我が家には、小学校2年生の男女の双子がいます。
双子たちが小学生になり、学童保育に通うようになったことで、お迎え時に一緒にスーパーマーケットに立ち寄る機会が増えました。
すると、双子たちは「お菓子を買って」と言うように。
小学生になったこともあるので、「お菓子を買って」という言葉に対してどう対応するか、改めて考えてみることにしました。
「好きなお菓子を1人1個まで購入OK」にしてもいいかなと思ったのですが、そうすると高価なお菓子を選んでくる可能性もあり、連日になると予算的にも厳しい。
そこで、我が家で許容できる範囲として思いついたのが、「100円までのお菓子であれば、好きなものを1つ購入OK」とする“100円チャレンジ”です。
100円チャレンジのルールはいたってシンプル。
①購入していないお菓子は勝手に触らないこと。
②価格表示している金額が100円より小さいお菓子を1つ選ぶこと。
この2つだけです。
双子たちに提案してみると「分かった!」と言って大喜び。
いざお菓子売り場に放たれた2人は、さっそくそれぞれ好きなお菓子を探し始めました。
自分で選んで良いとあって、その目つきは真剣です。
「このお菓子は学童保育のおやつで出るから、買わなくても食べられる。」
「あー。これが欲しいのに、100円超えてる。」
「え!このお菓子って100円で買えるんだ!」
こんな具合で夢中にお菓子を選んでおり、我が家の100円チャレンジは順調にスタートを切りました。
100円チャレンジにも慣れてきた頃、双子たちがこんなことを提案してきました。
「たし算して100円より小さい数だったら、お菓子を2つ選んでもいいよね?」
1年生は、学校でたし算を習います。
これは算数の学習にもぴったりだと思い、合計100円以下であれば複数購入OKというルールに変更しました。
すると面白いことに、100円チャレンジの中にも2人の個性が見え始めたのです。
息子は、緻密に計算して100円ピタリ賞を狙おうとする。
かたや娘は、「計算が面倒くさい」と言って100円に近いもので1品狙いをする。
そうかと思えば、次の時は、娘が必死に計算してより多くのお菓子を買おうとしていたり、息子は“駄菓子パック”なる100円で買えるお得なセットを選んでいたり。
双子たちは、お互いに影響し合っているようでした。
また、当時の双子たちはまだ計算が得意ではなかったので、私や夫がたし算のサポートに徹しました。
と言っても、親が計算してあげてしまうと意味がないので、たし算をしている過程の数を覚えておいて、伝えるだけです。
時間がかかってもいいから、自分たちの力で答えを出せるように促す。
そして「計算できないなら、あきらめるしかない」と伝えると、一生懸命に計算するようになりました。
毎回、算数の宿題よりも必死に取り組んでいます。
その後も週1回程度のペースで100円チャレンジを続けていたのですが、ある日おもしろいことが起こりました。
普段使っている家の近くのスーパーではなく、車で出かけた先のスーパーで100円チャレンジした時のこと。
息子がこんなことを言い出したのです。
「あっ!このお菓子、いつものスーパーじゃ100円より高いから買えないのに、このお店だと買える!」
確かにそのお店は、お菓子が安く買えるお店だったのですが、息子の中に普段買い物しているスーパーの価格がインプットされていたことが驚きでした。
今では、あの店にはこんな商品があって、このお店にはこのお菓子が売っている……という商品ラインナップも覚えています。
「自分たちで選ぶ」という経験を通して、お菓子売り場を見る目も肥えてきたのかもしれません。
最初は、お菓子の値札を見て「100円で購入できるかどうか」を考えることから始まった100円チャレンジでしたが、次第に自分たちで計算して買い物をするようになり、“学び”の種類も変わっていきました。
そこに、さらにお店選びという視点も加わって、当初の想定以上に「生活に密着した学び」になっていることに気付いたのです。
このように、さまざまな方向に進化させながら「100円チャレンジ」を楽しんでいる我が家ですが、双子たちはさらに知恵をつけ、ある日こんな提案をしてきました。
「2人合わせて、200円までのお菓子を選んでもいい?」
200円で何が欲しいのかを聞いてみると、大袋に入ったおせんべいを買いたいとのこと。
保育園の頃におやつで食べていたという、その思い出のおせんべいを買いたいと言い出したので、「2人が合意しているなら、2人で合計200円でもOK」というルールに変更をしました。
その後は、2人で食べたいものが合致した時は“200円ルール”で買い物をするようになりましたが、意見が割れた場合は交渉決裂となり、200円のお菓子は買えません。
200円を狙っている日は、お互いにプレゼンして合意を取る必要があるので、見ていてとてもおもしろいです。
双子たちの成長により、100円チャレンジのルールはどんどん進化しているのですが、また新たな提案も受けました。
それは「100円でお菓子を購入したお釣りを、次の100円チャレンジまで貯めておいて、合算して使いたい」というもの。
これは案としてはとても良く、複雑な計算の練習にもなるので採用したかったのですが、その端数の金額を覚えておくのが大変なこともあり、運用できていません。
今後はノートにつけるなどのアイデアを取り入れながら、運用方法を考えて挑戦してみたいと思っています。
「100円チャレンジ」という日常の中のささいな一コマですが、自分で選ぶことで満足感を得ることができ、お店や商品価格に興味をもつきっかけになっています。
我が家の100円チャレンジは、今後もしばらく続きそうです。