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公開 2021年05月12日  

【医師監修】母乳育児中にしこりが!原因とおっぱいケアなどの方法について

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母乳育児をしていると時々おっぱいに痛みが…。触ってみるとしこりに気づいてビックリした経験があるママもいるのではないでしょうか?母乳育児におっぱいトラブルは付き物ですが、できることなら避けたいもの。今回はおっぱいのしこり対策と、できてしまった場合の解消法をご紹介します。《監修:つづきレディスクリニック》


目次 授乳中におっぱいのしこりが取れない原因
おっぱいのしこりの解消法
おっぱいのしこりを和らげる対策
しこりが痛い場合
乳腺炎と乳がんとの見分け方
病院受診が必要な場合の見分け方

授乳中におっぱいのしこりが取れない原因

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授乳中、おっぱいに痛みを感じて触ってみると硬いしこりを見つけたことはありませんか?

初めは「これは一体何?」と驚いてしまうかもしれません。

この、おっぱいにできるしこりの正体は何なのでしょうか?

まずは、おっぱいにできるしこりについて解説します。

おっぱいには通常、約10〜15の乳腺があります。この乳腺は母乳を作る小葉と母乳を運ぶ乳管に別れています。

授乳中はおっぱいが次から次に作られていますが、赤ちゃんが飲む量とバランスが取れていない時など母乳が溜まると、乳管を詰まらせてしまうことがあります。

そうして詰まった乳管に「乳瘤(にゅうりゅう)」という、しこりができるのです。

赤ちゃんがおっぱいを吸ったり、搾乳をしたりすることで詰まりが解消し、自然としこりが取れる場合もあります。

しかし、なかなか取れない場合は乳腺炎に移行し、さらに放置すると手術が必要な状態まで悪化してしまう恐れもあります。

乳腺炎は「急性」と「慢性」があり、「急性」の乳腺炎は主に母乳が乳腺内に溜まって起こる「うっ滞性乳性炎」と乳管からの細菌感染で引き起こされる「急性化膿性乳腺炎(きゅうせいかのうせいにゅうせんえん)」があります。

授乳中になる乳腺炎はだいたいが「うっ滞性乳腺炎」です。

乳腺の細さは生まれつき決まっているため、もともと乳腺が細い人はどうしても乳腺炎になりやすくなってしまいます。

授乳中に自然と取れるのが一番ですが、授乳中は同じ方向で抱きながら飲ませることが多いため、詰まった場所の乳管はずっと吸われないままのことが多いようです。

意図的に授乳の体制を変えて、さまざまな角度から満遍なく吸ってもらうことが必要です。

しかし、軽い詰まりなら自己流で取れますが、しこりが大きくなり乳腺炎まで移行してしまった場合は、母乳外来などでプロに詰まりを取ってもらい、同時に乳腺炎の治療を行わなければなかなか解消されることはありません。


おっぱいのしこりの解消法

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母乳が詰まってしこりができてしまった場合の解消法をいくつかご紹介します。

乳腺炎は繰り返しやすく、しこりの解消方法は断乳時にも使えるので覚えておきましょう。

1. 授乳の回数や時間は制限せず、頻回に授乳する

2. 授乳中の姿勢やポジション、赤ちゃんの吸い方が適切かチェックする

3. 授乳の際に横抱きだけでなく向きや角度を毎回変える

4. しこりができた側のおっぱいから授乳する

5. 授乳前と授乳中にしこりを流すように乳頭に向けて優しく撫でる

6. 授乳前にしこりの部分を少し温める

これらのことを試しても母乳の詰まりやしこりが解消されない場合、白斑ができている場合は、重症化する前に母乳外来や医師のいるクリニックを受診しましょう。
また発熱が伴うような場合には医師のいるクリニックを受診することをお勧めします。

その他にも、きついブラジャーを着用していたり、抱っこ紐による特定の場所の圧迫したり、いつも同じ向きで寝たりすることも乳管を詰まらせる原因になります。

思い当たることがある場合はその習慣をやめた方がいいでしょう。


おっぱいのしこりを和らげる対策

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母乳が詰まってしこりができている場合は、次のことを試すと和らいだという人もいます。

1. 外出を控えて、赤ちゃんとゆっくり過ごす

2. お風呂に入ったりシャワーを浴びたりして血行を良くしてから授乳する

3. 赤ちゃんの顎がしこり側に来るように授乳する

4. ブラジャーや衣類を締め付けのないものにする

5. 塩分や乳脂肪分、糖分などを控えてさっぱりした食生活にする

6. 乳腺の動きを良くするために、肩甲骨を動かすように肩回し体操をする

これらは、あくまでも和らげるための対策です。

根本的にしこりを解消するためには、乳管の詰まりをしっかり取ることが必要になります。


しこりが痛い場合

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しこりが痛い場合は、とにかく赤ちゃんに母乳を飲んでもらうしかありません。

