「ママ!笑って!ねえ、にこにこして!」
私が笑うと、倍返しだ!と言わんばかりに、最近4歳になったばかりの息子はよく笑ってくれます。
突然ですが、うちの息子・・・"彼"はよく笑う子なんです。
彼が笑ってくれるなら、AKB48のフライングゲットを「キンタロー。」ばりに踊ることもあれば、怪獣になってヒーローである彼にやっつけられます。
ママは155cmで力も無いけれど、10畳の小さなリビングで肩車をしたり、時にはお馬さんにも変身します。
小学生になれば、キャッチボールでもなんでも、全力でやってやろうと言う気持ちです。
日々、全力で笑わせにかかっています。
君が笑ってくれるのならば。

別れた夫を息子になんて説明しよう…迷った後悔に寄り添う笑顔<第三回投稿コンテスト NO.36>
13,129 Viewある日、別れた夫のお母さんから電話があり…。涙するあおいさんを救ってくれたのは息子の存在でした。

そんなこんなで、すったもんだがありまして。
彼が物心つく前に、私と彼のお父さんとは離婚をしました。
いつも笑顔の彼は"お父さん"の顔も覚えていないですし、触れ合った記憶も無いんです。
だからこそ、お父さんの役目も果たせないかなぁ・・・と、私は女優で「一人二役」だといつも思っています。(女優?)
「大変そう」なんて言われるけれど、彼がいればもどうにでもなっちゃうものでして。
22歳の時、彼がお腹にいるらしいと分かってから、毎日飲んでいたお酒はごぼう茶に変わっちゃいましたし。
気づいたらお気に入りのワンピースが、マタニティウェアになっていて。
カツカツ音が鳴るようなヒールは、歩きやすいペタンコのスニーカーになっていて。
当時好きだったサマンサタバサのバッグは、大容量のマザーズバッグになってたりなんかして。
けれども全然、嫌じゃなかった。
ママも彼にも色んな事があったけれど、きっとどこよりも笑いが多くて、毎日小さいリビングには笑いが溢れておりまして。
そんなリビングで、息子が3歳半の頃に突然、朝にトーストと目玉焼きを食べながらこう言って来たんです。
「ねえ、ママー。僕のお父さんは?お名前はなんて言うの?」
・・・
おお・・・ついにこの時が来てしまったのか。
「すみません、ちょっとお尋ねしてもよろしいですか?」とか、3歳児に前振りなんて無いもんな。
今まで「そう聞かれたらこう言おう!」とか、「素敵な言葉で安心させよう!」とか、それとなく頭の中でシュミレーションをしていたのに、どうやらベストな言葉が出てこない。
それで、うーーーん・・・と考えていると、言葉よりも先に涙が出てきてしまったんですよね。

あたし、女優失格だなと思いました。(女優とは)
自分で思っているよりも、どうやら随分とママは弱かったようです。
私はなんて、豆腐みたいなメンタルなんだと。笑
そうやってモゴモゴしていると、彼が私の顔を触って来ました。
「ママ!悲しい?怖い・・?にこにこして!ほら、にこにこー!」
と言って、私のほっぺをむぎゅう〜っとつねって来ました。
いいかい、口角を上げたまえ!と言わんばかりに。
「痛い、痛い・・」
そう言いながら変な顔になっていたらしく、息子はケラケラと笑ってくれました。
「ママ、にこにこしてね」
と言うと、まだ小さい手で私の頭をなでなでしてくれました。
それを見た私は、もう物事が分かっている息子にこう言ったんです。
「よし!お父さんに会えるかどうか聞いてみるね!」
そう言うと、「えぇ!?会いたい・・・!」と、目をまん丸にして、今まで見たことのない照れ臭そうな笑顔を見せてくれました。
私にとっては他人に戻れても、息子にとっては家族です。
それから、「よかったら近いうちに会いませんか?新幹線のチケットを取ろうと思うので、2人でそちらに行きます。」
その一言を"彼のお父さん"にドキドキしながら、どう送ろうかしばらく悩んでしまいました。
そう、悩む必要なんて無いのに、まごまごしてしまったんです。
新幹線のチケットが安い日を確認しながらも、やっぱりまだLINEは送れずにいました。
そうモヤモヤしている中、ある日私は美容室で髪を綺麗にしてもらう事に。
普段しないようなクルンクルンの髪にセットしてもらって、いい匂いのトリートメントでツヤッツヤで・・・もう、ふわっふわに浮ついています。
フットワークが軽くなっちゃって、「よし、今日は息子にデパ地下でケーキでも買っちゃおうかな!」なんて思っていると、突然一通の電話が鳴りました。
「結婚させてください」と挨拶で会ったっきり、4年ぶりに聞く"彼(息子)のおばあちゃん"であり、"元旦那さんのお母さん"の声でした。
晴天の霹靂ってやつでしょうか。
「はい、はい」って聞いているんだけれども、電話の内容が頭に入って来ません。
私は耳栓をしているのか?と言う感じで。
ただ、新幹線のチケットを取っても。
悩んで悩んで・・・LINEを送っても。
「もう、二度と会えない」
と言うことだけは理解しました。
毎月送っていた"彼のにこにこ笑顔の写真"に、「ありがとう」も「大きくなったね」も、どうやらこの先、ずっとずっとLINEに既読のマークもつかないらしい。

うそだ・・・彼になんて言おう。
「遠いお空の国へ行っちゃったのよ」なんていう、ファンタジーな言葉をチョイスすればいいのだろうか。
大人になったら、説明すればいいのだろうか。
そして、彼の"会いたい人"に会う機会を、私が一通のLINEを躊躇したせいで失ってしまった。
「彼が会いたがっています」と、まだ27歳の彼のお父さんに伝えたかった。
そう考えていると、人目もはばからず歩きながら泣いていました。
ママはやっぱり、絹ごし豆腐ばりのメンタルらしいです。
その日、幼稚園にお迎えに行くのも、「顔を見たら泣いてしまいそう」と言う私を心配して、家族が代わりにお迎えに行ってくれました。
「ママ!髪の毛可愛い!」
美容室帰りの私を見て、彼はイケメンなセリフと共に、キラッキラの笑顔で玄関で出迎えてくれました。
いつもの、にこにこ笑顔です。
「あのね、お父さんだけど・・・今はちょっと会えないんだって」
そう言うと、「ふーん、そっか。じゃあ、ママと二人で新幹線でお出かけする」と言ってくれました。
やっぱりやっぱり、君の笑顔でママは泣いてしまいました。
豆腐みたいでごめんね。
すると、いつものように「ママ!どうしたの?ほら、にこにこでしょ?」と顔をつねって来ます。
ほら、いいかね、口角を上げたまえ!と。
満面の笑みでつねってくれます。

そして、それ以来、彼は一度も「お父さんは?」と聞いて来ません。
「お父さんの事を聞くと、ママの笑顔が見れない。泣かせてしまう」と思っているのか、一切聞いて来なくなりました。
でも、大きくなったら、ちゃんと伝えようと思います。
それと、「会いたい人がいたら、今すぐにでも会いに行くんだ!GOだ!好きな女子ができたら好きって言うんだ!細かい事はどうでもいいから!絶対に後悔するなよ!」
と、修造カレンダーに出てくるような、熱血お父さんみたいなセリフを、思春期くらいになったら言おうと思います。
そして、"お父さんの事"を話すと、「あなたの笑顔が消えちゃうかもしれない」けれど、その時はまたママが笑わせにかかろうと思います。
これからも、全力で笑わせようと思います。
君が笑ってくれるのならば。
(ライター:あおい)

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