我が家には小学校2年生の男女の双子がいます。
ある日、息子がこんなことを言いました。
「うちってさぁ、ハロウィンの日におばけの格好とかしないよね。おばけのご飯は作ってくれたことあるけど。今年はさぁ、仮装してみたいな~」
となりで娘も同調しています。
なるほど。
ハロウィンの仮装……。
そう言えばここ数年、なんとなくハロウィンを意識して、ご飯をおばけ型に抜いてみたり、パンプキン型に盛り付けてみたりと、お手軽にハロウィンを楽しんできました。
でも、ガッツリ仮装をしたことはありません。
「なんで仮装したいの?」
と尋ねてみると、どうやら学校の授業で「トリック・オア・トリート」の習慣を習ってきたらしく
「ハロウィンでおばけの仮装をして近所の家を巡るとお菓子がもらえるんでしょ」
と、期待を膨らませている様子の息子。
残念ながら近所を巡ってもお菓子はもらえそうにありませんが……。
「今年は、仮装できたらいいな〜」
そんなことを言いながら、双子たちはおばけの仮装がいいとか、魔女がいいとか2人で盛り上がっていました。
あれは7年前。
双子たちは全く覚えていないようですが、1歳の誕生日目前。
ようやくつかまり立ちをするようになった2人に、私はパンプキンの仮装をさせたことがありました。
当時、だんだんと世の中でハロウィンのイベントが盛り上がりを見せ、街なかでハロウィングッズが手に入るようになった頃でした。
地元のニュース番組では、子どもたちがハロウィンの仮装をして、商店街を練り歩くイベントの募集が流れていました。
当時、自宅で幼い双子たちと3人で過ごす日々。
季節感を感じるイベントを楽しむどころか、外出もままなりませんでした。
気分転換に外に行きたい。
そう思いましたが、2人を連れて仮装行列に参加するのはハードルが高すぎる。
そんなことを思っていると、偶然立ち寄った100円均一のお店でパンプキン柄の不織布の袋を見つけたのです。
仮装用の衣装を買うほどではないけれど、これなら双子がすっぽり入れるんじゃない?
自宅で写真を撮るぐらいならできるかもしれない!
そう思い立った私は、さっそく購入しました。
近くに住んでいた裁縫の得意な実家の母に頼み、不織布の袋をパンプキン柄の服にリメイクしてもらうことにしたのです。
数日後に出来上がった衣装は、まさか材料費200円とは思えない出来栄えでした。
さっそく双子たちに着せてみることに。
完全に着せられた感満載だったのですが、その姿がなんとも可愛らしく、2人並んだ姿を思わず写真におさめました。
本人たちは特段気に入った様子はなかったのですが、私のハロウィン欲は十分に満たされたのでした。
その1年後。
「去年作ったパンプキンの服がまだ着られそう」
そう思った私は、もう一度双子たちに着せてみることにしました。
そしてもちろん、写真撮影も。
そこに写ったのは、1年でこんなに大きくなったの!と驚くほど成長した2人。
髪の毛がボサボサなことはご愛嬌として、1年前はつかまり立ちがやっとだったのに、背が伸び、髪の毛も、手も足も伸びて、自分たちの足で立っていました。
実を言うと、双子たちにパンプキンの服を着せることは、親が子のきせかえを楽しんでいるだけではないか。
当時、そんな気持ちもよぎっていました。
でも今となっては
「あの時、あのパンプキンの服を着せて、あの1枚を撮っておいてよかった」
そう思うのです。
私には、双子たちが0歳〜3歳ごろまでの記憶があまりありません。
きっと、かわいかったんだろう。
そう思うのですが、かわいさを感じる余裕などなく、怒涛の日々。
毎日本当に必死でした。
そんな中、ハロウィンというイベントを通して2人の姿をおさめた写真は、今の私にとって宝物になっているのです。
0歳当時、二人を並んで座らせて、まっすぐ前を向いている写真を撮るのにどれだけの時間がかかったことか……。
目線をカメラに向かわせるため、マラカスを振ったり、ぬいぐるみで気を引いたり、母の助けも借りながら、必死に撮影したことを思い出しました。
2歳目前だった翌年は、各自が好き放題に動き回るので、写真のほとんどがブレていて、きちんと撮れたのは正に奇跡の一枚。
写真を眺める度に、そんな当時のことが少しずつ思い出されます。
私が双子たちと過ごしてきた日々の証なのです。
今7歳になった双子たち。
仮装した写真を見せてみたところ、やはりまったく記憶にないようで
「こんな服着たことあったんだね」
「このかぼちゃの服なんか見たことある〜」
という反応でした。
7歳……
もう少しすると「ハロウィンで仮装してみたい」なんて言わなくなる年齢が訪れる気がしています。
もしくはお友達と楽しむようになるのかもしれません。
そう思うと、今年は気合いを入れて双子たちに仮装してもらおう。
どんな仮装をしたいのか、プレゼン大会をするのも楽しそう。
きっと7歳になった双子たちのハロウィンの写真も、私の宝物になると思うのです。