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公開 2020年09月14日  

1歳過ぎても言葉が出ない。発達の目安とおしゃべりが遅い時の対処法

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同じ年ごろの子がおしゃべりする姿を見て「うちの子、言葉が出るのが遅いんじゃないかな」と不安になることはありませんか?

言葉の発達には個人差があり、環境でも大きく変わるといわれています。

まずは焦らず目安を知ってみませんか?

1歳6ヶ月健診でスタッフが見ているポイントの説明や、家庭で簡単にできる言葉を伸ばすための関わりもご紹介します。


目次 1歳児の言葉の発達の目安とチェックポイント
1歳ではどんな言葉がどのくらい出るの?
言葉の発達は母子手帳のここをチェック
1歳6ヶ月健診では言葉の発達のどんな部分をみているの?
言葉の発達を後押しする!家庭で簡単にできる関わり方
1歳児の言葉を増やすには絵本の読み聞かせもおすすめ
1歳児の言葉の発達は個人差が大きいので不安になりすぎないで

1歳児の言葉の発達の目安とチェックポイント

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1歳の子どもの「まま」「ぱぱ」「ばいばい」など、一生懸命お話ししようとする姿は何ともいえずかわいらしいものです。

その一方で、言葉が出るのがゆっくりな子も少なくありません。

言葉が出ているか出ていないかというのは外から見てわかりやすいのでつい不安になってしまうこともありますよね。

言葉の発達のポイントを知ることで、不安な気持ちが軽くなると良いですね。


1歳ではどんな言葉がどのくらい出るの?

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1歳の子どもの最初に出てくる言葉は、言いやすい「ば・ぱ行」「ま行」の言葉が多い傾向があります。

例えば、「(いないいない)ばあ」「まま(まんま)」「ぱぱ」が挙げられます。

「ばーば」が一番早かった、ペットの名前を一番に呼んだ、などの体験談もあります。

耳にする機会が多く、子どもにとって使えたり楽しかったりする言葉が最初に出るようです。

言葉の出る時期には子どもによって異なりますが、早い子だと10ヶ月頃から意味のある単語が出始め、1歳1ヶ月頃には90%くらいの子に1つの単語、1歳5ヶ月頃には98%の子に単語が2個出ているといわれています。

1歳6ヶ月健診の問診票に「単語が2-3個出ているか」と書かれてているのはこのためです。

しかし、実際には言葉の発達の個人差の幅はもっともっと大きいようです。

2歳6ヶ月頃になって初めて単語が出る子も決して珍しくはありません。

言葉が早く出る子と遅い子では、なんと1年半以上の差があるといわれています。


言葉の発達は母子手帳のここをチェック

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言葉の発達に関係した、母子手帳でチェックする項目を確認してみましょう。

(1)「新生児聴覚検査の結果」

これは、母子手帳の新生児の検査記録があるページに記載されています。

新生児の頃の耳の聞こえ方はどうでしたか?


(2)「1歳の頃」
これは、保護者の記録と書かれたページに記載されています。

「バイバイ、コンニチハなどの身振りをしますか?」の質問に注目してみましょう。


(3)「1歳6ヶ月頃の頃」

これは、同じく保護者の記録と書かれたページに記載されています。

「うしろから名前を呼んだとき振り返りますか」
「ママ、ブーブーなどの単語を話しますか」
「どんな遊びが好きですか」

これらも言葉の発達を見るうえで大事な質問項目です。

記入漏れが無いか確認してみましょう。

そして、「いいえ」が付いていたら、2週間くらいづつ間隔をあけて、何回かチェックしてみてください。


1歳6ヶ月健診では言葉の発達のどんな部分をみているの?

