ウチには3人、子どもがいる。
上から10歳男児5年生、8歳女児2年生、2歳女児未就園。
少子化と言われて久しい昨今、3人は標準よりやや多めなのかも知れない。
特にウチは、上の2人と末っ子の年が少し離れていて、末っ子の次女を妊娠していた時期には、2人きょうだいの多い私個人の界隈で
「えー!3人目?どうしたの?」
「3人?大変じゃない?」
「思い切ったね~」
など言われたもので、そうなのよ、ホラ3連プリンがあまらないから。
という鉄板ネタを仕込んでいたものだが、それも現在食欲爆発中の2歳児が2個一気食いするという事を覚えてしまい使えなくなってしまった。
そう、実は3人きょうだいは大変だ。
その生活がいかにパワフルな戦場であるかを、下記に記したい。
次女がまだ2歳児なので当然、次女は基本私と入浴するのだけれど、その時何処からともなく
「次女ちゃん、ねぇねと入りましょ~」
長女がやって来る。
まずいそいそ次女と湯船につかる、そこまでは良い。
次に湯船一杯にお風呂用の玩具をバラまいてて遊びだす。
あと浮き輪、何故そこで泳ぐのか娘達、もう水面が見えない。
そしてママは何処に浸かれば良いのか。
更には次女が、風呂から上がるタイミングでお風呂場の呼び出しボタンで長男を呼び出す。
次女はこれで飛んできてくれるにぃにこと長男が大好きなのだ。
「ニィニ~オイデェ~」
流石に5年生、一緒に入浴はしないが、次女のご指名にまんざらでもなくバスタオルを持って迎えに来る。
せわしない。
そして次女が上がればママもお風呂は強制ログアウト、寒い、冷えが大敵の41歳、もっと温まりたい。
しかし、次女は嬉しそうだ、お陰で入浴を嫌がったことは無い。
それじゃあこれは難点と言い難い。
風呂の事は良しとしよう。そうしましょう。
子どもを3人連れて歩くのは手間だ。
しかも我が家は次女の持病の為に、外出時少し装備が重い、それよりも何よりも
「ママ!あたしの髪の毛可愛くしてね~」
「おかーさん、俺のICカードどこ行った?」
「くっく!くっく~!」
髪の毛?もうポニーテール一択でお願いしたい、今時間無いから。
ICカード?いつもの場所に無いなら知らないよ。
次女は!靴を!家の中で履くな!
全員静かにしろ。
そして順番に要件を言え。
あと、ぬいぐるみは置いていきなさい落とすから。
ちょっとバスに乗って駅前のスーパーに行きたい。
それだけなのに毎回上を下への大騒ぎ、自宅から出る時にはもうライフを削られている。
ママはね、お買い得品のブリのアラを買いたいだけなのよ。
でも一旦外に出かければ、長男と長女が替わりばんこに次女のベビーカーを押し、結局2つも持ってきたコアラのぬいぐるみを抱えた次女はご機嫌で、通りすがりのおばあちゃまに
「あら、優しいお兄ちゃんとお姉ちゃんねえ」
そう言われて得意そうな長男長女を見られるのは、悪くない。
おでかけの準備、それは結構な戦争だけれど、ここも減点対象とは言い難いかもしれない。そうかもしれない。
これは言わせてもらおう。
何しろウチの3人は食事の好みが偏っている。
好きなものは肉肉肉、そして揚げ物、あとは芋、以上。
そんな食べ盛りのアメリカの若者みたいな食の好みでなんだその細い脚は、腹は、と思うがそれもそのはずで、例えば根菜の煮物が食卓に並んだ時は
「…あ~そういうヤツ?ならええわ」
次女までがそんな表情で箸を置く、どころか気に入らないと言って箸を投げ、食事を全て拒否することさえある。
何という2歳児、親の顔が見たい。私か。
そして他の2人も、箸投げ幼児に激怒している母の横をしれーっとすり抜けようとして更に私を怒らせる、お前ら3人揃ってええ加減にせえよ。
結局私の心の安寧と、子の効率的な栄養補給の為、やたらと肉とか芋を食卓に並べる羽目になる。
胃弱の41歳には若干つらいが、親の好みより、3人いる子どもの食の好みが優先される、数の暴力。
それで、お肉も野菜もすべてが鍋1つの世界に収まるフランスの英知、簡単お惣菜・ポトフをこの冬どれ程作ったかわからない。
そしてこのポトフは
「にぃに、アイ!ドジョ!」
次女の無理矢理食事介助ショーの道具になる。
