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公開 2019年11月26日  

ルーツは「サンタ役」だったのか!背の低い僕が、自己肯定感を獲得できた理由

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SNSやブログで育児と医療にまつわる情報を発信しているパパ小児科医(ぱぱしょー)の連載「教えて!ぱぱしょー先生」。
第3回のテーマは、「自己肯定感の伸ばし方」です。


父親として、小児科医として、子どもたちにできること


「子どもの自己肯定感を育みましょう」

近年よく聞かれるようになった言葉ですね。

最初聞いたときは、どういうことかよくわからなかった人は多いのではないでしょうか。

私もその一人でした。

「自己肯定感」を辞書でひいてみると「自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する語。 自己否定の感情と対をなす感情」とあります。

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診療していると、ストレスが関連していると思われる慢性的な頭痛や腹痛を訴えるお子さんが、「自分はどうせ…」というように自己否定している様子をしばしば目にします。

小児科医として、また一人の父親として、子どもが自己否定的にならないようにするにはどうすればいいのか。

また、「自己肯定感」を高めるにはどうすれば良いのかを、自分の中の自己肯定感のタネのようなものを振り返りながら考えていきたいと思います。

「小柄だから」たまたま選ばれたサンタ役


幼稚園年中の冬、クリスマス会の劇の配役を決めている時のことでした。

サンタから、トナカイ、プレゼントを待つ子どもなど、色々な役がありました。

初めての演劇という状況に「どの役になるんだろう?」とドキドキしていましたが、どうせならサンタの役がいいなと心の中で思っていました。


サンタの役を決めるときになって、悩み始めた様子の先生たち。

どうやら衣装がとても小さく着られる人がいなかったようです。

私は今でも小柄ですが、幼稚園児のころも背の順は一番前でした。

誰もサンタの衣装を着ることができなくて、結局一番小さい私にサンタ役が決まったのです。

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ラッキーと喜ぶ気持ちもありつつ、突然やってきた大役にちょっぴり不安を感じたりもしました。

サンタといえば間違いなく主役…の割にはセリフが2つほどしかなかったと記憶しています。

それは「よく食べて、よく寝たわい」というセリフと…あと一つは忘れました(笑)。

ストーリーは、クリスマスの当日に寝坊してあとから登場する、ちょっと間抜けなサンタのお話だったと思います。

セリフも少なく、あとから登場して一番目立つ、正直オイシイ役。

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練習も問題なくこなし、当日も気分良く、「よく食べて、よく寝たわい」をしっかり演じきり大きな拍手をもらったのでした。

少し不安を感じながらの演技でしたが大きな拍手をもらい、「劇って楽しいな」と興奮したことを覚えています。

「とっても上手だったね!」幼稚園の先生にたくさん褒めてもらい、親もとても喜んでいました。

その後も小学校、中学校、高校と大きくなる中でも、親はよほど嬉しかったのか、「あんたはな、サンタの役やって、すごく上手やったんやで。」と何度もこの時の話をするのでした。

自分にとっては大昔の話で、だんだん記憶も薄れてきていますが、悪い気はしませんでした。

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サンタ役の思い出を語る母が、自信を後押しした


それ以来、人前に出てパフォーマンスをすることが好きになりました。

緊張はするけれど、それ以上に楽しいとか気分が高揚するのです。

小学校から習い始めたピアノでは時々発表会に出るようになり、大学の音楽部ではピアノコンサートをしたり、高校生の時はバンドを組んでライブをしたりしました。

医者になった今では一般の人向けに健康イベントをしたりしています。

その起源をたどると幼稚園の時にふってわいたサンタ役にあるのではないかと、最近考えるようになりました。

サンタ役がうまくいったことだけでなく、親が嬉しそうに昔話をするたびに、人前でパフォーマンスをするのが得意だという自信が強化されていったのだと思います。

自己肯定感は身体にも影響がある


自己肯定感と聞くと、何か特別なことをしなければいけないことのように感じるかもしれませんが、そんなことはありません。

子どもが何かをしたとき、親としてその嬉しい気持ちを伝えたり、語ったりすることが大切です。

慢性的な頭痛や腹痛など、心理的な影響から来る症状にも自己肯定感も大きく関係しているため、身体的な面から見てもとても重要なことです。

今、父親となった私が幼い娘たちにかけている言葉も、将来彼女たちの得意なことに影響を与えるのかもしれません。

「お絵かき素敵だね」「●●ちゃんのお歌聞くの好きだな」

ちょっとした言葉の一つひとつが未来につながる…そんなふうに考えています。


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私なりの「自己肯定感」


「自己肯定感ってなんだろう?」

私なりの答えは、「自分は背が低いけれど、だからこそ背が高い人にはできなかったサンタの役を経験できた」というような考え方ができることです。

私は小さい頃から小柄で、また病気の治療の影響で身長があまり伸びませんでした。

体格に恵まれた人を見ると「自分ももうちょっと背が高ければ」…そんなふうに自己否定的な気持ちも時折感じていました。

子どもたちも背が低いとか、引っ込み思案とか、運動が苦手とか、色々思うところがあるでしょう。

それでも私にはコレがあるとか、だからこそコレが適していると思えることが大切だと思います。

いろんな子育て方法がありますが、私はシンプルに自己肯定感を高めることを意識しています。

それは子どもが達成感を感じた時に褒めることや、親が嬉しかった気持ちを伝えたりすること、色んな分野で長所を探すことなどで高まるのではないでしょうか。

「サンタの役、上手やったんやで」

私が大人になった今でも、嬉しそうにそう語る親を見ているとそう感じます。


※ この記事は2024年12月20日に再公開された記事です。

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