子育ての渦中にいる親にとって、「エモい」瞬間はたくさんあるだろう。
かくいう私も子育てとはなんとネタだらけなのだろうかと、息子を相手に毎日思っている。
最大のエモストーリー…帝王切開での出産も大変だったし、抱っこしていないと寝なかった日々の試行錯誤や、一時保育デビューや断乳も色々あったし…
なかなかこれ!と一つを挙げることは難しい。
考え込んでいるとふと、息子の「エモい」瞬間とはどんな時だっただろう。と思い立った。
これはもう間違いなく、トーマスとの出会いであろう。
現在二歳の息子の、トーマスとの出会いは一歳半を過ぎたころだったと記憶している。
母子手帳のメモを見ていると、「一歳八か月 トーマスブームがくる」と書かれている。
それだけしか書かれていないが、おそらく彼とトーマスの出会いはテレビだったと思う。
息子と一緒にキャラクターにハマる!テレビがくれたエモいひととき<第三回投稿コンテスト NO.80>
7,165 Viewテレビの見せすぎは良くない、なんて言われたりもしますが、咲子さんはそんなテレビに大いに助けられたのだそうです。
一歳を過ぎたころ、息子はそれまで関心の薄かったテレビを熱心に見るようになった。
まずはお約束のEテレ。
家にいる間は録画したいないいないばあ!をずっとつけていたように思う。
テレビの見せすぎは…と思うこともあったが、かくいう私自身が子供のころは立派なテレビっ子だった。
子供にとってのテレビの楽しさというものを身をもって知っていたし、まぁそのうちブームが去るだろうとも思っていたし。
かまってちゃんの息子が少しでもテレビに夢中だと、その間に家事ができるようになってすごく助かったのもある。
そして、何よりテレビに夢中な息子が可愛かったのである。
いつのまにか「わーお!」に合わせて体を動かすようになり、好きなキャラクターが出ると声を出して指をさして教えてくれるようになった。
そして、トーマスにハマる。
いつどの回を見せたのかは忘れてしまったが、元々電車や汽車が好きだった息子がハマるのは必然だったと思う。
息子はテレビを見てトーマスのキャラクターを覚え、テレビを見ながらセリフを一緒につぶやくようになり、二歳になった今は日々キャラクター図鑑をめくりながら声に出して確認し、(もちろん文字は読めないので、思い出せないキャラクターは「これだれ?」と聞いてきて暗記する)、トーマスのキャラクターで色や数字も覚えている。
思えば、息子は男の子にしては言葉の理解やおしゃべりが早めだった。
私も赤ちゃんの時から息子とたくさんお話をしたり、息子の話す言葉を復唱して「それであってるから安心してしゃべりなー!」と促してみたりと、私なりに色々気にしてはいたのだが、間違いなく息子はテレビからたくさんの言葉を覚えた。
しゃべりはじめてからしばらくは方言じゃなくて標準語だったし。
ここ一週間ほど、息子はいろんな場所に「だれかいますかー!」と声をかけるようになった。
寝室に向かって言ったり、自転車のヘルメットに向かって言ったり、ノートやシールにまで向かって言ったり。
おもろいなと思ってスマホで動画を撮って妹に送ってみたら「プーさんじゃん!」と返信があった。
何のことかと思ったが、先月実家に帰った時に、くまのプーさんのDVDを借りたのを気に入って、何回も見ていたのを思い出した。確かプーさんが穴に向かって「誰かいますかー?」と声をかけるシーンがあった。
そして息子は今「ダンボ」にハマり、毎日何回も繰り返し見ている。
「コウノトリさんひっかかった!」と解説してくれたり、最後のシーンで「ダンボちゅちゅちゅってしてぎゅーする!よかったねぇ~」と喜んだりしている。
プーさんやダンボとの出会いも、息子にとって「エモい」出会いだったのだ。
私が気づかないうちに、息子はテレビからたくさんの「エモい」瞬間を受け取っている。ひとりのキャラクターだったり、ちょっとしたセリフだったり。
心配していたテレビの視聴時間も、少しずつ短くなってきて、テレビにべったりということも少なくなってきた。
母たちにとっては育児の助けであり、でもちょっと心配なテレビ。
息子なりにたくさんの「エモい」を感じながら、上手に付き合ってほしい。
プーさんやダンボやポニョやバズも息子にとってエモい出会いだったのだろう。
それでも一番大好きなのはトーマスだということは間違いない。
クリスマス、正月を終えた我が家にはプラレールトーマスシリーズがあちこちに転がっており、リビングが大変なことになっている。
それでも、息子がトーマスととってもとってもエモい出会いをして、テレビを通じてこんなに夢中になれるものに出会えたことは、親から見てもとても素敵なことで嬉しいことだと思う。
親も出先でトーマスグッズを探してみたり、一緒にガチャガチャをしたりとちょっと楽しい。
大人にとってはなんてことのないテレビから、しょっちゅうエモーショナルを発見している息子をうらやましく思う。
いつかトーマスに飽きるかもしれない、ほかの楽しい遊びを見つけてテレビもあまり見なくなるかもしれない。それでも毎日トーマスと、テレビと楽しく過ごしている息子を見ている私は、たくさんの「エモい」時間を過ごさせてもらっている。
(ライター:咲子)
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