娘は1人っ子。
初孫なので、私の母は生まれたときから溺愛しています。
独身の姉もはじめての姪っ子にメロメロ。
実家でたった1人の子どもである娘は、当然みんなのアイドルです。
赤ん坊のときから、できることが増えるたびに「かしこい!」「すごい!」「頭いいね!」とほめそやされて育ってきました。
あるときから娘の言動が気になりはじめました。
ドリルをやらせると、むずかしそうな問題には手を出さない。
ピアノの練習をしていても、スラスラ弾ける曲ばかり好んで練習する……など。
むずかしいことには挑戦しない子になっている気がしたのです。
「挑戦し、努力できる人に!」そんな思いで意識している”褒めるときの声掛け”
7,095 View自分自身の苦い経験から、子育てにおいて意識しているのが、褒めるときの声掛け。その効果を少し実感できた出来事をご紹介します。
娘はチャレンジしない子?
幼少期の自分と重ねて
ふと幼少期の自分を思い出しました。
勉強が大嫌いでした。
夏休みの宿題やテスト勉強は、期限前日にならないとやらないタイプ。
「あなたはやればできる子!」
「兄弟3人のなかで一番かしこい!」
という親からの励ましを鵜呑みにし、「私はやる気にさえなればできるから大丈夫」と信じていたのです。
一夜漬け勉強を実践しつづけたせいか、成績はいつも下位。
受験にも失敗しました。
ちなみに姉と弟は受験に成功しています。
だからこそ、娘には「コツコツ努力する子になってほしい」と願ってるのです。
そこで褒めるときの声かけを変えてみることにしました。
結果を褒めるのではなく……
今までは、なにか成功すると「すごい!」「上手だね!」と”結果”を褒めていました。
その日からは、「がんばったね!」と努力した”過程”を褒めるようにしたのです。
とくに日々の練習が重要なピアノについては、繰り返し「がんばった」と伝えるように心がけました。
しかしこれがなかなか難しい!
ただ「がんばったね」と言ったところで
娘に「がんばってない!」「すぐ弾けた」と反論されてしまうのです。
たしかに練習曲の中には4小節ほどの短い曲もあり、2、3回の練習でスムーズに弾けてしまいます。
いままでは「上手~!」「すごい!」などと何も考えず反射的に褒めていました。
しかし「がんばった」と褒める場合には、どうがんばったのか示さないとつじつまが合わないことが多いのです。
そこでこんな工夫をしました。
すぐに弾けたときには「すぐ上手に弾けた!いつも頑張って練習しているからだよ」と言ったり
「練習したくない~」と嫌々ピアノの前に座ったときには「遊びたいのに練習するんだね。がんばり屋さんだね」と言ったり。
これまでのクセで思わず「すごい!」と言ってしまったときも、すかさず「がんばったね」と付け加えました。
今までの褒め言葉のように単純ではなく、私も頭を働かせました!
娘からの思わぬ言葉
そんなことを続けていく中、この秋、ピアノの級をもらうための試験を受けることになりました。
先生と一緒に課題曲を選ぶことに。
曲選びの基準は、課題テキストの中から選ぶという1点だけ。
試験の合否に曲の難易度は関係なく、ミスなく楽譜通りに弾けることがポイントなのだそう。
先生がおすすめの曲を弾いてくださいました。
音楽に疎い私からすると音符が多く、リズムも早くてむずかしそう!
5歳の娘がミスなく弾くためには、相当な練習が必要なはずです。
不安になった私は、テキストの1ページ目にあった1番やさしい曲を推薦してみました。
以前に練習し、娘がすでに弾けるようになっている曲です。
合否に難易度が関係ないのであれば、簡単な曲で挑んだほうが得じゃないか……という安易な考えからでした。
けれど先生は困惑ぎみ。
「あ、いいですよ。もちろん、いいんですけど……」
どうやらテストでいい評価を得るだけではなく、練習する過程で上達してこそ受ける意味がある。
ということのようでした。
なるほど、そういうものなのか。
そこで娘の気持ちを確かめてみることにしました。
「娘なら簡単なほうを選ぶだろう」
そう思っていました。
ところが「先生が弾いてくれた曲!」と即答したのです。
「練習いっぱいしないといけないよ。いいの?」
思わず簡単な曲へ誘導してしまいそうになる私。
けれど娘は迷わず「いいの!」と返しました。
娘の言う「がんばり屋さん」とは
家に帰り尋ねてみました。
「今日どうして、むずかしいほうの曲選んだの?」
「わたしってそういうタイプだから」
「むずかしいことにチャレンジするタイプなの?」
「だって、がんばり屋さんってそういうもんでしょ!」
感激しました。
少し前の娘なら、たやすい道を選んでいたでしょう。
だけど、今の娘は「がんばるほうが格好いい」と考えているのです。
これが私の声かけの成果なのか、成長過程の変化なのかはわかりません。
しかし今後も、”過程”を褒める今の声掛けを続けていきたいと思っています。
ピアノだけではなく、人生の困難にも立ち向かっていけることを願って。
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