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1歳6ヶ月健診の会場では言葉の発達について、大きく分けて4つの点に注目をしています。


(1)日常的なことばの理解


まず「言葉の理解について」絵カードを使ってみていきます。

その場合、カードに書かれたものの名前を質問し、子どもが指さしができるかをみます。

また、カードを使わず「おめめどこ」「口はどこ」などの質問をする場合もあります。

そして、ジェスチャーを使わず、「ナイナイして」「バイバイ」などの簡単な言葉だけで指示がわかるかも見ます。

体の動きの発達が年齢相応かも確認します。


(2)耳の聞こえ


問診票の「後ろからささやき声で声をかけたときに振り替えるか」を主に見ます。


(3)コミュニケーションがとれているか


簡単なやり取りをします。

名前を呼んで話しかけたときに目線が合うか、スタッフが「ちょうだい」と言った時に手に持ったものを渡してくれるか、逆に隠すなどをするか。

「上手だね!」とほめたときに嬉しそうにするか、「好きな遊び」にごっこ遊びや、やり取り遊びがあるかなどコミュニケーションの力が育ってきているかも見ます。


(4)興味や関心の強いかたよりがないか


興味や関心の強い偏りがないかを見ます。

子どもは好きなものにはとことん興味を持つものですが、特定のフレーズ「だけ」を延々と真似する、回転するもの「だけ」にひたすら興味を示すなど、強い偏りやこだわりがないかも確認します。

このようにたくさんの項目をみていくのですが、健診の会場はいつもと環境が違います。

さわがしくとても刺激が強い場面です。

興奮してしまう子や、疲れてぐずぐずになってしまう子、固まって動けなくなってしまう子もたくさんいます。

家ではできていることが健診会場ではできないこともよくあることです。

その時は問診票や母子手帳で普段の様子を推測して、情報が足りない部分は保護者に聞き取りをします。

後日、電話や訪問、育児相談会場などで確認する方法もありますので、健診会場でできなかったとしても心配はいりません。

「今日は私も子どももよく頑張った!」の気持ちで笑顔で帰りたいですね。


言葉の発達を後押しする!家庭で簡単にできる関わり方

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1歳6ヶ月健診や育児相談で言葉について相談をしたとき「2歳まで様子をみましょう」「たくさん話しかけてね」と言われたことはありませんか?

具体的に何をしたらいいのか、いくつかの例をご紹介します。


(1)わかるのが先、言うのはあと


言葉を発するまでには、『わかるのが先、言うのはあと』という法則があると考えられています。

これは、言葉が増えるのはコップに水が入る様子で例えられ、子どもの心の中にある「言葉のコップ」にわかる言葉がいっぱいになると、水がこぼれるように言葉が出てくるというものです。

