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公開 2020年09月08日   更新 2022年03月09日

夫婦ケンカもおちおちできない!乳児を連れての被災がよぎったあの日

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台風、地震、水害、日常に突然やってくる災害。
そのとき、頼れる家族が自分しかいなかったら、そしてそういう事を全然考えてないとこうなる、2年前の私の話。
家電が壊れると本気で色々痛いです!


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災害の来る日には

不謹慎極まりない話しだけれど、子どもの頃、私は台風とかその類の自然災害の日に少しワクワクしてしまうタイプの子どもだった。

だって場合によっては学校がお休みになるし、それで宿題はチャラになるし、その昔、飼い犬は大体庭で飼われているものだったけど、その日ばかりは愛犬も家の中で一緒に過ごせるし。

でもそれは、多分当時住んでいた場所が北陸の「自然の驚異と言えばそれは雪」という、台風も地震もさほど来ない地域だったからで、いざ台風が来たという時も、台風自体が北上によりすっかり弱まっているし、それはのんびりしたものだった。

そんな呑気な子ども時代を経て今。

住んでいる場所は台風が直撃しがちな関西だし、災害それ自体が怖いというよりは、もし「今すぐ避難を」と言われたら、子ども達をどうしよう、何をどれくらい持って?どこに?どうやって?

そんな風に災害時は3人の子どものお母さんとして、右往左往するようになった。

あの日の呑気な私は、ぜひとも反省してちょっとそこに正座していてほしい。


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地震の日に

お母さんになってからの『災害』というと、2018年がまず脳内でヒットしてしまう位、今から2年前の2018年は色々な事があった。

まず6月に、割と大きめの地震が起きた。
※大阪府北部地震

その時、震源地付近に住んでいたわけではないけれど、我が家付近もかなり揺れた上、ちょうど子ども達の集団登校の集合時間。

当時1年生だった長女と4年生だった長男を集合場所に送り出した直後で、長女は揺れの大きさを怖がって泣くし、集団登校に集まった他の子ども達も流石に青い顔をしていて

「今日、このまま学校ある?無い?」
「メールも来てないからとりあえず行ってみましょうか」

地震を心配して出てきた保護者同士で学校まで子ども達を送り、たどり着いた学校ではすみませんとりあえず本日は休校ですと言われて
今度はまた自宅まで逆戻り、自宅に帰ったら帰ったで、玄関の靴箱が倒れて玄関中に靴やモノが散乱。

「これ、家に入れないね…」

私は6ヶ月の次女を抱っこしているし、こういう時頼れる筈の夫は早朝から出社して地震で電車は運休。

「電車止まった」というメールだけをよこして帰宅叶わず。

ええいこんな時にアイツときたらと私は臍を嚙んでいたら

「大丈夫?その靴箱、起こしたげるわ」

その時たまたま表に出てきたお隣のお父さんが靴箱とシューズラックを起こしてくれた。

今はもうお互い引っ越ししてお会いすることも無いけれど、あの時のお父さん、ありがとうございました。


そして、その後、自宅に分け入って、室内を確認をした。

本棚から本がバラバラと落ちている、ああ壁紙に若干のヒビが、おもちゃが散乱…はモトからだわ。

そうだ電気は?あ、ちゃんとつく、でもガスが止まってる…と思ったらそれはある程度の強さの地震があるとガスが自動的に停止するシステムになっているだけで、自分でガスメーターにある復旧ボタンを押せば簡単にガスは使えるようになるのに私はそんな事つゆ知らず

「やばい……食事の支度とお風呂をどうしたら……」

『ガス復旧させた?』と近所のママがラインで教えてくれるまで小一時間、暗澹としていた。

だから引っ越しの時に自宅設備の説明書はちゃんと読めとあれほど。

それが済んだら今度はまだ乳児だった次女のミルクのストックが心配になって買い出しに行った。

近所のドラッグストアでは、これまで見たこともないような長い行列が出来ていて、店内では近所に下宿しているらしい大学生の女の子たちが

「ママに電話したら、カニ…パン…? を買っとけって、コレ?」

子どものおやつに最適なカニの形のあのパンを手に持って心細そうにしていて

(そ・れ・は・乾パン!)

と背後で正解の乾パンの画像を念で送ったりしながら

(災害、本当にいつ来るかわからないし、備えておかないと……)

と、つくづくしみじみ思った。


何より当時は乳児がウチにはいたので、ミルクとオムツと、あとは医薬品、当座の着替え、特に子どものものはコンビニなんかでは手に入らないから。

そして各種医療証をすぐ取り出せるように、そういうものはきちんと災害用に用意しておこう、そうやってきちんと暮そうと心に誓ってから3ヶ月後。

今度は凄い台風が来た。

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そして台風は来た

それが2018年の9月4日に関西に上陸した台風21号 。

そんなのあった?と思われる方は、関西国際空港の滑走路が冠水して陸の孤島と化した、あの大型台風と言えば思い出していただけるかもしれないけれど、どうでしょう。

我が家は海に近い場所ではないので、関空の如く自宅が浸水したとか、その関空の近隣のマンションのガラスが強風で砕けて怪我をしたとか室外機が飛んで行ったとかそんな恐ろしい目には合わなかったけれど、何と

