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公開 2020年05月27日  

沐浴でまさかのミス…!夫のとっさの行動にたくさんの愛が詰まってた<第四回投稿コンテストNO.35>

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子どもが生まれる前の夫はパートナーとしては最高。でも父親としては?そんな疑問を吹き飛ばすきっかけとなった、ある日の出来事をしらたまさんがつづってくれました。



私の育児パートナーである夫は、妊娠中から私をとても気遣ってくれる人でした。

つわりで何も食べられないときも、精神的にガタガタだったときも、意味も無く涙が止まらず八つ当たりしてしまったときも、決して責めることなく優しく受け入れてくれました。

なんて恵まれているのだろう、と心から感謝する一方で、私には疑問に感じることがありました。

夫は私には良くしてくれる。

では、子どもには、どのように接するのだろう?

どんな風に可愛がるのだろう?

もちろんお腹の中の子どもに話しかけたりする姿から、子どものことも大事に思ってくれているのはわかっていました。

きっと子育ても一緒に頑張ってくれると信じていましたが、それはあくまでも予想でしかありません。

あんまり期待しすぎても、その期待が裏切られたらつらいなあ、とさえ思ったこともありました。

「夫」としての彼なら、よく知っているつもりです。

しかし彼が、どのような「父親」になるのかが、うまく想像できずにいたのです。


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ことは、私と息子が退院してから2週間ほど過ぎたある日に起こりました。

我が家では、リビングのテーブルにベビーバスを持ってきて沐浴を行っていました。

夫が在宅の時は二人がかりで、主に夫が息子を支え、私が身体を洗っていました。

最初はおっかなびっくりだったものの、毎日行っていれば少しは慣れてきます。

そのため、二人とも油断をしていたことは否めません。

いつものように息子を裸にし、夫が息子を抱き上げ、ベビーバスに近づきます。

私も沐浴に必要なものを揃え、今日もチャチャッと洗いますかと顔を上げたその時です。

私は目撃してしまいました。

夫に抱かれる息子の股から、水芸のごとく、おしっこが噴き出すその瞬間を…!!!

やばい!

そう思いましたが、今から動いたところで間に合いません。

夫もすぐに異変に気がつきました。

けれど、乳児をしっかり抱えたままでは、どうすることもできません。

「「あーーーーーっっ!!!」」

夫と私の絶叫は見事にシンクロし、その場に響き渡りました。


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弧を描くおしっこの動きはスローモーションに見え、これから起こるであろう惨事が易々と目に浮かびました。

あっこれ床べしょべしょになるやつやな。

このあとカーペット掃除大変だなぁ。

しょうがないね、こんなこともあるよね…ホントにやらかすとは思わなかったけど…

もはや諦めの境地だったのでしょうか、妙に冷静に様々なことが頭を過った気がするのですが、実際に私が出来たのは、間抜けな声を上げることのみでした。

しかし、夫は違いました。

彼は、絶叫のさなか、咄嗟に息子の身体をぐっと抱き寄せました。

息子のおしっこは止めることはできない、ならばせめてとおしっこを堰き止めようとしたのです。

自身の衣服を犠牲にすることで。

私たちの絶叫が止んだ後も、しゃー……というか細い放尿音は途絶えていませんでした。

その音ごと、夫のジャージが吸い込んでいきます。

私も彼も為す術なく、部屋着がじっとり濡れていく様を見つめるほかありませんでした。

やがておしっこは止まり、静寂に包まれるリビング。

後に残るはスッキリ排尿して満足そうな息子。


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その光景がシュールすぎて、夫には申し訳ないですが、思い切り笑ってしまいました。

つられた夫も裸の息子を抱えて大笑い。息子本人は「何でこの人たち笑ってるの…?」と言わんばかりの表情できょとんとしていました。

夫の犠牲のお陰で床はほとんど被害ゼロ。

服を洗濯するだけで済みました。

のちに当時の行動について聞いてみたところ、「あの瞬間、これはもう受け止めるしかないと思った」とのこと。

私にとってこの出来事は、夫が「いざというとき、そういう行動ができる人」ということを知ることが出来た経験として、強く残っています。

突然の放尿という惨事を予測し、オムツをギリギリまでつけておくなり、飛び散らせないようガードをつけるなり、他に取るべき対策があっただろうと今なら思うのですが…。

それでも、「おしっこでさえ受け止める」という気概を見せた彼を、誇らしく思います。

おしっこで床が汚れるのを防いだファインプレーというだけでなく、文字通り、息子を全身で受け止められる人だと、はっきり理解できたのです。

この人となら何があってもこの子を育てていける。

一緒に頑張っていける。

息子のことを、一生懸命に支えてくれる。

そんな風に感じられた出来事でした。


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あれから半年。

今日も夫と私は、一緒に育児を頑張っています。

夫は縦横無尽に動き回る息子と遊び、お風呂に入れ、寝かしつけてくれます。

そしていちいち心配性な私の話を聞き、大丈夫だよと安心させてくれます。

「ナイス育児!!!」と叫びたい経験が増えていく日々です。

それでも、一番心に残っているのはあの沐浴前の出来事です。

今でも思い出したように「あのときの夫はすごかった」と口にすることがあります。

その度に、この人となら育児を頑張っていける、と感じたことを思い出し、原点に帰った気持ちになるのです。

息子が大きくなったら、語り継ぐつもりです。あなたのお父さんは、あなたのことを愛しているんだよ、と。


(ライター:しらたま)


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※ この記事は2024年09月27日に再公開された記事です。

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