しかし、コップの大きさは子どもによって違います。

経験を通して「わかる言葉」をどんどん増やしましょう。


(2)子どもの行動を実況してみる


子どもにわかりやすいように話すには、短いフレーズで注目させたい言葉は繰り返すのがコツです。

ついつい肩に力が入って「これは、猫!わかる?言ってごらん、ね・こ!」と眉間にしわを寄せて教えたくなってしまいますが、それではお互い疲れてしまいますよね。

そんなときにおすすめなのが「子どもの行動実況中継」です。

例えば、ごはんのとき「○○ちゃんが口を開けて~ぱくっ!おいしいねえ!」目があってにっこりしたら大成功。

言葉のやり取りを楽しめていますね。

知らんぷりでも大丈夫。

子どもはちゃんと聞いています。


(3)やり取り遊び


散歩のときなども「手をギュっ!」など、些細なことでも話しかけてみましょう。

それから子どもが気になるものを指さしてみます。

「あ!」と言ったらチャンスです。

例えば、落ちているどんぐりを指さして「どんぐりだね」と声を掛けます。

子どもがそれを拾ったら「ちょうだい」
渡してくれたら「ありがとう!」
そして、自分からも「どうぞ」といって渡すと、これだけで4往復のやり取りができています。


(4)楽しい雰囲気づくりをする


名前を呼ぶときに歌うように「○○ちゃーん♪」と呼ぶのも、楽しい雰囲気になるので良いですね。

「わんわん」などの幼児語も使ってかまいません。

子どもが言いやすい、使いやすい言葉で「言えた!」「楽しい!」気持ちが話したい気持ちを育てます。

もちろん、「幼児語は使いたくないなあ…」というご家庭は、そちらを優先してもかまいません。

このように子どもの興味に合わせたやり取りができると、言葉の発達を助けるといわれています。

ですが、ここまで紹介したことを親だけで行うのはとても大変です。

ぜひ他の人にも協力してもらいましょう。

子育て支援センターや児童館に行ってみたり、ご実家や友人宅に行きやすければ両親以外の大人たちにもたくさん話しかけてもらえるよう頼んだり、自治体で行う遊びの教室に行くのも良いかもしれません。

体を使った遊び、水遊び・砂遊びなどの外遊びも、経験を増やすのに一役買うでしょう。

一方でテレビ、動画はたくさんの言葉を使いますが、一方向からのコミュニケーションなので、言葉を増やすのには適していないと言われています。

テレビや動画も親と一緒に見て、子どもの興味に合わせて話しかけると良いですね。

朝夕の子ども向け番組は、話す人がアップで映され聞き取りやすい高めの声でゆっくりと話すので、子どもに伝わりやすいコミュニケーションの参考になります。

楽しいやり取りをたくさん経験させてあげて、1歳の言葉を伸ばしていきたいですね。


1歳児の言葉を増やすには絵本の読み聞かせもおすすめ


1歳くらいの子どもの言葉を増やすのには絵本の読み聞かせもおすすめです。

短いフレーズが何度も繰り返し出てくる本が、1歳くらいの子どもにとって理解しやすいといわれています。

福音館書店から出版されている「がたん ごとん がたん ごとん」(安西水丸 著)は、0歳から読める人気の赤ちゃん絵本。

「がたん」「ごとん」という音のリズムが楽しい1冊です。

汽車が走りお客さんが乗ってくるという同じ場面の繰り返しに、果物やコップなど身近なものが登場するストーリーで子どもの興味を誘います。

図書館や本屋さんで見かけたら手に取ってみてください。

出版社:福音館書店
著者:安西水丸
サイズ:18×18cm


息子、現在1歳7ヶ月です。

ゼロ歳時代はあまり絵本に興味を示しませんでした。
1歳2,3ヶ月くらいから多少興味を示すようになり、1歳半前くらいには、気に入ったものは何度もおねだりするようになりました。

そこで絵本のレパートリーを増やそうと思い、1歳半のころに選んだのがこれ。
息子は電車が好きなことと、レビューをみて評価が高かったのが選んだ理由です。

さてさて、うちの子はどんな反応かなーと思いながら読んであげましたが、そこまで強い反応はありませんでした。
読んでる間それなりに注目して聞いてはいますが、それで終わり。
お気に入りのものだと、好きなページだと笑ったり、指差したりと積極的な反応をして、何度もおねだりしてくるので、ちょっぴりがっかり。
でも、嫌いではないようなので、まあしょうがないかなと。

それから1ヶ月。
最近ちょっと久しぶりにこの本を読んだら、今までと反応が変わってました。
バナナがすきなのですが、バナナが出てくると「バ!バ!」と大喜び。
「乗せてくださーい」でゲラゲラ。

レビューでは0歳や一歳前後でもこの本を気に入っている子がいっぱいいるようなので、絵本ってほんとその子によってツボになる時期がちがうんだなあと改めて実感しました。

1歳児の言葉の発達は個人差が大きいので不安になりすぎないで

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1歳の言葉が出る時期は子どもによって1年半くらいの差があります。

ことばは「わかるのが先、出るのはあと」なので、体験ややり取り遊びが、言葉のもとを増やすことが大切です。

焦らず、たくさんの体験とコミュニケーションを通して言葉を増やす後押しができると良いですね。

不安な時は専門家の相談も活用しましょう。


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