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公開 2020年06月05日  

夫が在宅勤務で育児スキルアップ。その結果、過去の自分も癒された<第四回投稿コンテストNO.59>

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育児スキルが高いとはいえなかった夫が、在宅勤務をきっかけに急成長。その姿を見守っていた福木ちひろさんは、あることに気がつきました。



正直、夫の育児レベルは、子どもたちが赤ちゃんの頃からずーっと変わらずにいました。

おむつ替えや遊び相手はできても、それ以外のお世話は私の手助けがなければできないし、夫と子どもたちだけでお留守番なんて、よほどの事情がない限り、ほとんどしたことがありませんでした。

というのも、夫は仕事が忙しく、子どもたちが起きる前には出勤して、帰りはいつも寝た後。

平日は私だけで子どもたちの面倒を見て、夫が育児に関われるのは、週末の休日だけでした。

休みの日には、夫が子どもたちをお風呂に入れたり遊んだりしてくれましたが、子どもと接する時間が圧倒的に少なかったので、育児については、夫は私のお手伝いといった感じ。

今でこそ、「ワンオペ育児」という言葉がよく使われていて、夫婦一緒に育児をするのが当たり前、という意識が広がりつつありますが、私が出産した5~6年前には、私は専業主婦で夫は仕事が忙しいのだから、育児の大半を私が担うのも仕方がない、と思っていました。

そんな育児をしながら、あっという間に子どもたちは6歳と3歳に。


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そして今、子どもたちが産まれて6年目にして、初めてなのでは?!と思うくらい、夫が育児をしています。

それは…在宅勤務が始まったから!

通勤時間や残業がなくなった分、朝晩は子どもたちとすごす時間がたっぷりあり、朝の着替えや食事のお世話、お風呂から寝かしつけまで、時間の許す限り夫がしてくれています。

それはそれは今までになかった素晴らしいことで、私も助かるし、子どもたちもパパといられて大喜び!なのですが…まぁその夫の頼りないこと!(笑)

服を前後逆に着させることはしょっちゅうだし、歯の仕上げ磨きを任せれば磨き残し。

タオルでろくに拭かずに、子どもたちがびしょびしょのままお風呂から出てきたり、からだに塗る保湿クリームを間違え、パパそれじゃない!と子どもたちに指摘されたり。

食事の時には、3歳の息子にスプーンでごはんを食べさせようとして、もう赤ちゃんじゃないから自分で食べさせて!と、今度は私に怒られ…

子どもたちが赤ちゃんの頃から育児レベルが止まっていた夫は、おむつを替えるだけでは済まない子育ての大変さに、四苦八苦(笑)

これは夫がレベルアップするのにいい機会だ!と思い、私はなるべく手も口も出さず、夫の奮闘を見守ることにしました。


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すると、回数をこなすうちに、慣れない着替えやお風呂もコツをつかんでいった夫。

でも、なかなか言うことを聞かない子どもたちには、いつも手を焼いている様子でした。

「テレビばっかり見ていないで、ちゃんと着替えして!」

「おもちゃを片付けてって言ってるでしょ!」

「もう寝る時間だから、早くお布団に行って!」

などなど、簡単には動いてくれない子どもたちに、いつもは温厚な夫でも怒っている場面がよくありました。

そうそう、つい怒りたくなる気持ちは分かるけど、それだけじゃあ子どもたちは動かないんだよね~なんて、心の中で同情やら応援やらしながら、その様子を遠目から見ていた私。

あれ…だけどこれ、なんだかどこかで見たことがあるような…

あ、私だ!!

あれこれ怒っている夫の姿は、どうにもならない子どもたちに手を焼く、私を見ているようでした。

今でこそ、怒るだけでは子どもたちに伝えたい言葉は届かないことを学び、やる気が出そうな言い方をしてみたり、喜んでやりそうなゲーム形式にしたり、そして時にはあきらめたり、自分も子どももできるだけストレスなくすごすにはどうしたらいいか、考えられるようになりました。

だけどそれまでは、私もすぐに怒っては、そんな自分が嫌になったり情けなくなったりして、よく子どもたちが寝た後にひとり反省会をしていたな…

育児に必死で忘れていた当時の記憶や感情を思い出して、懐かしいような切ないような、申し訳ないような気持になりながらも、普段温厚な夫でさえ子どもたちを相手に怒っているところを見ると、私だけじゃないんだ、となんだか少しホッとする自分がいました。

こんな風に、私も四苦八苦して頑張ってきたから、今があるんだ。

子どもたちを相手に奮闘している夫を見ていたら、そこに重なった昔の自分も含めて、ナイス育児!と言ってあげたくなりました。


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「そんなに怒ってると、自分もつらくなっちゃうよ」

「まだ子どもなんだから、そこまではできないよ」

「できなくて当たり前と思うと、少し気持ちが楽になるよ」

気が付いたら、自然と夫にこんな言葉をかけていました。

それからは、

「どっちが早くお着替えできるかな~!」

「お部屋が片付くと気持ちがいいね!」

「寝る前に本を読みたい人は、歯磨きをしてお布団に集合~!」

と、持ち前の遊び心を活かして、親も子どももポジティブになれるような声かけが増えた夫。

見習いたいなと思うことがあったり、夫だからこそできるんだなと感心することがあったり、夫の育児を見ていると、私も勉強になることがたくさんあります。

最近、いちばん驚いたことは、

「あれ?なんだか疲れた顔をしているから、今日は早く寝た方がいいね!」

と、子どもたちの様子を見て、体調を気にかけるようにまでなったこと!

着替えやお風呂だけでなく、育児に対する姿勢や子どもたちへの接し方も、かなり成長した様子の夫。

頼りなかった夫が、ここまでレベルアップしたことに、驚きと頼もしさを感じました。

改めて、ナイス育児!


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そして、この夫の育児修行をとおして、新しい目標ができました。

それは、これから子どもたちに、私と夫がふたりで育児をしている姿を見せていくこと。

今、子育てをしている私たちの多くが見てきたのは、「男は仕事・女は家庭」という考えが一般的だった時代に、仕事や育児をしてきた親の姿です。

だけどこれからは、男性も女性も区別なく、仕事も家事も育児もしよう!という時代。

そんなこれからの時代をつくろうとしている私たち子育て世代は、親世代の考え方や制度の残る今の社会の中で、親子間や夫婦間の意識の差に悩んだり、仕事と家庭のバランスに不満が出たり、夫のように、育児にほとんど関わることができずにいたりするのも、仕方がないことなのかもしれません。

だけどきっと、子どもたちが親になる頃には、男性も女性ももっと仕事と家庭の両立がしやすい社会になり、当たり前に夫婦ふたりで育児をする時代になっているはずです。

将来、そんな時代に子育てをするかもしれない子どもたちが、少しでもそのイメージを持てるように、私と夫が協力して育児をしている姿を見せておきたい。

見本になるかは分からないけれど、今の夫とならそれができるし、子どもたちのためにも自分たちのためにも、夫婦で育児をしていこう!と、新しくできた目標にむけて、夫と力を合わせていく決意をしました。

今までがあったから、今の育児ができていると私に気付かせてくれたこと。

そして、夫婦ふたりで育児をしていく目標ができたこと。

いろいろ考えるきっかけや気づきがあった、夫のナイス育児修行でした。






(ライター:福木ちひろ)





※ この記事は2024年09月22日に再公開された記事です。

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