小学校3年生の長男が学校へ行けなくなった。それに伴い、年中の次男も保育園へ行かない。
不登校だった息子。「行かなくていいよ」と言った親の理想と、本音
27,784 View幅広いジャンルで活躍するライターの栃尾江美さん。SNSやブログでも精力的に発信されています。そのなかから、当時小学校3年生と年中だった息子さん2人が、不登校になり悩んだ様子を綴った「息子が学校へ行けなくなって」を前編・後編に分けてご紹介。【前編】
夏休みに学童へ行けなくなった
我が家は夫婦で働いているので、小3の息子は夏休みに学童へ行く。
最初は、「友達にあだ名でからかわれるのが嫌だ」という。
何日もいやだいやだと言い続ける。
「気にしなくていいよ」と最初は声をかけていたが、本人が気にしているのだから仕方ない。
それ以前にHSCについて啓発しているkokokakuさんと知り合って、わが子はHSC(+HSS)ではないかと思っていたので、傷つきやすく、引きずってしまう気持ちがあるのだろうと想像できた。
※HSC(Highly Sensitive Child)とは、人一倍敏感な特性をもつ子どものこと。HSS(High Sensation Seeking)とは、活動的で刺激を追い求める性質のこと。
家にいる間、ずっと気持ちが落ちている。
うなだれている。
ある日、布団から出られなくなった。
無理やり起こす、リビングへ連れていく。
だけど気力がまるでない。
このままでは、どうなってしまうのだろう。
「行かなくてもいいよ」と言った。
もう、一人で留守番できるし。
「本当?ママ、ありがとう」
驚いた顔。
安心した顔。
救われた顔。
学童の先生に電話をした。
あだ名(名前をもじったもの)でからかわれることを話した。
学童の先生は親身になってくれた。
「名前でからかわれるのは、本当に傷つきます。子どもが自分で片づけられる問題ではありません。私たちがよく言って聞かせますので」
と言ってくれた。
私ははらはらと泣いた。
いったん解決した。
ところが、また、今度は別の友だちと小競り合いをして、行きたくない。
今度は、先生に注意されたことが嫌だ。
休む方が多くなってしまった。
2学期の初日と、それから
学童だからよかったけど、いずれ学校が始まる。
私は怖かった。
学校に行けなくなったらどうなってしまうのだろう。
学童のように、どんどん休みがちになってしまったら……?
初日、不安な気持ちは的中した。
行くと言っていたのに、行きたくない。
体が動かない。
だらだらと用意をする。
何度言っても、怒鳴っても、全然動けない。
私はもう疲れてしまった。
これ以上、強制していかせることはできない。
だけどトボトボと、結局行った。
前の日まで私は、自殺防止のためのキャンペーンをたくさん目にした。
「逃げていいんだよ」
「行きたくないなら行かなくていい」
そんなメッセージ。
私は息子の背中を見ながら、一番大切にするものは何なのかと考えた。
一番大切なものはこの子の命だった。
強制的に行かせていたら、私はこの子を怒り続けることになる。
「死にたい」と親に言えなくて、遺書にだけ書いて、命を落としてしまった子どもたちのことを考えた。
それだけは絶対に防がなくてはいけない。
翌日もやはり「行きたくない」と言う。
私は前日の朝、彼の背中を見ながら思った最悪の事態を想像した。
「行かなくていいよ」そう言った。
でも本当は行ってほしい。
どうすればいいのだろう。
学校の先生、スクールカウンセラーの先生
それから、2学期に行けたのは数日。
学校では、先生の判断で病気ということにしている。
学校の先生と、スクールカウンセラーの先生には、時間をもらって話した。
週に1日は、短時間だけど学校に行くことにした。
コミュニティで相談する
コミュニティで相談をした。
