私と夫、ふたりで育児をする醍醐味を感じた、ほんの小さなエピソードです。
自宅ですごす時間がふえてから、子どもたちとぬりえをしたり、お絵かきをしたりすることが多くなりました。
いつも外で遊ぶことの多かった子どもたちも、あまり家ですることのなかったお絵かきを新鮮に感じたのか、なかなかハマっている様子。
でも、普通にかくのにも飽きてきた様だったので、何か絵をかいてちがう遊びができないかと思い、初めて、大きな模造紙を買ってみることにしました。
いつもの画用紙よりはるかに大きい紙に、子どもたちもワクワク。
模造紙を床に広げて、何をかこうかとあれこれ考え…
気軽に外に出ることがむずかしくなっていたので、まちをかいて、お出かけした気分になろう!と、住んでみたいまちを子どもたちと模造紙にかいてみることにしました。
自分たちの家はここで、道路をかいて、いつも行く公園やパン屋さん、郵便局や消防署もかいて…ショッピングモールや水族館もあったら楽しそうだよね!
と、あれこれかいては色をぬり…
子どもたちのアイディアも加わって、模造紙いっぱいに素敵なまちが完成!
できあがった後には、道路におもちゃの車を走らせたり、人形を持ってきて街に並べたり、今から水族館に行こうよ!なんて言いながら、子どもたちは想像力をふくらませて楽しそうに遊んでいました。
私もその様子を見て、我ながら模造紙1枚でなかなか楽しめる遊びを思いついたな~なんて、自分のアイディアに満足していました。
お絵描きをもっと楽しく…模索のうち、夫と一緒にいる意味に気づいた<第四回投稿コンテスト NO.56>
5,612 View大きな模造紙に、住みたい街の絵を描く…。そんな素敵な遊びを思いついた、福木ちひろさん。でもその遊びは、夫のアイディアにより、もっともっと進化していきました。
その週末。
模造紙のまちがよほど気に入ったのか、パパも一緒に遊ぼうよと、子どもたちはしまってあった紙をひっぱり出してきました。
おぉ~!おもしろいもの作ったね!と、夫も感心した様子。
でしょ~!なんて、私も心の中で自慢げに思いながら、おもちゃの乗り物や人形で夫も子どもたちと一緒に遊びだしました。
するとしばらくして、段ボールとカッターを持ち出し、なにやら作り始めようとしている夫。
何かひらめいたようです。
一緒にやる~!と言って、子どもたちもガムテープやはさみを持って加わりました。
実は、夫は小さい頃から絵や工作が得意だったらしく、小学生の時に市のコンクールで入賞したこともあるそうなのです。
でも、実際に夫が何かを作っているところは、今まであまり見たことがありませんでした。
というのも、普段の休日は外で遊ぶことが多く、夫が子どもたちと家で何かを作って遊ぶということは、これまでほとんどなかったからです。
こんな機会も、自宅生活が長くなってからこそ。
一体何ができあがるのか、私も楽しみにしながらも家事をしたり夕飯の支度をしたり、しばらくその場を離れていました。
すると、ママできたよ~!と、子どもたちの呼ぶ声。
何を作ったのかなと、わくわくして部屋に行ってみると…
模造紙にかいたまちの上に、段ボールで作った建物がたくさん!
まちが立体になってる~!!
紙にかいただけのまちが、3Dになってグレードアップしていたことに、とても驚きました。
夫にこんな特技があったとは…!
本や設計図もなく、すべて適当に段ボールを切ってガムテープで貼って、作ったそうです。
子どもたちも、パパが作ってくれた立体のまちに、大喜び!
中でも、車好きな息子がいちばん喜んだのは、ショッピングモールの立体駐車場。
3階建ての駐車場にはスロープもついていて、中におもちゃの車を並べたり、スロープを走らせて階を移動させたり、楽しそうにずっと遊んでいました。
とても段ボールだけで作ったとは思えないクオリティ!
しかも、それを短時間で簡単に作ってしまうなんて、夫の工作の腕前は、想像以上でした。
夫よ、ナイスプレー!
子どもたちが喜んで遊んでくれたこと以上に、私にとっても、とても嬉しく感じたことがありました。
それは、私ひとりのアイディアでは平面にしかならなかった模造紙のまちが、夫のひらめきと特技が加わって、もっと素敵になったこと。
ふたりのいいところをちょっとずつ出し合って、それを積み上げたら、もっといいものができた。
それって、持ち味のちがうふたりが一緒にいることの、いちばんの喜びで楽しみで、醍醐味なんじゃないかな。
そんなことに、気が付きました。
育児をしていると、もっとああしてほしいとかこうしてほしいとか、パートナーへの不満や要求は、当然生まれてきます。
どうやって負担が偏らないようにバランスをとるか、どうやってお互いのマイナスを補い合うか。
夫婦で育児をしていると、こんなことにスポットが当たりがちです。
私も、もっとこうしてくれたらいいのに…と、夫に思うことはたくさんあります。
仕事や育児に追われていると、やっぱり、お互いの仕事量の天秤が傾くことに目がいってしまいがちで、パートナーとして一緒にいる意味はあるの?なんて、思ってしまうこともあるかもしれません。
それは、理想の夫婦像や、パートナーへの期待があるからこそなのかも。
だけど、ふたりのいいところの積みかさねに目を向けて、どんなに小さなことでもそれを感じられたら、理想に届かなくても期待に応えられなくても、ふたりでいる意味があるんじゃないかな。
私と夫のいいところで作ったまちを見ていたら、なんだかポッと心の中が温かくなって、気持ちが軽くなったような気がしました。
ストレスや不満のたまりやすいこんな状況だからこそ、夫婦のマイナスに目を向けるのではなく、ふたりだからできる小さなプラスを、積みかさねていきたい。
そんなことを気づかせてくれた、夫のナイスプレーでした。
これからも、私と夫のふたりのプラスで、子育てをしていきたいです。
(ライター:福木ちひろ)
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