小学生になったころ、急におばあちゃんがヨボヨボしていることが気になり始めた。
おばあちゃんはずっと変わらずやさしいおばあちゃんだったのに、変わったのはわたし。
なんだか不気味なような、怖いような気持ちになってしまいました。
「おばあちゃんに優しく」父に叱られた苦い過去。そして今、老いた父を避ける娘をみて…
121,650 View小さい頃、ヨボヨボのおばあちゃんを避けがちだったわたし。母になり、4歳の娘が闘病中の父に近寄らなくなりました。
父1人子1人の父子家庭で育ったわたし。
大きな怪我をしたことがきっかけで、手足が少し不自由です。
そんなわたしが子どもを産み育てるなんて、父は思ってもみなかったのでしょう。
毎日毎日、片道1時間も電車とバスを乗り継ぎ、育児を手伝いに来てくれました。
長女も父のことをジジと呼び、とても懐いていました。
長女が1歳半で長男が生まれ、お姉ちゃんになったときには「ママに甘えられない分を絶対に埋めてやる」と頑張ってくれた父。
でも、長女が4歳、長男が2歳になった頃……
脳梗塞を患い、第三子が生まれてしばらく経った頃に背骨を骨折しました。
老いてからの病気や怪我はなかなかいい方向に進まず、みるみるうちに動けなくなってしまいました。
毎日抱っこしてくれて、お散歩して、おやつを一緒に食べた元気な父が、今は車椅子に乗るのもやっと。
「背中ピーンのジジがいい」と、近寄ろうとしない長女に向かってつい、「ジジに優しくしなさい!」と言いたくなるけれど…
親になって、かつてわたしに「おばあちゃんに優しく」と言った父の気持ちもわかる。
でも、わたしだっておばあちゃんのことが嫌いなわけじゃなかった。
やさしくできないのが恥ずかしかった。
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