自主性の高い学校だったと思う。
誰かが言ったことにみんなが同調する、なんてことは全然なかったから、一人ひとりがちゃんと自分の意見をもって、自己主張しなきゃいけないんですよ。
息子も、そういう面では結構鍛えられたんじゃないかな。
―― 息子さんのお友達関係はどうでしたか?
小学校に入ってサッカーをはじめたんですけど、チームの子どもたちみんなで、毎週のように誰かの家に泊まっていました。
週末に試合があるときは、その前日にみんなで泊まって、朝そこの家のお父さんやお母さんが会場まで連れて行ってくれて。
そうやって、みんなで持ち回りで育ててましたね。
うちに泊まりに来るときは、子どもと一緒にお母さんたちも集まって。
親はこっちの部屋で飲んで、子ども同士はあっちの部屋で遊んで、ってワイワイやってました。
―― それはにぎやかだったでしょうね。
小学4年生くらいまでは、子どもたちもかわいかったんですけどね。
男の子が11人だから、大きくなるにつれて、とにかく食べる量がすごいの。
ご飯を炊いても炊いても足りなくて、5合炊きの炊飯器を2つ買ったかな。
「泊めるのは全然構わないから、米持ってこーい!」って感じでしたね。
試合にも毎週応援に行ってました。お母さんたちみんなで。
ほかにも、お正月にチームメンバーと家族ぐるみで旅行したり。
親子ともに、今でもずっと仲よしです。
思春期対策は幼い頃からの「ホウ・レン・ソウ」習慣
―― 反抗期はありましたか?
何か今の子って、分かりやすい反抗期はあんまりないみたい。
うちの子も別に、返事が「ああ」ってぶっきらぼうになるくらいで。
昔みたいに暴れてる中学生とか、周りでも全然見かけないし。
ただ、あからさまな反抗期がない分、親御さんにしてみたら、「思春期の子どもが何を考えているのかよく分からない」って不安はあるかもしれないけど。
―― 思春期に気をつけた方がいいことはあるのでしょうか。
中学生くらいになって、急に親があれこれ聞き出そうとしても、子どもにとってはウザいだけじゃない?
親もはじめてのことだからアタフタしちゃうだろうけど、だからってしつこくすると、「ウザいな」って逆効果になっちゃう。
だからそれは、子どもが小さいうちからクセをつけておくといいんじゃないかな。
うちも息子が小さい頃から「今日何やってたの」「誰と?」みたいな会話はずっとしてきたし、今も変わらない。
会社での「ホウ・レン・ソウ」じゃないけど、親が保護者でいる間は、子どもには答える義務があるんだから。
子どもが思春期に入る前から、そういうコミュニケーションの型をつくっておくといいかもしれないですね。
それで「ちょっと様子がおかしいな」って思ったら、どう対処すべきかっていうのは、たぶん親が一番よく分かるはず。
それは夫婦でも友達でも同じだよね。
―― 思春期だからといって身構えない方がいいのかもしれませんね。
子どもも親もみんな違うから、正解なんてどこにもないのよ。
その家庭のルールがあるし、子どもの性格によって、言葉の引き出し方も全然違うだろうし。
親子とはいえ個人と個人だから、心配とプライバシーの尊重を一緒にしちゃうと、ちょっと面倒なことになりそうだけど。
でも、子どもだって親の愛情を分かって文句を言ってるわけだから、きっと大した問題にはならないと思いますよ。
―― 息子さんにはどんな大人になってもらいたいですか?
人に迷惑をかけなければ何でもいいです。
何も望んでないし、こうなってほしいみたいな思いもない。
ちゃんと社会の一員として、人に迷惑をかけずに、楽しく過ごしてもらえばいいんじゃないですかね。
「人に迷惑をかけない」というのは息子が小さい頃からずっと言ってます。
それがどういう意味かは、彼が自分の頭で考えること。
そんなことまで親が細かくあれこれ言う必要はないですよ。
ただ、大人になっても、交通事故を起こしたらどうしようとか、そういう心配は常にありますね。
子どもが40歳になっても、たぶん変わらず心配するんだと思う。
それは親として、きっと死ぬまで続くんじゃないかな。
プロフィール
YOU
8月29日生まれ、O型、東京都出身。CIRCLE LINE所属。18歳でモデル、歌手としてデビュー。その後24歳から、バンド「FAIRCHILD」のボーカルとして活動。バンド解散後はタレントとしてCMやバラエティ番組に数多く出演するほか、ドラマや映画、舞台など女優としても活躍中。自然体で飄々とした佇まいと、歯に衣着せぬ辛口トークが人気。
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