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公開 2020年09月22日  

子育て生活11年。大切でたまらない、3枚の"ベストショット"

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写真はお好きですか、私は苦手です。それでも、絶対静止してくれない3人の子供たちを取り続けて早11年、その中でもこれは大事な写真と宝物にしている3枚を紹介したいと思います。


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写真、この難しいもの

私は写真が苦手だ。

撮るもの、映るのも、何ならスマホのデータフォルダを圧迫している画像データを整理するもの全部。

それに、最近は主たる被写体である子ども達が。

「写真撮るよ!」

カメラを構えて私が呼びかけても。

「俺はいい」

「アタシ、髪の毛直してくる~!」

「次女チャンニカシテ!」

長男は思春期の入り口、無断の写真撮影はご遠慮くださいのお年頃で、長女は髪の毛直したい、お洋服はコレジャナイと言ってすぐにフレームアウトするし、悪戯ざかりの次女はママの持ってるその面白そうなオモチャをアタシに貸せと言ってどんどんカメラに迫って来る。

とにかく子どもたちの写真に臨む態度がバラバラすぎて、仮にカメラがウン十万円するようなデジタル一眼レフでも、もしくは最新型のスマホでも、そしてカメラマンの私がどんなに頑張っても、ろくなものが撮れない。

それでも『これはいい写真』と個人的に殿堂入りしている子ども達の写真は何枚かちゃんと存在していて、それはウチの家宝とまでは言わないけれど、私が年をとってもずっと持っていたい写真だ。

そんなベストショットは厳選すると3枚ある。


子育て生活11年。大切でたまらない、3枚の"ベストショット"の画像1
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初のきょうだい集合写真

2018年4月21日は我が家にとって特別な記念日だ。

だってその日、前の年の12月に生まれた次女が、初めて我が家に帰宅を果たしたのだから。

2017年12月生まれの次女は、私が産んだ3人の子どもの中では最重量、頭囲もでかく、身長もあり、ガッツ系の屈強そうなご面相で、一見とても健康そうに生まれたのに、実は先天性の心臓疾患で、とりあえず1回手術しないと点滴も外せないし、当然家には帰せませんよと担当の先生に言われて、年をまたいだ翌年の春までずっと病院で育った子だった。

それだけに

「いつあえるの」

「ねえぇまだあ?」


新加入した末の妹・次女の姿がいつまでたっても自宅に現れない事に苛立ちを隠せなかった長男と、次女の為に中古で購入した電動で揺れるスイングラックにクマのプーさんを乗せて妹(仮)とし、来たる初めての姉業の練習に余念のなかった長女。

この2人が待って待って待った4ヶ月と数日、初めて帰宅を果たした次女の元に駆け付けた2人の、特に盛り上がると手が付けられない性格の長男の騒ぎようは大変なもので

「次女ちゃん、帰ってきた!?」

5時間目が終わって即、多分『帰りの会』をすっ飛ばして帰って来たと思われる時刻に、自宅に転がるように飛び込んできて

「お兄ちゃんですよぉぉ~」

和室にベビー布団を敷いて寝かせている次女にかぶりつかんばかりに覆いかぶさり「俺が兄だ」と猛アピールした。

生まれてから退院したその日の午前中まで、静寂な小児病棟の中で医療機器のアラーム音を子守歌に育ってきた次女は初めて顔を合わせた子どもというか兄が、あり得ない程距離を詰めて来ることに結構おびえていたし、次いで帰宅した長女もその横に転がって「可愛い!」と大声で騒ぐので、その初対面の兄と姉に挟まれた次女は、もう放心したような顔をしていた。

「アタシ、もうびょういんにかえりたい」

あの時の次女は、初対面の兄と姉の勢いに、このくらいのことは思っていたかもしれない。

その時に取った写真、それが思い出の1枚。

今、写真を確認したら当時9歳の長男はこれ以上ない程の笑顔だし、6歳だった長女は横目で次女を見てとても嬉しそうにしていて、生後4ヶ月の次女は状況が呑み込めないまま、ちょっと虚ろな目で枕元に置かれたベビージムを何となく気にしていて、全員全然カメラ目線じゃないし、写真のすみには取り込んだままの洗濯物がくしゃくしゃになって映り込んでいるんだけど、 この初めて3人きょうだいが自宅に揃った日の1枚は、我が家のとても大切な写真。

子育て生活11年。大切でたまらない、3枚の"ベストショット"の画像2
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くりかえす入園式の記念写真

もうひとつのベストショット、それは2枚でひと組の、同じ場所、同じ並びで撮られた写真で、1枚目の撮影日はもうずいぶん前、今から8年前の2012年の4月。

それは、長男の幼稚園の入園式の日。

その年の3月の末にやっと3歳になったばかりの早生まれの長男は、クラスでは2番目に小さくて、入園式のその日、1番上の子だからと新品をひとそろえ買った制服が本当にぶかぶかだった。

