後追いとは、いつも一緒にいる人などの後を追い、ついてまわる行動のことを指します。
赤ちゃんは、身近な人と少しでも離れたり見失ったりすると不安になり、どこにでも追って探し回ります。
また、ハイハイなどにより自分で動くことができるようになると、後追い行動が本格化していくといわれています。
見えなくなると見つけるまで泣いて探したり、普段一緒にいる人を求めて必死についていこうとする姿はとても可愛らしいですよね。
しかし、可愛さを感じる一方で、家事などのやらなければいけないことが自分のペースでできなかったり、トイレにもゆっくりと行くことができなかったりするので、負担に感じてしまうことも。
赤ちゃんの可愛さを感じる気持ちと、負担に思う気持ちで葛藤している方も多いのではないでしょうか。
赤ちゃんの身体の発達は個人差がありますので、「この時期」と断定することはできませんが、一般的に後追いが始まるとされているのが生後9ヶ月頃。
9ヶ月前後の赤ちゃんは、おすわりが安定し、ハイハイやつかまり立ち、つたい歩きをする姿が見られる子もいます。
成長が目に見えて感じることができると嬉しいですよね。
両手を自由に使うことができるようになり、手におもちゃをもって遊んだり、手の届く場所にあるものを触ってみたりと、好奇心が旺盛になっていきます。
例えば、小さいものを指先でつまむことができ、器用に動かせるようにもなります。
また、食事面では離乳食が一日3回食に移行し、一日に摂取する栄養の多くを、母乳やミルクではなく食事からとるようになるのもこの頃です。
このように、目に見えて大きく成長していく時期であり、身体だけでなくこころも育っていきます。
いつも一緒にいるお母さんなど身近な大人の存在が分かり、他者と区別がつくようになると、人見知りや後追い行動が見られるように。
後追いとはどのような行動で、赤ちゃんに対してどのように関わっていくと良いのか知っておくと、少し余裕をもって関わることができるかもしれませんね。
生後間もない赤ちゃんは、他者のことはもちろん自分のことも認識することはできません。
少しずつお世話する人の顔を認識できるようになり、いつも優しく接してくれる人に対して安心感を持つようになります。
このように普段一緒にいる身近な人との愛着関係が築かれていくと、他者との区別がつくようになります。
そのため、例えば普段あまり合わない人に抱っこされたり、話しかけられたりした時に不安になって嫌う、泣くなどの「人見知り」の姿が見られます。
人見知りをするようになると、お世話してくれる人が少しでも視界からいなくなると不安感を覚えて泣く赤ちゃんも多いものです。
移動することができない赤ちゃんは、その場でただただ泣くことしかできませんが、ハイハイなどで自分で動くことができる赤ちゃんは、「後追い」をして探し回ります。
一般的に、後追いは生後9ヶ月前後に本格的に始まり、1歳半~2歳頃にかけて終わるといわれています。
「トイレに行っても少ししたら戻ってくる」「姿は見えなくても近くにいる」ということを赤ちゃん自身が理解し、安心して待つことができる月齢といえるでしょう。
赤ちゃんの発達には個人差が見られますが、後追いに関しても同様です。
数ヶ月にわたり日々後追いを続ける子、ほとんどしない子、全くしない子など赤ちゃんによって様々です。
一人遊びに夢中になっていたり、兄姉が遊んでくれたりという状況であれば、お母さんが少しの時間いなくても平気な時もあります。
また、他の子と比べて、後追い行動が激しくなかなか落ち着かないという時でも、成長はその子のペースであり個性ということを理解し見守ってあげましょう。
後追いをする時期は今だけと分かっていても、ゆっくりとトイレに行ったり家事をしたりすることができない、自分のペースで動くことができない状況に、困ってしまったり疲れてしまったりすることもありますよね。
そんな時に、「これをすると絶対に後追いが落ち着く」という決め手となる対処法はありませんが、どのように関わっていくのが良いのか紹介します。
毎日の生活の中で欠かせないのが家事。
「やらなければいけない」と気を張らずに、赤ちゃんのこの姿は今だけと割り切って、少し手抜きをしてみましょう。
食事も掃除も手抜きをすることで気持ちが楽になり、心の余裕を持つことができます。
近くにいるはずの人が見えなくなることで不安になってしまう赤ちゃん。
「ここにいるよ」「少しトイレに行ってくるね」などこまめに声をかけたり、赤ちゃんを抱っこしてスキンシップを図ったりして、心配無いよということを伝えて安心させてあげるのも良いでしょう。
また、家族の協力を得ることも大切です。
一人で抱え込むことなく、家族みんなで赤ちゃんの成長を見守っていけると良いですね。
後追いがひどくて悩む方がいる一方で、後追いをしないと悩む方もいます。
しかし、赤ちゃんにはそれぞれ個性があり、後追いをいつ、どれくらいするかは赤ちゃんによって違います。
また、赤ちゃんを取り巻く環境によっても後追いの程度は変わってきます。
例えば、
・ワンオペ育児でママだけ、パパだけがお世話している
・他の家族の中で過ごしている
・すでに保育園など集団生活が始まっている
など、背景の違いによっても後追いの状況は異なります。
つい、他の赤ちゃんと比較してしまう時もあると思いますが、「赤ちゃんそれぞれ個人差があるんだ」と気持ちを楽にすることも大切です。
ですが、もしも後追い以外にも赤ちゃんの発達に関する心配ごとがある場合は、迷わずかかりつけ医へ相談しましょう。
後追いをする赤ちゃんは、トイレや台所などお世話してくれる人が行く場所には家中どこにでもついてくるため、とても行動範囲が広くなります。
そのため「怪我をしないかな」「危ないものは無いかな」と安全面での心配もつきないですよね。
泣いてパニックになっていれば、壁や扉にぶつかってしまったり、食べ物や調理器具など多くのものがある台所に入ってきたりしてしまう可能性もあります。
赤ちゃんが通る場所や過ごしている環境の中に危険なものがないか確認すること、後を追ってきた時に問題が起こらないよう対策をすることが必要です。
どのような場面でも赤ちゃんにとって危険のない環境を用意し、家事などをしていても顔を見せてあげるなど安心感を持てる環境作りを心掛けていきましょう。
後追い行動は、赤ちゃんにとってお世話してくれる人を特別な存在と認識していることや、いつも関わってくれている人と他者との区別がつき、こころが大きく成長していることの証でもあります。
自分のことを認識してくれている、心身共に順調に成長していると感じて嬉しい反面、毎日の後追いの姿に少し疲れてしまい心の余裕を持つことができないこともありますよね。
後追いの時期を経て、赤ちゃんはお世話してくれる人への信頼感を持ち、少し離れても不安になることなく生活することもできるようになります。
どこにでも追ってついてくる姿がいつまで続くのかと思ってしまう気持ちもありますが、今しか見ることのできない貴重な姿と割りきって捉え、自分への愛着のあらわれを十分に受け止めてあげましょう。
お世話する側が楽しそうにしていると、その気持ちは赤ちゃんにも伝わるそうなので、ご家族に協力してもらい、紹介した対処法を実践しながら、後追い時期の赤ちゃんに上手に関わっていけると良いですね。
一つひとつの赤ちゃんの姿や時期を大切にし、子育てを楽しみましょう。