細菌性膣炎とは、腟周囲のカンジダや細菌が本来増殖出来ない腟内に住み着いて増えてしまう病態を指します。以前絨毛膜羊膜炎の記事で解説しましたが、腟の前には尿道が、後ろには肛門があるため本来沢山のばい菌が住み着いています。

妊娠前から腟内環境と腸内環境を整えよう!
4,450 View日常診療において、腟が痒い、おりものが多いといった症状を訴える方は非常に多いです。カンジダ性膣炎や細菌性膣炎という病気によるものがほとんどなのですが、実はこれらの病気は早産リスクを高める原因にもなり得ます。膣内環境を整えるための方法をご紹介します。
そもそも細菌性膣炎の原因とは?

しかしながら、これらの菌は通常腟内には入り込む事が出来ません。なぜなら腟内には、デーテルライン桿菌という乳酸菌の仲間が住んでいて腟内を酸性に保つ事により、腟周囲の細菌の侵入を防いでいるからなのです。
しかし日々のストレスが溜まったり、生活習慣が乱れたりする事により、正常な腟内の環境を保てなくなってしまい他の細菌の侵入を許してしまうのです。これが細菌性膣炎の原因です。
細菌性膣炎の治療には、腟内の洗浄や抗生剤投与が行われます。基本的にはこの治療により、増殖した細菌が減少する事に症状は軽快します。
しかし一時的に症状が改善しても、ストレスや生活習慣そのものが改善しないかぎり、同様の病態を繰り返してしまいます。治療を繰り返すうちに細菌が抗生剤に耐性を持ってしまい、難治性の細菌性膣炎となってしまう事もしばしばあります。
細菌性膣炎は早産の原因にもなり得る?
実は細菌性膣炎は早産にも深く関連があります。胎児にとって、最も深刻な状況を引き起こすのは感染です。妊娠中の感染を防ぐ為に重要な役割を持っているのが、先ほど解説した腟内のデーテルライン桿菌なのです。
先述した様な難治性の細菌性膣炎になってしまうと、腟内の感染防御機能が上手く働かず早産を繰り返してしまう例もしばしばあります。その為,、妊娠を考える前から腟内環境を保つ意識を持つ事はとても大切です。
腟内環境と腸内環境は大きな関連がある?
さて、この様に正常な腟内環境を意識する事は大変重要なのです。実は最近腟内環境と腸内環境が大きく関連する事が明らかとなってきました。
この2つが関連するという事は腸内環境が妊娠にも関連するという事です。
最近の研究で、早産妊婦さんの腸内環境を調べてみると、正常妊娠と比較して住み着いている細菌が大きく異なる事が分かってきました。
近年、腸内環境改善のために乳酸菌の摂取が推奨されていますが、これは腸内環境だけでなく腟内環境を整える事にもなり、妊娠経過にもプラスに働く可能性があるのです。

近年は、乳酸菌だけでなく腟内や腸内の細菌を正常化するためにラクトフェリンという栄養素も注目されています。
まとめ
難治性の細菌性膣炎になると治療が難航することがしばしばあり、早産リスクも高まります。
ストレスや生活習慣の乱れに注意し、膣内環境を整えることを心がけましょう。

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