第2子の妊娠が発覚した時、私はとても困惑していました。
えっ、無理じゃない!?と、かなり悲観的でした。
いえいえ、最初にお断りしておきますが、我が家は全くワンオペではありません。
職場が近くおまけに車通勤の夫は遅くとも19時30分には帰宅し、毎日家族揃って夕食を囲みます。
育児にもしっかり関心があって、日々長男と遊んでくれ、食事の介助もオムツ替えもできる。
お風呂上がりの着替えだって、パジャマの用意からドライヤーまで任せられる、かなり良いお父さんです。
だけど当時1歳3ヶ月になったばかりの長男は、生後1ヶ月頃からフライング気味に片鱗を見せ始めた人見知りが、絶賛大爆発中のスーパーダメボーイ。
夫のことはずっと好きでしたが、とにかく私の姿が見えなければ不安な様子で、夫と2人で私のお風呂を待つ間中泣き叫ぶような日も多々ありました。
夫の「適当にやっとく〜!」が、なんだか頼もしく感じた日<第四回投稿コンテストNO.22>
6,310 View第2子妊娠中、夫が長男と2人で過ごすことができるか、不安で仕方なかったというにじいろさん。産後、夫の一言にハッとしたといいます。
そんな長男を相手に少々怖気づいた夫は、溺愛しているし育児にも関わってくれるけれど、基本的に私が育児をして、そのサポートに徹するような役割分担が出来上がっていました。
もちろん通常はそれで良いのです。
私が専業主婦という事もあり、我が家はそれでバランスが取れていました。
でも第2子の出産となればそうもいきません。
分娩~入院の間、母不在の時間を過ごしてもらわねばなりません。
お風呂にも入れてもらわねばなりませんし、寝かしつけてもらわねばなりません。
ウンチのオムツだって、「できたら替えたくないな~」なんて言っている暇なく替えてもらわねばならんのです。
ハラハラヒヤヒヤ、気持ちが上がらない私に対して、夫は素直に第2子の妊娠を喜んでくれましたが、
「よし!じゃあこれからお父さんとお風呂に入ろう!練習やー!」
とか、
「よし!週末はお父さんが寝かしつけするぞ!練習やー!!」
とか言ってくれるわけではなく、そんな様子に私はどうしてもっと考えてくれないんだろう…自分の子どものことなのに…と、不安と、もどかしさと、いらだちを募らせていました。
気持ちがすっきりしないままに妊娠生活をおくり、後1週間で正期産。
予定日の9月末からの気候に合わせて、里帰りの荷物も一通りまとめられたかしら…という8月末頃。
朝方4時頃に「お腹が張るあなぁ…」と気付いたところから始まり、数時間後の朝9時48分、36週0日の早産で第二子である次男が誕生しました。
幸い早産でありつつも体重は2300gを超えていて自発呼吸もしっかりしており、健康そのもの。
ただ…。
「お腹が張るなぁ」から出産までわずか5時間。
私、超絶スピード出産体質なんです!
それ自体は楽で良いのですが(医学的にどうかは知りませんが)、問題は9月末からの気候に合わせて準備した里帰り用の荷物。
いや、今まだ真夏やないか…
もし、陣痛が進まず自宅で様子を見る数時間などがあれば、夫にあれこれ伝えられたのかもしれません。
でも残念ながら、息つく暇もなく出産まで走り抜けてしまった私は、産後病室のベッドでその事実に気付く羽目になったわけです。
さて困りました。
私はもう家には帰れない。
退院の日に、新生児を抱えて一旦自宅に戻り、荷造りしなおしてから実家に…とか、しんどすぎる。
これは夫に頑張ってもらうしかない…。
思いがけない早産やら出産の興奮やらで、テンパりながら
「あのな、いつも長男の服を入れてるケースの下の段にな、里帰り用の荷造りしてあるねんけどな、9月末のつもりやったから秋服が入っててな…」
と早口でまくしたてる私。
そんな私に、夫は落ち着いた様子で言ったのです。
「あ~、なるほど。わかった、適当になんとかしとくわ!」
その言葉に、私はハタと我に返りました。
そうか、この人、「適当に」なんとかできるんだ…。
夫は、長男の服がどこにしまわれているのか知っています。
今の季節にどんな格好をしていて、次の季節にはどんな格好になるのかも知っています。
服のサイズもオムツのサイズも知っています。
夫はスポーツカー好きになって欲しいけれど、長男は電車の方が好きだと知っていますし、絵本以上に図鑑が好きだとも知っています。
好きな食べ物も、毎日何時頃起きてどんな一日を過ごし、何時頃寝るのかも知っているのです。
ああ、一緒に子育てをするってこうゆうことかもしれない…。
自分で連れて行ったことは無くても、かかりつけの小児科を知っているし、次がいつなのかを知らなくても、これまでに何度も予防接種を受けてまだ続くと知っている。
子育てのほぼすべてのことを、「だいたい」知っている。
これって素晴らしいことだと気付きました。
夫は長男をよく見てくれていたし、私の話にもしっかり耳を傾け、興味を持って聞いてくれていました。
何をあんなに不安がっていたんだろう。
たとえすごく長男が荒れたとしても、夫は絶対投げ出さないし、愚痴ぐらいはこぼすかもしれないけれど、誰を責めるでもなく頑張ってくれるに違いない。
長男のことは夫に任せておけば大丈夫だ…。
改めてそう感じ、とても安心したことを覚えています。
今では長男は4歳6ヶ月、バタバタで生まれた次男も2歳8ヶ月。
相変わらず子どものことはだいたいなんでもわかる夫と私は、甘えたな息子二人にまとわりつかれ、私はすっかり信頼している夫に「よろしく~」と丸投げし、夫からは「やっぱりお母さんが一番やな!」とおだてて投げ返され、お互いにやっぱり寂しくなって息子にちょっかいをかけ、そんな風に日々を過ごしています。
息子たちを取り合ったり押し付けあったり、やっぱり取り合ったりしながら、今日もこれからも、私たちは一緒に子育てをしていくのだと思います。
ありがとう、これからもよろしくね。
(ライター:にじいろ)
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