仰向けで寝ている赤ちゃんがうつ伏せになるように、自分の力で体の向きを変えることを寝返りといいます。
生まれたばかりの赤ちゃんは手足をバタバタするだけで、自分で頭や体を持ち上げることができません。
しかし、成長にともなって首がすわり、腰の筋肉や神経が発達して体を動かせるようになり、寝返りができるようになっていきます。
そのため、寝返りできるようになるのは赤ちゃんの成長の証であり、赤ちゃんが寝返りするのを楽しみに待っているパパやママも少なくありません。
厚生労働省が発表している「乳幼児身体発育調査(平成22年)」には、生後6~7ヶ月ころの赤ちゃんの90%が寝返りをできると記載されています。
早い子では生後2~3ヶ月未満で寝返りできるようになり、ゆっくりだと生後8~9ヶ月になっても寝返りしない赤ちゃんもいます。
月齢別の寝返りができる割合は次のようになっています。
生後2~3ヶ月未満…1.1%
生後3~4ヶ月未満…14.4%
生後4~5ヶ月未満…52.7%
生後5~6ヶ月未満…86.6%
生後6~7ヶ月未満…95.8%
生後7~8ヶ月未満…99.2%
生後8~9ヶ月未満…98.0%
厚生労働省の資料では、仰向けからうつ伏せに体の向きを変えられることを寝返りができるとしており、左右どちらの方向からうつ伏せになれるかは指定されていません。
上記のように、寝返りがいつからできるかは個人差はありますが、生後6~7ヶ月を目安に寝返りができるようになると考えてよいでしょう。
寝返りをしないままおすわりをする赤ちゃんもいます。
小児科で特に指摘されていなければ、「うちの子はまだ寝返りができない」「いつになったら寝返りするの?」「このまま寝返りをしないかも」と心配しすぎず、赤ちゃんの成長ペースを見守るようにしましょう。
しかし、寝返りの遅さが気になる場合は、赤ちゃんが寝返りしやすい環境を整えてみてもよいかもしれません。
寝返りが遅い場合の対処法をご紹介します。
あおむけの状態からうつ伏せに体の向きを変えるためには、手をのばしたり足を開いたり、腰をひねったりなど、体を自由に大きく動かさなければなりません。
赤ちゃんが寝返りしそうでできないようであれば、ゆったり余裕のあるロンパースや、伸縮性のよい生地を使った服などを着せて様子を見てみましょう。
体を動かしにくいから寝返りをしなかっただけで、実は寝返りができる場合があります。
まだ筋力の弱い赤ちゃんは、柔らかい布団の上では体が思うように動かせません。
固めの布団に寝かせ、体がしずまない状態をつくってあげましょう。
自分が動きやすい環境にいることがわかれば、赤ちゃんも積極的に動き、寝返りにチャレンジしてくれるかもしれません。
固めの布団の上で地面をしっかりとらえることができれば、スムーズに寝返りができる可能性があります。
背中を丸めて包み込まれるような姿勢を赤ちゃんは好みます。
そのため、泣き止ませたり寝かしつけたりするために抱っこひもやバウンサーなどを使うママは多いでしょう。
また、ベビーカーやチャイルドシートにのせて外出することもあるはず。
しかし、赤ちゃんを包み込んでいてばかりでは、体を動かすための筋力が育ちにくくなってしまいます。
腰の筋肉はもちろん全身の力を育てなければ寝返りはできません。
赤ちゃんが自由に体を動かせる場所に寝かせるよう意識してみましょう。
自分で動かなくても、パパやママが欲しいものをとってくれる環境も、寝返りを遅くする場合があります。
手を伸ばせば届くところにおもちゃを置き、赤ちゃんが自分で手を伸ばすよう促してみてください。
大好きなおもちゃを手にするために全身を使って動いているうちに、寝返りに必要な力がつき、やがて寝返りができるようになるでしょう。
赤ちゃんがいつまでも寝返りをしないことがどうしても気になる場合は、練習も可能です。
しかし、赤ちゃんが寝返りできるようになるまでには、さまざまな発達が必要であり、寝返りをしないのは体の準備が整っていなかったり心の準備ができていなかったりする可能性もあります。
中にはうつぶせ寝を嫌がって寝返りをしない子もいます。
無理に練習をすると赤ちゃんの体に負担がかかったり、余計に寝返りを嫌がったりすることもあるので、「寝がえりはいつになったらできるの?」と焦らずに様子を見ながら無理のないようにチャレンジしましょう。
また、寝返りの練習を始めるかどうか判断する際は、「首がしっかりすわっている」ことを条件とし、赤ちゃんの安全を確保したうえで練習を初めてください。
あくまでパパやママと赤ちゃんの遊びの一環として寝返りの練習をするとよいでしょう。
仰向けの状態で寝ている赤ちゃんは、まず下半身をひねり、その勢いを利用して上半身をひねりうつ伏せになります。
この動きをサポートするようにうつ伏せの練習をしましょう。
具体的には次の流れでうつ伏せの練習をしてください。
1.左右どちらかの赤ちゃんの足を持ち上げ、反対側へ交差させる
2.いったん体を横向きにし、おなかが下になるよう上半身をひねる
赤ちゃんが自分で下半身をひねるようになったら上半身にそっと手を当てて優しくサポートしてあげてください。
何度か繰り返しているうちに赤ちゃんが体の動きを覚え、寝返りができるようになるはずです。
おもちゃなどを使って赤ちゃんの寝返りを誘導すると寝返りの練習がスムーズになります。
1.赤ちゃんが寝返りしやすい方向で手の届きそうなところにカラフルなおもちゃを置き、赤ちゃんのおもちゃを取りたいという欲求を引き出す
2.右から左、左から右など、音の鳴るものを動かしながら赤ちゃんの興味をひき、体の向きを変えさせる
など、赤ちゃんが「寝返りしたい」と思うようなサポートをしてあげましょう。
赤ちゃんの準備ができると、足をばたばた動かして下半身をひねろうとする動きが見られるようになります。
そのとき、そっと手を添えて少しだけサポートしてあげてください。
体の向きが変わり、視線が変わることを面白いと思えれば、赤ちゃんはさらに積極的に寝返りにチャレンジしてくれるでしょう。
「ママが動かしてくれた」ではなく、「自分で体を動かしたらうつ伏せになった」というくらいさりげないサポートができると良いかもしれません。
赤ちゃんが寝返りできるようになったばかりのころは、仰向けからうつ伏せになれても、うつ伏せから仰向けになることができないことも少なくありません。
そのため、うつ伏せのまま寝てしまう子も見受けられます。
しかし、うつぶせ寝は乳幼児突然死症候群(SIDS/Sudden Infant Death Syndrome/にゅうようじとつぜんししょうこうぐん)の原因になるともいわれています。
乳幼児突然死症候群のリスクを下げるためにも、赤ちゃんはうつ伏せのままにせず、仰向けに寝かせるようにしましょう。
厚生労働省のデータによりますと、生後6~7ヶ月ころには約95%の赤ちゃんが寝返りできるようになると言われていますが、できない子も約5%いることになります。
赤ちゃんの成長にともなって心身ともに準備ができれば、寝返りはできるようになるものですから、あまり焦らず子どものペースを見守りましょう。
生後6~7ヶ月を過ぎて「寝返りが遅いかな?」と気になるようであれば、寝返りの練習を始めてみてもよいかもしれません。
寝返りの練習をする際は、環境を整えて赤ちゃんの安全を確保し、「遊び感覚で楽しく」を心がけましょう。