『セブンティウィザン』は70歳の夕子と65歳の朝一、2人で135歳夫婦が、協力しながら初めての子育てに挑む斬新なストーリー。
驚くような設定ではありますが、悩みながらも育児の喜びを味わう夫婦の姿は、とてもリアル。
思わず「あぁ、わかるな~」とうなずくエピソードばかりです。
実は、タイム涼介さん自身の子育て経験が、多く生かされているそうです。
さっそく、タイム涼介さんにお話を伺っていきましょう!!
ドラマ化も決定!『セブンティウィザン』作者が作品にこめたメッセージ
76,726 Viewコノビーで公開中の『セブンティウィザン』。共感と涙を呼ぶストーリーを楽しみにしている方も多いはず。作者のタイム涼介さんは、現在、5歳の娘さんの子育てに奮闘中のパパ。来春、テレビドラマ化も決定した『セブンティウィザン』誕生秘話をお伺いしまいた。
滅多にいないけど、どこでもいるような夫婦に
――70歳の超高齢出産という新しい物語設定ですが、なぜ70歳の妊婦と65歳の夫の物語を描こうと思われたのでしょうか?
妊娠や出産などデリケートな題材を描こうと思った時に、できる限り傷つく読者が出ないようにと考えた結果でした。
皆さんが特定の誰かを思い浮かべ「あの人の話」と思わないようにするにはどうしたらいいか?
そう考え抜いて、70歳の妊婦そして、65歳のパパという主人公に辿りつきました。
結果的に滅多にいないけれど、どこにでもいるような夫婦になり、読む方が自分の人生を投影しやすくなったようです。
――とても親近感がわき共感できるのはなぜだろうと思っていました。実は、考え抜かれていたんですね。
そうですね。超高齢出産という設定はひとつの比喩です。
年齢にかかわらず、健康状態や経済状態など、子どもは決して好条件の下にだけ授かるわけではないということも表現したいと思いました。
そして老い先短い両親が子供を産むなんて…という風に思うのではなく。
それなら、みんなで大事に育てよう!という気持ちになって貰えるように、子どもの愛おしさを描いていきたいと思っています。
子どもの可愛さは、漫画家の想像力を簡単に超えてくる
――タイム涼介さん自身も子育て真っ最中のパパだとお伺いしました。ご自身の子育て経験がどのように生きていますか?
漫画に出てくるエピソードは、子育てする中で気づいたことが多いですね。
漫画家がどれだけ悩もうが、想像力を発揮しようが、子どもの面白さや可愛さはそれを簡単に超えてくるんです!
第29話「天才みらいちゃん」の中のセリフ「ノビーバッタ」は実際にうちの娘が発した言葉でした。
散々観察してようやく「ノビーバッタ」の謎が解けた時は可愛すぎて感動しました。
他にも、子育て経験ではありませんが、実はよく出てくる愛犬オードリーのエピソードには、私たち夫婦と愛犬との大切な思い出が詰まっているんです。
私たちに子どもが生まれると、どこか安心したように一日一歩ずつ天国に向かって歩いて行くのを感じたエピソードは、そのまま漫画の物語になっています。
子どもと過ごした時間は生涯、宝物のように輝く
――朝一の夕子への細やかな気遣いも、とても素敵だなと思いながら拝読しています。こちらにもご自身のご経験が生かされているのでしょうか?
朝一は定年を迎えた立場で、常に育児に参加できる時間があります。
そして、年齢的にも体調にも常に危機感があるので、妻を気遣う気持ちが鮮明になるのだと思います。
実際、若くても同じように助け合いが必要なぐらい育児は大変ですよね。
私は漫画家という職業なので、仕事柄つねに自宅にいます。
そのため完璧ではありませんが多くの部分で、母親と同じ目線で子どもを見ることができました。
そこで気づいたのは、男女問わず最前線で育児をしている人は、一瞬一瞬が緊張の連続でストレスを抱えているものだということです。
一方、本当はもっと関わりたいのに、育児に関われずに、もどかしい思いをしている方もいるかと思います。
私のように、育児に関わることができることが、どれだけ幸運なことか、毎日身に染みて感じています。
子どもと過ごした時間は生涯、宝物のように輝き続けると信じて、今はただただ、育児できる幸運を噛みしめています。
世界との繋がりを取り戻した安堵感
――この漫画の中で、特に思い入れのあるエピソードはありますか?
第12話 「15分間の息継ぎ」は個人的に思い入れがありますね。
新生児を抱え閉じこもりっぱなしの日々で、ほんの短い時間コンビニやスーパーに行った時の輝くような解放感。
世界との繋がりを取り戻した安堵感をいまだに思い出します。
どんなに幸せでも体が疲れれば、心も疲れるわけで。
そのしわ寄せが子供にいかないように自己管理が必要になりますが、そう簡単ではありません。
夫婦同時に疲れていくこともありますので、常に相談できる外部の誰かを見つけておくべきだと思いました。
この漫画は「大切な人の人生」
――最後に、小日向文世さんと竹下景子さんが演じられるという来春放映予定のTVドラマ化ですが、お話を聞いた時はいかがでしたか? この漫画やドラマが、どのような方に届いてほしいと思われますか。
ドラマ化のお話をいただきまして大変、光栄に思っています。
国民的な俳優さん方に、朝一さんと夕子さんを演じていただけるということで、夢のように嬉しいです。
漫画の制作に対してもより一層、身の引き締まる思いです。
私は、この漫画は「大切な人の人生」だと思って描き続けています。
妊娠は夫婦の人生において一大事ですが、同時に妊娠は赤ちゃんの人生の一部であるという意識を多くの皆さんと共有できたら嬉しいです。
また、子育て中のお母さんお父さんは勿論、その親御さんにも見ていただいて子供や孫の可愛さを再認識していただけたら幸せです。
(編集・インタビュー:コノビー編集部 柳澤)
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