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公開 2019年12月17日  

わが子を「いじめる側」にしないために。SHELLYさんが伝えたいこと

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2人の娘さんを子育て中のSHELLYさん。さまざまな問題に関心が高いSHELLYさんとのお話は、子どもの価値観の育て方や、いじめの解決策、バイリンガル子育てなどについても広がりました。


大人の価値観を子どもに伝えたくない

―― 子育てで「これだけはしない」と決めていることはありますか?

大人の価値観を伝えないことですね。押し付けたり、無意識に刷り込まないようにも気をつけています。

たとえば他人の子をほめるときに、「○○ちゃんは目がクリクリしていてかわいいね」と言ってしまうことがありますが、目が大きいことがかわいいというのは、大人が決めた基準。
誰もが100点満点で生まれてきたのに、大人の基準で比べるなんてナンセンスですよね。これは伝えたくない価値観です。

誰かをほめるときも、「それに比べてウチの子は……」と、自分や子どもをけなして謙遜するのでなく、「素敵ね」「かわいいわね」と相手をほめて終われるといいなと思うんですよね。

上の子はだんだん自分の好きなものがはっきりしてきて、彼女らしさが出始めました。たとえば音楽をかけると、その世界観に浸って踊り始めたりします。
大人から見ると微笑ましくて、つい笑ってしまいそうになるけど、それも我慢。
だって親から笑われたら、もう二度と踊らなくなるかもしれないから。

もしかしたら将来、ダンサーや表現者になる可能性があるかもしれないのに、私のその一回の反応で芽を摘んでしまったらいけないなと。親バカになって「すごい上手!きれい」とほめちぎっています(笑)

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―― 黙って見守る。難しいけれど、親の大事な役目ですね。

上の子はお皿洗いや家事もやりたがり始めて……これがまた大変。洗い物を任せたら食器に泡は残ってるし床はビショビショだし、惨憺(さんたん)たるものです。でも床は後で拭けばいいし、残った泡が少しくらい口に入ったところで死なないし。

それよりも子どもの「やりたい」という気持ち、「やった」という充実感や達成感、それを感謝されたり認められることが大事だと思うので、やってもらっています。

最初から上手にできる人はいないですから、少しずつうまくなっていけばいいし、いずれは私を楽にしてくれるはずという魂胆も(笑)。明日の私のためと思っています。


―― 信頼して任せるというスタンスは、SHELLYさんの親御さんの影響もあるんでしょうか?

うちもそうでしたね。
親に何かを押し付けられたことはありませんでした。
その代わり、尻拭いも自分でしなさいという環境でした。

14歳でモデルの仕事を始めたときも、実家のある横浜から東京まで、1人で電車に乗って行っていました。乗り継ぎのルートも自分で前日にパソコンで調べて。スマホもない時代でしたからね。

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仕事を始めてからはお小遣いをもらったこともありません。
ギャラが振り込まれる銀行口座をつくってもらい、自分で管理していました。
そのお金に親が手をつけることは一切ありませんでしたし、用途に口を出されたこともありません。

16歳で原付の免許を取ったとき、20万円くらいのバイクを自分のお金で買いました。
18歳で車の免許を取ったときも教習所代を自分で払い、車も自分のお金で買って、駐車場の契約も自分でしました。

親がやってくれるという発想が最初からなかったから。
でも今思えば、すごく信頼してくれていたんだと思うし、それが今の自分の自信につながっていますね。自分で決めても大丈夫なんだなって。


―― 子育てしながら、親御さんの子育てを思い出すことも?

ありますね。

「子育ては親育て」という言葉をよく聞きますが、自分が経験すると、なるほどな……とつくづく思います。
子どもに何か「ダメ」と言うとき、なんでダメなのか説明できないといけない。すごく考えるし、試されますよね。

うちの父は「ダメなものはダメ」というタイプで、それは真似したくないんですけど(笑)、時代も違いますからね。
当時は私たちのことを考えて、その時代の正解を出してくれていたんだなと思います。でも私は今の時代に合った子育てがしたくて。

そういう話を姉妹ともよくします。うちは3姉妹で、姉も子育て真っ最中なので、「うちはこうだったよねー」「そうだったね」と話したります。
運良く3人とも、こんな子育てがしたいという方向性が一致しているので、「これからの時代はこうしていかないとね」と話し合うことも多いです。

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いじめをなくすため、我が子から草の根運動を

―― 我が子にこういう人に育ってほしいという思いはありますか?