餌食は大体長男で、その様子がすごくダチョウ倶楽部、とてもダチョウ倶楽部。
3人よるとダチョウ倶楽部とはよく言ったもので、言わないか、食事風景が3人のコントになる。
献立には頭を抱えるが、楽しいのでこれはこれでいい、かもしれない。そうかもしれない。
特に上の2人。
3学年差というのは、常に死闘を繰り広げるものなのか。
私も3歳年上の姉とは子ども時代、エンカウント即喧嘩ですこぶる仲が悪かった。
朝起きた、その1秒後から
「おにぃちゃんがあああああ!」
「ちがう!長女ちゃんが、俺の本をから!」
布団に本を入れるな、そして叩くな、泣くな。
これは本気で困る。
大体妹である長女が泣き、事の発端がどうあれ長男が私にシバかれる という流れ、何度も言うけど41歳。
朝から本気の怒号を飛ばすと疲れる、血圧が上がる、多分何か他の上がると良くない数値も上がっている筈だ、尿酸値とか、それは飲みすぎだ。
ハイ今の喧嘩でお母さんの寿命が3年縮まりました。
しかし、この2人の兄姉の死闘を毎日見ている末っ子次女はこれで何かを学んだらしい。
この次女は保育園に通っていない代わりに、ちょっと障害や疾患のある子の保育施設に週に数回通っているけれど
「次女ちゃんは、どんな大きな子と小競り合いになっても負けませんね」
と保育士さんに最近言われた。
年上の子と絵本や玩具の取り合いになっても決して泣かないらしい、そして勝つ、強い。
というか止めてください先生。
兄姉の死闘乱闘が、持病を持ってこの先を気強く生きなければならない、そんな宿命を背負った妹の生きる力を養っているかどうかは定かではないけれど、見て学んでいる分、妹は、次女は強い、これぞ怪我の功名。
ここまで読んで、お気づきだろうか、お分かりいただけただろうか。
そう、私は3人子どもが居て、大変だ、好みの物も食べられないし、むしろ食べる時間もないし、お金もかかるし、自分の時間も下手をすると寝る時間も、最近は次女とお布団を共有しているので寝る場所も奪われる、そんな不満をぶつぶつ人様に垂れ流しながら
実は
「3人はいいぞ」
と思っている。
2人でいいかな、男女1人ずつ、いいバランスじゃないの。
子どもをひとかどの人間に育て上げるのに大枚が飛ぶ昨今『やらない後悔よりもやった後悔』
という向こう見ずな信条の下、次女を産んで今その横暴ともいえるやんちゃぶりに振り回されていてこう言うのだから、もう処置なし、致し方なし。
だって3番目も2番目も1番目も皆、可愛い。
言う事聞かないとたまにお母さん、キレ散らかすけど。
少し前、自分のツイッターのアカウントで
『スーパーで双子シスターズがベビーカーに乗っているのを見て、あまりの愛らしさに【マーベラス…】という自身の心情の思い切り露見したため息をつき、その傍らにいた若いパパにどや顔された、可愛いか!』という旨のツイートをした。
多胎育児は兎に角過酷と聞くし、あまり安直に可愛い、可愛いと言うと
「えっ…こっちは超大変なんですけど。外野はいいですよね……」
という反応が返って来るかな、大丈夫かな、と心配はしたけれど、その日あった双子シスターズのあまりの可愛さには抗えずその時の情動の赴くままにつぶやいた。
それに対して帰ってきた反応は大体まとめると
「そーなんですよー!!!双子超可愛いんです。大変だけど!」
というもので、私は『高尾山に登ろうとしてロッキー山脈に上る事になった』と評される多胎育児でも、そのトライアスロン級の生活の中、双子の親御さんはその"きょうだいの形"が愛しいのだなと少し感銘を受けた。
きょうだいの形はそれぞれ、そしてその形に定まるまではパパとママの紆余曲折があると思う。
思い通りになった事、思うに任せられなかった事、望んで叶えられた事、叶わなかった事。
1人っ子のあの、『親に大切に育てられてますが何か?』という屈託のなさ。
2人兄弟のニコイチ感。
2人姉妹の女友達みたいな空気感。
3人姉妹の華やかさ。
3人兄弟の頼もしさ。
複合3人きょうだいのわちゃわちゃ感。
4人以上はもう壮観という以外にないけれど、皆自分の家の『きょうだい』が好きですよね、文句言いながら。
それが今年育児を初めて11年目の私の、個人的な感想です。