「行きたくないって言えるのはすごいよ」
「お母さんを信頼しているってことだよ」
「学校に行かなくたって大丈夫だよ」
そんな言葉をくれる。
とても勇気になった。
コミュニティの中に「自分が不登校だった」という人もいた。
その人はそのあとで自ら勉強をして、県で一番の大学にも通っている。
その存在が、私にとても勇気をくれた。
その後も、「時間がたくさんあるので漫画を読ませたいんだけど、小3だと何がいいかな」とか、たくさん相談した。
「自分の子ども」と考えると
「みんなは『学校なんて行かなくていいよ』と言うけど俺はそんな風にすっきり思えないんだ」
って言ってくれた人がいた。
そりゃそうだ。
「自分の子どもだったら」ってちゃんと考えてくれるのはとてもありがたい。
学校に意味があるのはわかってる。
実は子ども本人もわかっている。
長男はママのことが大好きだ。
学校に行けばママが喜ぶことも知っている。
みんなが安心するって知っている。
だけど、行きたくない気持ちをごまかせない。
これってすごく正直なことだ。
ただ、私はどうにもならない気持ちを抱えていた。
仕事もあるのでずっとこの子を見ているわけにはいかない。
一番は勉強の心配だ。
学校に行っている子は1日5時間も6時間も勉強しているのだ。
自宅でそんなに勉強するなんて、できるわけない。
不登校だった子のお母さん
不登校だったという人のお母さんに話を聞くことができた。
今大学生だが、小3~中3まで不登校だったという。
LINEでつながってもらって。
たくさん話を聞いた。
いろいろな気持ちの変化。
子どものために必死で、罪悪感にもさいなまれて……。
だけど、学校へ行くことをあきらめてから、いろいろなことがよくなっていったという。
子どもにも笑顔が戻った。
自分も楽になれた。
そんな気持ちになれるまで、2年かかったのだとか。
「おかしくなっていたと思います」
その人は言った。
わかる。
よくわかる。
「今日は(学校へ)行ってくれるかもしれない」と思い続けて、それが叶わないということを、2年続ける。
そんなこと、心を壊さずにできるだろうか。
それを聞いたときにすごく心が晴れた。
行かない前提で考える。
それが私たちを健康にしていくし、長男のためである。
学校へ行かないのは本人も気にしているのだ。
それ以上罪悪感を植え付けてどうなるというのだ。
罪悪感はいらない。
行けるようになればそれでいいけど、行かなくてもよくなる方法を考えよう。
<後編へ続く>
(編集:コノビー編集部 岡田)
1
追い詰められたママのイライラは、子どもに向かう。それを救ってくれたパパの言葉
とげとげ。
2
赤ちゃんの肌にいいの?悪いの?冬至の「ゆず湯」の秘密
離乳食・幼児食アドバイザー 園田奈緒
3
産後のウラミは根深くて…10年経っても忘れられない夫の言葉
コノビー名作集
4
「勝ち負け」へのこだわりがエグい…癇癪を笑顔にかえる画期的アイデア
いそめし ちかこ
息子をめぐるバトル勃発!?「だれがすきなの?」への返答が、流石すぎ♡
コノビー名作集
やば…言いすぎた!?娘の夏休みの宿題との関わり方を考えました
コノビー名作集
夫よ、ごめん…!夕食の味噌汁がつい「濃いめ」になっちゃうワケ
コノビー名作集
家事の最中にしゃべり続ける息子。ママに話しかけているかと思いきや、実は!
コノビー名作集
思わずキュン…♡レストランで夫の対応に”惚れ直した”出来事
多喜ゆい
「ワーママの大変さ」を、パパが実感したのはこんな瞬間
なおたろー『育児戦隊 ごきげん夫婦』
子が夫に質問「ママのこと大好き?」聞き耳をたてていたら、嘘でしょ…?
なおたろー『育児戦隊 ごきげん夫婦』
座ったまま「ママ、お箸は~?」と聞く息子に、パパがひとこと。
なおたろー『育児戦隊 ごきげん夫婦』