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公開 2019年10月22日  

ズル休み?原因不明の子どもの腹痛… それは"ストレス"のサインかも

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SNSやブログで育児と医療にまつわる情報を発信しているパパ小児科医(ぱぱしょー)の連載「教えて!ぱぱしょー先生」がスタート!
第1回のテーマは、「子どものストレスからくる症状」です。


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はじめまして!

パパ小児科医(ぱぱしょー) と言います。

小児科の医師で、5歳と3歳の子を育てる父でもあります。

こちらでは小児科医としての目線と、親としてのの目線の両方から情報を発信していきます。

1回目のテーマは、「ストレスに関連した症状」。

腹痛を中心に紹介します。



子どもにもストレス症状が!?


ストレスに関連した腹痛というと、「子どもでそんなことあるの?」と思われるかもしれません。

しかしストレスは、子どもの腹痛の原因としてポピュラーなものです。

小学校高学年から思春期にかけて増えますが、小学校低学年やそれ以下の子どもにも起こることです。


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大人だったら、友人や家族に「ちょっと聞いてよ…実はね…」と悩みを話してスッキリすることができますが、子どもはそれがうまく表現できないために、体の症状として現れます。

腹痛はぼんやりした弱い痛みだったり、時にうずくまるほどの強い痛みだったりとさまざまです。

ストレスに関連した症状は腹痛だけではなく、頭痛や全身の倦怠感などもあり、それらが同時に起こることもあります。

子どもは言葉で気持ちを表現できないぶん、体が「休め!」と危険信号を出しているようなものなのです。

初期の段階でいきなり症状が出ることは少なく、症状が出る頃にはストレス状態がしばらく続いていたと考える方がいいでしょう。

よくあるものとしては、友達とのトラブルや環境の変化などです。

いじめだったり、いじめではなくてもクラスに乱暴な子がいて怖かったり。

そのほか、クラス替えや入園入学で新しい環境に慣れない、担任が怖い先生に変わった、両親の不和なども原因として挙げられます。

ただしその原因ははっきりしないことも多いですから、まずは腹痛について、何か体に異常なところはないか、腹痛を緩和させる方法はないかを考えていくことが大切です。


受診したほうがいい目安は?


腹痛が起こった時点では、何が原因であるかはっきりしません。

軽い腹痛で食欲もあり日常生活に問題なければ、いったん様子をみていいでしょう。

強い痛みがある、食欲がない、下痢や嘔吐がある、ぐったりしている、体重が減ってきたなど日常生活に影響がある場合は早めの受診が必要です。


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どのように診察するの?


子どもの症状としてよくある腹痛ですが、痛みの原因はさまざまです。

診察ではまず虫垂炎(いわゆる盲腸)、腸閉塞など手術治療が必要な重い病気がないかを見極め、次に便秘や感染性胃腸炎など特定の身体的な原因の可能性を考えます。

次にどのような経緯で腹痛が起こったのかを問診し、お腹の触診をして必要に応じて便検査や血液検査、レントゲンやエコーなどの画像検査を行います。

その過程で多くは診断がつきますが、検査しても何もないことがあり、その時点でようやくストレスが主な原因であることを考えます。

ただし身体的な病気とストレスによるものは混在することもあり、一緒に診ていく必要があります。


じっくりと向き合うことが治療の基本


ストレスのきっかけもさまざまで原因がはっきりしないことは多く、治療も人それぞれです。

「これ!」という特効薬があるわけではありません。

診療をしていると、「気持ちを落ち着ける薬をください」といわれることがあります。

漢方薬を含め、症状を緩和させる目的等でお薬を使うことはありますが、問題を根本的に解決するものではない事に注意してください。

基本的には定期的に通院して、じっくりと向き合って治療していきます。

ある日を境にスパッと痛みがなくなるというよりは、数週間、数ヶ月の経過の中で、痛みの頻度や程度の軽減や、痛みはあっても日常生活に支障はないという状態を目指します。

そのうちに医療従事者や家族に気持ちを話すようになったり、遊びの中で気持ちを表現したりするようになっていくのです。

気持ちを表現すること自体にも治療効果がありますし、その中で問題となる背景が見えてきます。

人間関係や環境に明らかな問題があるなら、そこにアプローチすることで症状の緩和が期待できます。


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ズル休みではなく、体の危険信号かも


例えば、腹痛があって「学校に行きたくない」と言うことは多いです。

この場合は体が危険信号を出している状態ですから、休む必要があります。

「ズル休み」ととらえて無理に行かせると症状は悪化するでしょう。

休むことですぐに解決するわけではありませんが、しんどければ休んでもいいという状態に子どもは安心できます。

休むべき期間は人それぞれですので、医師と相談をしてください。

直接、子どもに原因を聞こうとしても、それを正確に答えることは簡単ではありません。

家での何気ない会話の中でポツリと気持ちを言うこともあるでしょうし、旅行やレジャーなどで同じ時間を共有するのもいいと思います。

ストレスに関連した腹痛といってもごく一時的な症状の子もいれば、ずっと慢性的に続く子もいます。

学校に行けないほどのレベルの場合もあれば、学校には行けるけどちょっとしんどいといった子もいて、人それぞれ程度も事情も違うため、専門性の高いオーダーメードの対応が必要です。

日本小児心身医学会認定医(※)など専門家への相談が望ましいですが、専門家の数は少なくなかなか予約が取れないのが現状です。

私は専門家ではないので、初期の診断や、専門家へ相談が必要な患者さんを紹介したりといったことを行なっています。

小児科ではこれらの初期対応はしていますので、まずはかかりつけの先生とよく相談してください。

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子どものストレスを発散するために


ストレスに関連した症状は誰にでも起こりうるものですが、予防するためにはどうすればいいでしょうか?

私は、友達との遊びや、スポーツや芸術、家族との何気ない時間の中で、自分の気持ちを表現して発散することが大切だと考えています。

特に家族は子どもの話すことをウンウンと最後まで聞いて、子どもが話しやすいようにしていくことが望ましいでしょう。


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例えば5歳のわが子は比較的外ではおとなしいタイプで、いろいろと気を遣っているのか、帰宅すると疲れてとても不機嫌なことがあります。

家族の前では自分の気持ちを発散することでバランスをとっているのでしょう。

「いらいらしてるのね」「お茶がこぼれたのがイヤだったのね」と、子どもがうまく伝えられないところを代わりに言うようにしています。

「お茶がこぼれたくらいで泣くな!」などと否定的な言葉をかけると気持ちを表現できず、そのストレスは体の症状として現れてくるでしょう。

子どもがいらいらすると親もいらいらしてきますが、否定的な言葉をかけないようにと意識しています。

大人でもストレスを感じ腹痛や頭痛など様々な症状が起こりますが、人に話たり、音楽を聴いたり、嫌いな人と関わりを少なくしたりと色々な方法で対処しています。

一方子どもは、それらの対処がうまくできませんので、話を聞いてあげたり、遊んだり、嫌なことと離れさせてあげたりとサポートが必要となります。

それらの対処法は大人になっていく過程で学んでいかなければなりません。

ストレスに関連した症状が子どもに起こると、親としてはショックな面がありますが、大人になっていくための一つのきっかけにしていただければと思います。


※ この記事は2024年09月30日に再公開された記事です。

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