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公開 2020年06月27日  

子が苦手なモノの練習は、親子でつらい。険悪モードを変えた夫の魔法<第四回投稿コンテストNO.106>

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息子のなわとびの練習に付き合うことにした、秋音ゆうさん。少し運動が苦手なこともあり、なかなか上手くいかず、親子でスランプに…。救世主は夫だったそうです。



新型ウイルスの影響で長らく休園生活を送っていた息子は今年、年長さんになる。

待ち焦がれていた年長さんだが、幼稚園が始まらないと実感も湧かない。

この自粛期間中、私とずーっと密に過ごしていた息子は、時折フラストレーションが溜まっているように見えた。

普段なら幼稚園の先生を始め他の大人とも接する機会があるが、母である私だけというのは5歳児ながらしんどいと感じることもあるのだろう。

どうしたって怒られる機会も増えるし、兄弟がいるので我慢しなければならない時もたくさん出てくる。

きつく叱ってしまった日は反省してもしきれないほど、私自身が自己嫌悪に陥った。

そんな日々を過ごす中、幼稚園から「なわとびをれんしゅうしよう!」というお手紙が届いた。

園で仲良しのお友達も、この春休みから自粛期間の間になわとびを練習しているようでめきめき跳べる回数を伸ばしていると聞く。

元々運動が少し苦手な息子。

体を動かすことは嫌いではないけれど、どちらかというとインドアタイプなのでみんなのように上手になるために結構な努力が必要なのだ。

なかなかできない、うまくいかないという状況が苦手なのでいつも途中で挫けてしまう。

へこたれた時は自暴自棄になりイライラして、時にはパニックになって大泣きすることも。

そうなるとなかなか気持ちの切り替えができない。

黙って見守る時もあれば、息子の気持ちの弱さにどうしても我慢できなくて喝を入れてしまう時もある。

鬼の特訓を重ねて乗れるようになった自転車の練習は大変だった。

あれは初めて息子が味わった挫折、そしてそれを乗り越えた出来事だったように思える。

今回のなわとびの練習はどうかなと思っていたが、やはり同じく大変だった。


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「ただ、縄を跳ぶだけ」が難しい。

きっとセンスがある子は少し見本を見ただけでマネができてしまうのだろう。

息子の場合はなわとびの持ち方、跳び方、縄の回し方、跳ぶタイミング…多くのことを一度にやるのがとても難しそうだった。

見本を見せたり、一緒に動画を見たり、私自身も運動音痴なので息子と試行錯誤しながら練習をした。

でも、日に日に気持ちが弱まっていく息子。

跳べても2回が限界だった。

投げやりになり、イヤイヤやっているのが見てわかる。

そんな姿勢では跳べるようになるはずがなく、私もイライラして強く指摘してしまう。

まさに負のループ。

目標を一緒に決めたり、勇気を出すためにはどうしたらいいかじっくり話し合ったり…とにかく息子の気持ちが前向きに整うように色々試したがなかなかうまくいかない日々が続いた。

それでもなかなかスランプから抜け出せない私たち。

話は変わり、うちの夫は職業柄この自粛期間中も出勤せざるを得ない状況が続いていた。

たまに在宅勤務の時もあったが、ひっきりなしに電話メールが飛び交い相当疲弊している様子。

そんな中、たまに空いた時間で息子のなわとびの練習に付き合ってくれた。

私ではなく夫が見ることで息子も気分転換になったのか、楽しく練習ができているようだった。

しばらくすると、外から2人の歓声が聞こえた。

何事かと思うと、

「ママー!ぼく、10回跳べたよ!!」

という息子の興奮する声。

まさか!昨日まで2回しか跳べなかったのに?!


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実際に息子の跳ぶ姿を見ると、別人のようだった。

体もまっすぐ、ジャンプの足も軽く、縄もきれいに回せていた。

そして何より、息子の生き生きと頑張っている顔が見えた。

一体何が起こったのだろう。

夫に聞いてみると、「ちょっとしたコツだよ。魔法をかけたらすぐ跳べた」と。

「えー!なになに、教えて!」とせがむと、その魔法はなんの変哲もないものだった。

「まずは体。まっすぐになっているか確認して大丈夫と伝えた」

「次に頭。跳びたいと思っているか確認して、それも大丈夫だよなと伝えた」

「最後は心。怖いと思ってないか、跳べないんじゃないかと弱気になってるから抱きしめて大丈夫だと伝えた。それだけ」

その夫の魔法は私が伝えたかったこと、伝えてきたことと同じだった。

でも、きっと夫ならではのシンプルな伝え方が息子の心を溶かしたのかもしれない。

この時、やっぱりパパってすごいなあと素直に感動した。

男の子だからこそ、パパの力がグッと効く時がある。

決して、気が利く方でもない。

細かく面倒見が良いタイプでもない。

でも、私が10やって伝わらないこともパパの1つの言動がとっても効果的なことがよくある。

しかもそれは全て、押し付けがましくなく息子の目線に立った言動が多い。

仕事も多忙でなかなか息子たちと過ごす時間が少ない夫。

平日はほぼ私のワンオペ状態だ。

息子たちと一緒の時間は幸せばかりだが、どうしても一緒にいる時間が長いのでイライラしたりぶつかったりすることも私の方が多くなってしまう。

そのため我が家では、パパが緩衝材になることが多い。

そしてパパの息子達への接し方は見ていてすごく勉強になる。

向き合う時は、本気で。

息子が今何を考えているのかを敏感に察知して、息子の心がへし折れないやり方をする。

そして褒める時は全力で褒める。

当たり前のことだけど、日々密接な関係だからこそ余裕がない私にはなかなかできていないことが多い。

「もっとこうして欲しいな」「もっと察して欲しいな」と思うことはたくさんあるが、やっぱりパパの力には感謝しかない。

父親と息子、これから大きくなればなるほど大切になってくるのだろう。

母の私にはわからないこともきっと出てくる。

これからも、パパと息子のナイスな関係性が続いていったらこれほど幸せなことはないだろう。

それを見守ることができる私はとっても幸せな母親かもしれない。





(ライター:秋音ゆう)




※ この記事は2024年10月31日に再公開された記事です。

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