冷蔵庫が壊れた。
しかも修理不可能・再起不能。

9月の上旬にあれは痛かった。

その日、もう朝から避難指示、暴風警報、土砂災害警報が家じゅうの携帯から鳴り放題で、小学校も早々に休校を決定、各私鉄JRもかなり早い段階で運休を決定していて、子ども達と私はリビング、夫は隣室で台風の行方をTVやネットで見守っていた。

夫と私と子どもがどうして別々にいたのか、それは私達がこの時、子ども達の世話の大変さと夫の仕事の繁忙の具合が折り合わなくて

「おいおい3人も子どもいて末っ子は持病持ちなのになんで私が1人で育児全部やねん」

とか小さい子のいる家庭によくあるちょっとしたケンカだったと思うけれど「あああもうオマエと口なんかきかん!と、若干冷戦状態になっていたから。

そのリビングで9ヶ月の次女を抱いて、台風を怖がる長女をなだめ、長男に災害用のラジオで遊ぶのを止めなさいと言っていたら突然、停電した。

停電し始めたのは、午前中だったけれど外は台風で黒く曇っているので室内は暗くて、怖がりの長女は泣くし、ろうそく?ろうそくつける?と息子はお誕生日用のろうそくを持って張り切りだすし。

やめなさい、火事になる。

こういう時、張り切って無駄に騒ぎだす長男のそれは明らかに私の遺伝。

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台風は確実に被害を

ソレに最初に気が付いたのは、臆病な癖に窓辺で外の様子をつぶさに観察していた長女。

「ママ!隣の建物から何か飛んでくる!」

長女がそう叫んだ時、またまたぁ、怖がりさんだなあ、ビニール袋か何かが風に舞っているんでしょと思ったら

隣のビルの屋上の囲いの建材、薄いスチールかアルミみたいなそれが、風に煽られてバラバラと剥がれてこちらに飛んできていて、何なら下の階のベランダには既にそれが何枚か飛び込んでいる有様、えええ何それ、アレ窓に当たったらやばいでしょ、そう思って隣室の夫を呼んだ。

パパ!外が凄い事になってる!

夫は

「養生テープとかは家に今無いから、とりあえずカーテン閉めて、それから窓から離れて」
「あとさっきから断続的に停電してるから、冷蔵庫のコンセント抜いたほうがいいかも」

窓の破損でガラスが飛ぶと危ないからカーテンを閉めて、それから、こういう突然の停電から電気が復旧した時は電流の流れの関係で特にウチのみたいな古い冷蔵庫は故障の憂き目にあう事があるらしい。

夫は台風の最中、1人せっせと『台風・備え』を検索していたらしく、何だそれは早く言え、私は急いで台所の冷蔵庫のコンセントを抜いた。

あと、荷物、手直に置いておいた方がいいな

ミルクは、それからオムツと、次女ちゃんの薬と

お湯の確保できてる?

台風が本格化して、一応避難勧告は出てはいたけど、外は既に暴風雨だしウチは乳児がいるし、鉄筋コンクリート造の集合住宅の上階は浸水したりはしないだろうからこのまま窓から離れて台風が過ぎるのを待とう、という事になった。

災害の時、やっぱり大人が2人以上いると本当に心強い。

子どもと自分だけの組み合わせだと、子はうろたえるか騒ぐかで本当に『今1人で我が子の命を守らなくては!』と思う、それは意外と心がしんどい。

そして昼過ぎ、台風は無事過ぎ去り、やれやれ風が弱まってきたよ、何か食べよう、そうだ、冷蔵庫のコンセント入れてあげないとねと、コンセントを刺して復活を待った。

待った。

……。

つかない。

2018年9月の台風21号は我が家付近を通過し、夫婦のもめごとを何となく水に流し、隣のビルの建材を剥がし、近隣の街路樹をなぎ倒し、何なら自転車置き場の屋根も剥がしていったその後、我が家の冷蔵庫も連れ去ってしまった。

お陰で長男と長女は、この日「溶かしてしまう位ならもう好きなだけ食べろ」と言われて冷蔵庫のアイス食べ放題をして大喜び、私は夫が

「大至急だから現物見なくていいよね!」

とネットで手配してくれた新しい冷蔵庫が手元に届くまでの3日間、クーラーボックスを冷蔵庫がわりにして、保冷用の大量の氷を買い続ける事になった。

今年もまた台風の季節がやって来る。

あれから2年を経て、長男は少しも落ち着かず、長女は相変わらず超怖がり、それならまだしも次女がイヤイヤ期を超越した暴君の2歳9ヶ月児ときて私は、今回予備の抱っこ紐を新たに避難用のリュックに入れた。

いざ避難、と言うときにあの歩みが遅くて寄り道しがちな2歳児に「ジブンデアルク!」とか言われたら本気で困る。

自然の理は人の力では変えられないけれど、出来たら被害は最小限に、そしてお願いだからウチの家電を壊さないで欲しい。


※ この記事は2024年11月05日に再公開された記事です。

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