血行を良くし、軽くマッサージをしながら飲ませても取れない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

また、無理におっぱいマッサージを自己流ですると乳腺を傷つける恐れがあります。

自己流のケアはあくまでも軽症の場合のみ有効です。

すでに乳腺炎に移行している場合は、病院で鎮痛剤や抗生物質を処方してもらうことができます。

同時にプロにマッサージでしこりを取ってもらい、母乳の流れを正常に戻してもらいましょう。

ピンポイントで詰まりを取ってもらえたら、先ほどまでの痛みが嘘のように軽くなることも。

おっぱいトラブルはよくあることですが、甘く見ずにしっかりと対応することが必要です。


乳腺炎と乳がんとの見分け方

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授乳中しこりに気づき、「もしかして乳がん?」と不安になる人もいるかもしれません。

近年、乳がんの若年化が進み、芸能人も乳がんを公表したりと関心も高まっています。

実際、乳腺炎と間違いやすい乳がんに「炎症性乳がん」というものがあります。

乳腺炎は乳腺が炎症を起こす病気で、主な症状は

1. おっぱいが赤く腫れる

2. 強い痛みがある

3. 膿が出る

4. しこりができる

5. おっぱいがガチガチに硬くなる

6. 悪寒や全身痛を伴う高熱

などがあります。

一方、炎症性乳がんの症状もおっぱいが赤く腫れ、皮膚のキメが粗くなったようになります。

炎症性乳がんは、がんのステージとしてはステージⅢにあたり、非常に進行の速い乳がんです。

また、授乳中はマンモグラフィーやエコーでも腫瘍の発見が難しく、素人ではどちらか判断することができません。

違和感を感じた場合は医療機関で乳腺炎か炎症性乳がんなのかを確認してもらうことが大切です。


しかし、授乳中にできるしこりは、ほとんど母乳が溜まってできた乳瘤であり、過度な心配は必要ありません。

ただし、乳がんになる可能性がゼロなわけでもありません。

乳がんには初期にわかりやすい症状がないため、しこりのセルフチェックが重要とされています。

日頃からセルフチェックを兼ねたおっぱいマッサージを心がけましょう。

一般的に乳腺炎のしこりは乳がんに比べて広範囲がガチガチになります。

乳がんの場合は梅干しの種のようなサイズのしこりがゴリゴリと感じられるようです。


病院受診が必要な場合の見分け方

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どんなにしこりができないように対策していても、母乳の分泌量が安定するまでは乳腺炎になってしまうことがあります。

母乳の小さな詰まりからできたしこりであれば、マッサージしながら授乳することで解消することもあります。

しかし、全体的にカチカチになっている場合や強い痛み、発熱等の症状がある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

おっぱいトラブルは産院に限らず、乳腺科のある病院でも対応可能です。

ただし、おっぱいマッサージをしてもらえるかは病院によるので、詰まりを取るためにマッサージを希望するのであれば、母乳外来をしている病院を選ぶようにしましょう。


しこり対策はとにかく赤ちゃんに吸ってもらう!気になるしこりは病院へ


まず、おっぱいにしこりを作らないためには、母乳で乳管が詰まらないようとにかく吸ってもらうことが大切です。

授乳の体制を変えたり、抱き方を変えたりして満遍なく吸ってもらうようにしましょう。

糖質や高塩分、乳脂肪などを控え、バランスの良い食生活にするのもおすすめです。

しこりができてしまった場合は、血行を良くして、授乳の前後にしこりの部分を優しくマッサージするようにしましょう。

時にはママの十分な休息も必要です。

良いおっぱいを出すためにも、ママは心身ともに健康であることが大切です。

しこりに痛みがある場合は冷やすことで和らぎますが、我慢できないような痛みや発熱等を伴う場合は、無理せず医療機関を受診するようにしましょう。

ケアをこまめにすることで、無理なく母乳育児を続けられるとよいですね。


【監修】つづきレディスクリニック

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・理事長 吉岡範人
2005年、聖マリアンナ医科大学大学院を卒業後、同大学初期臨床研修センター産婦人科に入局。
16年間の医局勤務中、約2年間にわたりカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学へ留学しがんの研究に従事。
2019年に事業を引き継ぐ形でつづきレディスクリニックの院長に就任。

つづきレディスクリニック(http://www.tsuzuki-ladys.com/

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