「食べない子」が出す「ピンチサイン」についてお伝えします。
次に挙げる6つの行動パターンは「わがままな行動」や「よくあること」と思って、つい見過ごしがちなことです。
しかしこれらは、自分の状況を適切に言葉で説明できない子どもの必死の訴えである可能性があります。
精神的な要因も含まれますので、次の6点を念頭に置いて、食卓でのお子さんの様子を観察してみましょう。
「食べない子」が楽しく食べられるようになるために。親が知っておきたいこと
11,700 View子どもの少食・偏食に悩むパパやママの心がラクになる本、『食べない子が変わる魔法の言葉』(山口健太著/辰巳出版)よりその一部をご紹介!
食べない子が出すピンチサイン
ピンチサイン1「吐き出す」
食べたものをベーッと吐き出します。
大人からすると「汚い」「困る」行動ですが、実はこれは「今の自分の感覚には合わない」というサインです。
小さい子どもは特に「食べてみないと、自分に合うか合わないか分からない」ため、吐き出すことが多くなります。
ピンチサイン2「泣き出す」
つい、わがままで泣いているように思ってしまいますが、これも「理由があって食べられないけれど、それを自分では説明できない」というお子さんの最大限の気持ちの表現だと捉えましょう。
ピンチサイン3「水をよく飲む」
一見、喉が渇いて水を飲んでいるだけのように見えますが、食に対して後ろ向きになっている「食べない子」によくある行動です。
緊張により嚥下(えんげ)機能が低下して食事をうまく飲み込めないために、水で流し込んでいる可能性があります。
ピンチサイン4「ゲップをよくする」
これは「呑気(どんき)症」(別名・空気嚥下症)という病気の症状です。
主に緊張などの精神的な理由により無意識に空気を飲み込んでしまい、ゲップとして症状に表れます。
ピンチサイン5「おならをよくする」
これも呑気症の症状の1つです。
緊張などで空気を飲み込んだり、腸の機能が低下することから、おならをしやすくなります。
よくおならをするお子さんは、食事の時にストレスを感じて空気を多く飲み込んでいる可能性があります。
ピンチサイン6「口数が減る」
これは「場面緘黙(かんもく)」という疾患の1つで、いつもは普通に話せるのに、特定の緊張を感じる環境ではほとんど話せなくなります。
心理的な要因が大きいので、 食事の時だけ極端に口数が減るようなら、食べられないサインと捉えるのが良いでしょう。
以上の6つの「ピンチサイン」がよく見られる場合は「今、この子は食事のことで苦しんでいるんだ」と理解してあげてください。
「お行儀が悪い!」と叱ったり「ちゃんと食べなさい!」とプレッシャーをかけたりすると、逆効果どころか会食恐怖症などに発展する恐れもありますので、注意してくださいね。
「食べない子」が変わる5つのステップ
以上を踏まえた上で、「食べない子」が「楽しく食べられる子」になるためのステップを見ていきましょう。
「食べない子」が変わるには、大きく分けて次の5つの段階があります。
ステップ1 知らない
ステップ2 知ってもらう
ステップ3 興味を持たせる
ステップ4 触れてもらう
ステップ5 食べてもらう
「食べない子」が楽しく食べられるようになるためには、この5つのステップを踏んでいくことが大切です。
これは何も難しい話ではありません。
たとえば、あなたが新しいテレビを買おうとして、家電量販店に行ったとします。
そこで、自動ドアがウィーンと開いた瞬間に、店員さんがやってきて「いらっしゃいませ! 何をお探しですか? テレビですね! では、こちらの最新機種がオススメです!!残り1台しかありませんので、今すぐご購入でよろしいですか?」......と怒涛のセールストークを受けたら、絶対にそのテレビは買いませんよね。
一方で、店内をブラブラしていて、「このテレビがいいかもな~。機能面に詳しい人に聞いてみたい」と思っていた時に、ちょうど良いタイミングで店員さんが近くにいたら自分から、「すみませ~ん!」と声をかけると思います。
子どもの想像力は無限大! 未知の食材こそ、子どもの好奇心をいかす最大のチャンスです
つまり、「どのタイミングで、どういうコミュニケーションを取るのか?」がとても重要なのです。
これは「食べない子」に対しても同じです。
よくやりがちなミスは、ステップ3「興味を持たせる」をすっ飛ばして、「食べてみたら?」と提案してしまうことです。
これは先ほどのテレビの押し売りのようなもの......。
当然、食べてくれる可能性は低くなりますよね。
無理強いすれば、「興味を失わせる」ことにもなりかねません。
だからまずは、知ってもらい、興味を持たせることを大切にしていきましょう。
興味を持てば「食べてみたら?」と言われなくても、自分から、「食べてみたい」という気持ちが生まれてきます。
子どもが自分から「食べてみたい」と思うためには、まず大人が認識を変えなければいけない部分があります。
「食べない子」を変えようとするのではなく、まずは大人が子どもの「食べない」を理解し、声かけを変えることから始めたいですね。
次回も書籍『食べない子が変わる魔法の言葉』から、「悩んだときに思い出したい、魔法のルール」をテーマにご紹介します。
7月4日に公開予定です!
(編集:コノビー編集部 大塚)
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