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公開 2019年12月24日  

子どもが発熱!すぐにインフルエンザ検査をすべき?様子を見るべき?

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SNSやブログで育児と医療にまつわる情報を発信しているパパ小児科医(ぱぱしょー)の連載「教えて!ぱぱしょー先生」。
第4回のテーマは、インフルエンザ流行期に気になる「高熱時の受診の目安」です。


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「インフルエンザ」ってどういう病気?


インフルエンザは高熱や頭痛、咳や関節痛などの症状があり、強い倦怠感を感じたりします。

肺炎やインフルエンザ脳症などの合併症を起こしているときを除き、通常は特別な薬を使わなくても水分を摂取してよく睡眠をとって休んでおけば、しばらくすると落ち着いてくる病気です。

「タミフル」に代表される抗インフルエンザ薬は、ウイルスの増殖を抑制して発熱期間を短くする効果があります。

しかしウイルスが増えきってしまってからでは薬の効果は期待できないため、原則発熱から48時間以内の使用が勧められます。

初期の適切なタイミングで使用すれば、熱の期間が少し短くすんでラクになるでしょう。

ただし基本的には自然に落ち着く病気のため、必須のお薬ではありません。


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熱が出たらすぐ検査を受けるべき?


病気の初期に薬を開始しなければならないと聞くと、早く受診しなければと考える人は多いでしょう。

しかし、鼻綿棒によるインフルエンザの迅速検査は発熱した直後に検査してもはっきりしないため、12〜24時間程度経過してからの検査が望ましいです。

38.5度を越える発熱がありすぐ受診したものの「検査できない」と言われた経験がある人もいらっしゃるのではないでしょうか。

診察の場でも、発熱してすぐ受診して検査を希望されることがあります。

しかし鼻綿棒検査は痛みを伴いますので、「痛い思いをしたけれど結果がはっきりしなかった」という状況は避けたいところです。

待合室などでその他の感染症に感染するリスクもあるので、インフルエンザかどうかを知るためだけに急いで受診するメリットは低いと考えます。

ただし高熱でぐったりしていたり水分が取れないなどいつもと様子が違うときは、迷わず受診してください。

発熱を含む全身の状態や、合併症を起こしていないかなど緊急性の判断をしてもらうことにこそ受診の意義があります。


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私が診療の場でどのようにしているかというと、発熱からのタイミングが適切であれば鼻綿棒を用いたインフルエンザ検査を行い、陽性の場合に抗インフルエンザ薬を使用します。

発熱してすぐ、もしくは発熱して3日以上経過している場合は検査の精度が低い、もしくは抗インフルエンザ薬投与の意義が低いため検査は控えています。

そして熱でしんどい場合や、頭痛などの症状がある場合は解熱鎮痛剤などを処方し、脱水や肺炎、脳症の疑いはないかを確認したうえで、栄養と睡眠を確保して自宅で安静にしていただくことをお勧めしています。


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注意したい合併症の症状


合併症のひとつであるインフルエンザ脳症では、呼びかけても返事が乏しい・うとうとしているといった意識障害やけいれんといった症状があります。

何も見えないのに天井を見ながら怖いと言い出したり、奇声をあげるといった異常言動も見られます。高い熱でうなされているだけ(熱せん妄)の場合もありますが、判断がつかない時は受診するようにしてください。

インフルエンザ肺炎の場合は、呼吸があらく、肩で息をしてしんどそうにしているといった症状が見られ、酸素投与が必要です。

これらの症状があれば、入院が必要な場合が多いです。

その他水分が取れない、尿が少なくなるなどの症状が出ている場合も、脱水を起こしている可能性があるため受診してください。


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毎年ニュースでインフルエンザ脳症による死亡者の報道があるため、不安を感じる人は多いでしょう。

診察室でも、不安なので検査してほしいとおっしゃる方もいます。

毎年たくさんの人がインフルエンザに感染するので、重い合併症にかかる方も一定数います。

そういった方々のほとんどが発熱や倦怠感など通常の症状や経過を辿ります。

水分摂取をこまめにして脱水を予防し、栄養と睡眠を確保して合併症の症状に注意しながら自宅で様子を見てください。

熱でしんどい時や頭が痛い時に解熱鎮痛剤(内服や座薬)を適宜使用して構いません。


ワクチンに加えて複数の対策を


子どもの熱が下がって元気になってきても、感染の拡大を防ぐために登校(登園)停止期間は自宅で過ごさなければなりません。

一緒に生活している家族に対して感染を防ぐことはなかなか難しいですが、手洗いをこまめにしたり、できるだけ接触を少なくするなど可能な範囲で対策をしてください。

インフルエンザワクチンの有効性は認められていて、ワクチンを打つことで集団のレベルでは感染者を減らすことが可能ですが、個人のレベルでは効果を実感できないこともあるかもしれません。

診察の場でも「ワクチンを打っていたけどかかった!」というケースがあります。

感染予防効果はあるワクチンですが、残念ながら完全には防ぐことができません。



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※ この記事は2024年11月14日に再公開された記事です。

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