人の気持ちが分かる人、共感のある人になってほしいです。
それと、いろいろな人がいて当たり前というオープンな思想を持っていてほしいと思います。

男性に生まれたけど女性になる人もいる。早く走れる人もいれば義足の人もいる。上手にしゃべれる子もいれば耳が聞こえない人もいるし、障害があって思いが伝えられない人もいる。
いろんな人がいるけど、みんな一緒なんだと思える人になってほしい。

先日子どもと一緒にいるときに、義足で少しぎこちなく歩く人がいたんです。子どもがその歩き方を真似したので、どうしようかと迷ったんですが、やめさせると私の価値観を押し付けることになるかなと思い、「カッコイイ歩き方だね」とだけ言って、話題を変えたことがありました。

それが正解なのかはわかりませんが、その人を「他の人と違う」と感じてほしくなかったし、ましてや可哀想と思う子にはなってほしくなくて。


―― 親の意見や価値観を押し付けないのは覚悟も必要ですね。

小学生の頃、友だち同士で「あの家はお母さんしかいなくて可哀想」という話になったことがありました。
子どもにはそういう価値観はありませんから、恐らく家で親がそう話していたんでしょう。

いじめも同じで、大人の価値観を子どもが真似しているだけ。
大人が自分の価値観を伝えなければ、少なくとも我が子がいじめる側には回らないと思うんです。

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―― いじめをなくすには、いじめる子がいなくなるしかないですよね。

そうなんです。
以前LGBTを扱う番組を見ていたら、同性婚を認めたくない人の意見として「同性2人で育てた子どもが、いじめられたらどうするのか」と言っている人がいて驚きました。それは「ハーフの子が生まれたらいじめられるかもしれないから、産まないほうがいい」と言ってるのと同じです。

いじめるほうが100%悪いんだから、いじめる人を叱ればいいだけの話。喧嘩両成敗という話ではないですよね。

一番いいのは、いじめっ子を皆で笑えるようになることだと思います。「いじめとかダサくない?」「今どき見た目をいじるとか古っ」と言える勇気のある子が、クラスに何人かいればいいのかな。

―― バラエティ番組でも「いじり文化」は根強いですよね?

それは難しいところで、お笑いには「いじってくれてありがとう」という価値観もあるんですよね。ただ、自虐的に言うのはいいんですが、「お前は○○だ」と周りの人がいじる部分を決めるのは違うんじゃないかと思います。

でもそんなとき、私が1人で「それは間違っている!」と声高に言っても、かばわれた人も萎縮するでしょうし、編集でカットされて終わりです。

小さな抵抗ですが、見た目やLGBTをいじる人がいたとき、私は絶対に笑わないようにしますし、「もう古いぞー」「若い子たちは笑ってないぞー」と目を覚ましてもらえるよう声がけするようにしています。


―― きっとSHELLYさんのお子さんが大人になる頃には、世の中も変化しているでしょうね。

そうなっていてほしいですね。「お母さんが若い頃は、“セクハラ”っていうのがあったの?」と聞かれるくらいになるといいな。

セクハラもパワハラもいじめも、被害者に「がんばれ」というのはプレッシャーでしかなくて、周りの人が声を上げなきゃ変わらないですよね。周囲が「それは違うぞ」と声を上げていくのが撲滅の近道なんだと思います。

世の中をすぐに変えることはできないので、草の根運動のつもりでまずは我が子から、それができる子に育てたいと思ってます。

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英語教育は焦らず時を待つのも良いかも

―― 最後に、バイリンガル子育てについて。ご自身はどういう風にお子さんに接していらっしゃいますか?

私が子どもと話すときは英語を使うようにしています。私の父が日本語を話せないので、英語が話せるようにならないと、おじいちゃんとのコミュニケーションが取れずに困ってしまうという理由が大きかったです。


―― バイリンガル子育てをしたい人へのアドバイスはありますか?

映画や音楽を通して一緒に楽しむのがいいんじゃないかな。親が率先して学び、楽しそうに勉強する姿を見せるのも効果があると思います。

嫌がる子どもに無理に学ばせようとして、英語アレルギーになってしまっては逆効果。自発的に学びたいと思うようになる時期を待ってもいいと思います。

私の母は日本人ですが、高校卒業後に英語の専門学校に通い、今はペラペラです。本人のやる気さえあれば、高校や大学から始めても話せるようになります。

それに、語学を学ぶならやっぱり留学するのがベストだと思います。言語って文化だから。
その国の文化も学び、ネイティブと交流したほうが身につきますし、視野も広がります。
私も人生で後悔していることがあるとしたら留学しておけば良かったということ。外に出れば日本の良さや課題もよく見えるようになりますしね。

「早いほうがいい」と焦って英語嫌いにしてしまうくらいなら、来たるべきときに備えて、心の準備と経済的な準備をしておくほうがいいんじゃないかなと思います。


プロフィール
SHELLY
1984年生まれ、神奈川県横浜市出身。スターダストプロモーション所属。14歳の時にモデルデビューし、『CUTiE』『spring』『Zipper』などの雑誌にて活動。現在は情報番組のキャスターやバラエティ番組などの司会としても活躍。唎酒師の資格を持つ。
2016年に第一子の女児、2018年に第二子の女児を出産。
日本テレビ『今夜くらべてみました』、日本テレビ『ヒルナンデス!』、AbemaTV『Wの悲喜劇』などに出演中。

※ この記事は2024年11月06日に再公開された記事です。

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