紺色のブレザーは10㎝以上袖を内側に折り曲げて縫い付け、更に実はオムツも外れていなくてその日もそのぶかぶかの半ズボンの中身はオムツという有様で、その姿で入園式の間はぼーっと鼻をほじって過ごし、あげく式終了後、クラスで『お帰りの会』があったその時に

「明日からこのクラスのお友達みんなで楽しく過ごそうね!」

と担任の先生からお話があったにも関わらず

「ここは、またこんどこよっか」

そんな風に言い出し「おいおい、さっきの話、聞いてた?明日から毎日通うんだよわかってなかったの?」という突っ込み必須の、赤ちゃんに1ミリ程度の毛が生えましたというこれ以上ない位心もとない新入園児だった。

それに今も昔も、長男はびっくりする位落ち着きが無くて、せっかくの入学式、本当は園庭の桜の下で当時は、夫と私と長男と長女、家族4人で写真を撮りたかったのに、もういいから帰る、外に出ると言って逃げ回り、仕方なく園庭を出た幼稚園の入り口の花壇の前で写真を撮った。

私が当時生後8ヶ月だった長女を片手で抱き、もう片手で長男の手をひいた状態の構図で撮影者は夫。

この時の写真は、長男が私とつないだ手を振りはらって走りだそうとして体が思い切り前傾姿勢になっているという躍動感があるもので、私は長男に振り回された入園式の疲れが隠しきれてないし、長女は慣れない場所に困惑した表情をしている。

被写体は微妙だけどそれも味。

あの日の混乱を如実に表した、いい1枚だと思う。


そして、対の2枚目の写真はそれから丁度3年後に撮影されている。

それは長女の入園式の日の2015年の4月。

その時に撮影された2枚目には、ほっぺが幼児特有のプクプク感満載の長女が可愛らしく写真の中央に収まっている。

この長女は長男と違って、8月生まれの子なので、3年前同じ場所に3歳になりたてで何もわからず立っていた長男よりは幾分しっかりとしていて、入園式当日はオムツも履いてなかったし

「あしたからようちえんなんだよね、バスなんだよね」

ちゃんと、幼稚園が毎日通う場所だとわかっている様子だったけれど、その分、入園式に緊張していたようで、あの長男が駆けだそうとしている瞬間をとらえた写真と同じ場所、幼稚園の入り口の花壇の前で撮影されたその写真に写る長女は、少し硬い表情で、髪の毛を2つに結び、私がかなり不器用に裾上げしたスカートのすそをきゅっと握っている。

かたや、その年の3月に同幼稚園を卒園し、数日後に小学校の入学式を控えた長男は、小学校の入学式用に用意した男児用のスーツを着て生意気そうな顔で写真に収まっているけれど、これがまた

「勝手知ったる俺の幼稚園」

という風情。

そんな長男は、その約1ヶ月前に厳かに執り行われた卒園式のその日

「今日って給食ある?」

などと私に訊ね、ねえ、もしかして卒園式って何のことかわかってなかった?というより、4月から小学生になるの知ってた?と、また私を慌てさせていて、この写真のこの時だって果たして、この数日後、この幼稚園とは全然別の場所で、新しい同級生たちと新しい生活が始まる事をちゃんと理解していたのかどうかは怪しい。

それでも、この2012年の4月の1枚目と、2015年の2枚目を並べてみると、少し固い表情をしてピンクのワンピースを着ていた赤ちゃんの長女は幼稚園児になり、ぶかぶかの制服を着て、全然写真に写る気の無かった長男はちょっと生意気そうな小学生になって、その横に映る私は、あまり変わらないと言いたいところだけれど3年分老けていて、これもまた我が家のベストショットだと思う。


子育て生活11年。大切でたまらない、3枚の"ベストショット"の画像3
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そして、未来のベストショット

最後の1枚。

それはまだ手元にない。

その写真は来年の4月、前述の長男と長女ふたりが卒園した幼稚園のあの花壇の前で撮影されるはずだから。

あの2018年の春に長男と長女の熱烈歓迎を受けて我が家に帰宅した次女は、今日まで2回の手術を乗り越えて、この冬、今現在の予定では年明けに最後の3回目の手術を終え、そして術後の約1ヶ月と目される入院生活を完走した春に、晴れて幼稚園児になる。

そうしたら、多分、このご時世だから私と次女の2人で出席することになるだろう入園式、それが終わった後、あの花壇の前でうちの3人きょうだいを整列させて写真を撮ろう。

2012年のあの時は3歳の長男と、8ヶ月の長女。

2015年のあの時は6歳の長男と3歳の長女。

そして2021年の春、その時は12歳の長男と9歳の長女と3歳になっている次女の3人で。

実は入園の確定もまだ、手術の正式な日程もまだ、そんな不確かすぎる予定ではあるけれど、私はその日が絶対に来るはずだと信じているし

その日を夫も長男も長女もみんな待っている。





※ この記事は2024年10月12日に再公開された記事です。

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