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公開 2019年12月14日  

いつでも心の中に。亡くなった母が子どもたちに教えてくれたこと<第三回投稿コンテスト NO.4>

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忙しい子育ての中、ちっときさんが介護と看取りを経験して感じたこと。それは子どもたちの成長でした。



わたしには小学校中学年の娘と幼稚園年少の息子の二人の子供がおります。

娘出産時に自分の実家を増築してもらい私たち夫婦と子供とわたしの両親とで暮らしていました。

子供を出産してからは両親ともに孫を可愛がり、特に母はたくさんお世話をしてくれて、娘であるわたしを育ててくれた同様に、もしくはそれ以上に(笑)、わたしの娘にもいっぱいの愛情をくれていました。

やがて息子も産まれ、さらに忙しなくなる私をサポートしてくれたり喝をいれてくれたりしながら一生懸命一緒に育ててくれました。



しかし、息子が産まれて一年したころ 母の体がグッと弱り、何軒も病院を回ったり ずっとバリバリ働いていた仕事も行けなくなりました。

わたしが高校生のころに一度母は乳がんで倒れました。

そこから復活して昔以上に元気に過ごしていた母でしたが、過去の治療の影響もあったらしくそれが再発して、もう色々な箇所に転移していたんです。

あんなに元気で常に仕事を頑張ったり皆の世話を買ってくれて無敵で不死身かのように思っていた母…

一歳になったばかりの息子を抱えて、余命が一年との告知を受けた時には、全身が固まるようなショックを受けたのを覚えています。

治療しながらも気丈に 

「孫もいるし頑張らなくちゃ 弱ってなんかいられないわ」

と頑張っていた母でしたが、母親は平成30年に亡くなりました。



小学生の娘は もうおばあちゃんは ここにはいなくなったことを半分受け止められているようでした。

半分はまだどこかで家の中を探したり病院に電話したらおばあちゃんが病室で電話に出るんじゃないかという不思議な感覚でいる部分も見られました。

まだ三歳になる手前の息子はピンとは来ず 葬儀でもいとこと走り回ったり、わたしも静かには母とお別れ出来なかったなあと覚えています(苦笑)

厳しくも優しく愛情をかけて育ててくれた母親を思い出さない日はありません。

過去の写真フォルダを漁っては見つけた母の写真をお気に入りに保存し、孫をあやす動画をずっと見ていたり…

そんな中、子供にも時々問いかけます。

「おばあちゃんを覚えてる?」

娘は当時から物心もついた年齢でしたので

「もちろん」


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「一緒に寝てもらったり 遊んでもらったり ご飯いったり かわいい服作ってくれた」

お別れが近かったころは 母は体も思うように動かない苛立ちや 娘も小学生になってからは口達者になり衝突も増えた母と孫で厳しくされることも多くなってきたので

「こわかったり うるさかったりもあったけど だいすき ばあちゃん」

と言ってくれました。



一方、あのころ三歳になっていなかった息子は母を覚えているのか…

普段から居間の横にある仏壇には、本人の希望で作った、かなり若かりしころの写真ですが 大きな母の顔の遺影があります。

そして母には怒られそうですが おばあちゃんになった近年の母の顔も一緒に置いてあります(笑)

子供と一緒に手を合わせたりもしています。

でも記憶は、と気になっていました。



息子にも問うてみると

「しんじゃったばあちゃんはいつもこのへやにいるよねー」

と仏壇に近付きます。

死を理解は出来ていなくても、姿は見えないが『ここ』にはいるんだと思ってくれているようです。

母を覚えてはいないよなあと思いながら、一緒に赤ちゃん時代の息子をあやす母の動画を見ると

「あそんでもらってるねえ。たのしそう」

と赤ちゃん時代の自分が母と遊びながら、きゃきゃきゃと笑う姿を見ています


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赤ちゃん時代にしろ、亡くなる直前にしろ、まだ小さかった我が子。

抱っこしてもらった記憶、遊んでもらった記憶、可愛がってもらった記憶、話しかけてもらった記憶

なかったかもしれません。

遺影や思い出の写真や動画を見て、この人が自分の「今はもういないおばあちゃんだ」と最近は認識できてはいるかもしれないけれど、覚えてはいないかもしれません。



でも、わたしや娘 家族が覚えているものを共有して故人を偲んだり、語ったり、家族の真似っこで仏壇に手を合わしたり、わたしにはそれが嬉しいです。

そしてわたしが先日とても嬉しく胸を締め付けられたのが、以前は、単にわたしと何かの流れのように仏壇に来てくれていた息子でしたが(普通に嬉しかったです)、

息子を幼稚園に送っていく前にとバタバタしながら線香を上げ、ろうそくの火を消そうと思った時に

「まって ぼくもやるっ」

と、すとんと座布団に座り、おりんをちーんと鳴らし

「ばあちゃん なむなむ」「ようちえんにいってきます」

と。


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わからずの日課や流れや真似っこじゃなく、自然に自ら母との距離がさらに近くなったように、“すっ”と来てくれて“わかって”いるように、それをしてくれたことが本当に本当に、きゅうううっとなりました。

子育ては毎日楽しく、でも大変で、やることも多く、叱ってばかりの日も年々増えている状態ですが、一日一日いろいろなことを吸収して出来るようになって、子の成長を感じて嬉しい日々です。

その中でもわたしは、大好きな母が大事にしていたこの子たちが、母を忘れず、優しく、話しかけてくれて、母を大事にしてくれているのが伝わってきたこの出来事をこのテーマのお話とさせてください。


(ライター:ちっとき)


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※ この記事は2024年09月28日に再公開された記事です。

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