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公開 2020年11月06日  

私と夫の、2年間のマリッジブルー。「この人と結婚して良かった!」までの道のり

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入籍日に、結婚が上手くいかなさそうで、不安過ぎて体が悲鳴をあげてしまった私の話を聞いてください(笑)


早速ですが、質問です


Q.パートナーから言われて一番嬉しい言葉は何ですか?


ん~これはなかなか難しい。

夫婦の数だけ、答えがあるかもしれない。

いつも家族のためにありがとう!とか、ずっと仲良しでいようね!とか?

あと、今日も可愛いね!とか、新しい髪形似合うね!なんて妻そのものを褒めてくれる、女心をくすぐる答えもあるかもしれない。


我が家は、もうじき結婚10年目に突入する。

過ぎてしまえば本当にあっという間だけれども、この10年、私達夫婦の関係性は結婚前と比べると、間違いなくプラスの方向に変化したと胸を張って言える。

なぜか?


私は自分の入籍日に、これからの結婚生活に対して抱く不安が大きすぎて、突然、原因不明の不調に襲われてしまった経験がある。

私たちの結婚生活は、そんなちょっとヤバめな雰囲気の中でスタートしたのである……!

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そもそもの馴れ初めは


私と夫の出会いはとある語学スクールだった。

同じクラスで同い年。

すぐに意気投合し、お付き合いが始まった。

彼の、一筆書きで描けてしまいそうな顔の造形もさることながら、とにかく博学で私の疑問にいつでもすぐ答えてくれるところに惹かれた。

俺、知ってるんだよね~!という感じでなく、相手に理解しやすいように言葉を選んで説明してくれるところに、優しさと、この男性の本質を感じたのだ。


ところが付き合って半年ほどたった頃、我らに暗雲がたちこめた。

話の流れで話題が結婚に及んだ時、何の気なしに理想の家庭像を共有しておこうと思ったら、それが激しく違っていたのである。

正直、めちゃくちゃ気まずい雰囲気になったのを覚えている。


なかでも夫は、当時こんなことを言っていた。

「子どもはいてもいなくても良いかも。

自分は、父親と暮らした時間がほぼないので、良い親にはなる自信はない。

どうしていいかわからない。」


私は、金ダライがゴーン!と頭に落ちてきたようなショックを受けた。

「結婚を前提に付き合ってください」と言ってもらった時には、勝手に彼と、私と、子どもが手を繋いで歩いているところまで想像していた私。

アホだなあ。

自分の都合の良い方に言葉を受け取っていた。

人間のすれ違いってこうして起こるのだな、と思った。

一方で、それが交際を解消する要因とまではならず、私たちは相も変わらずご飯を食べたり、あちこちに出かけたりしていた。


そして交際開始から1年半が経ち、彼の転勤辞令が出た。

もうこの頃は正直、会うのが憂鬱で仕方なかったのを覚えている。

会うたびに話し合いになるのだが、話し合えば話し合うほど、私達は結婚しない方がいいのではないか、と思うようになっていたのだ。


それでもとりあえず、結婚のことは置いといてご飯でも食べましょうや、となると超楽しい。

私あなたの顔、ついに一筆書きでかけるようになったの!見て!いやいやそんなわけあるかい!……ホンマや!みたいなやりとりをしていた。

そして突然の長い沈黙の後、彼がポツリを口を開いた。

「じゃあ、まあ、とりあえず結婚しようか」


え、プロポーズって、こんな低いテンションで行われるものだっけ……?

しかし私もこの話し合いのループから逃れられるなら、と思い、そうだね、と答えてしまったのだ。


果たして、結婚すると決め、親や職場にも報告し、入籍日は刻一刻と迫ってくる。

いやいやでもちょっと待って、何も解決してない何も解決してない。

大丈夫なのか、これ。

私は焦りに焦っていた。

出口のない焦りに食欲も減退し、ハタから見れば幸せの絶頂期なはずなのに、なぜかやせ細っていく私。


そして迎えた入籍日。

彼の転勤先に赴き、婚姻届を提出。

私は自分の退職日の調整などがあり、10日後に引越し、同居を開始することにした。

では10日後に~またねー!と言いながら、新幹線に飛び乗った。

そして、自分の家に帰ったら込み上げるものがあり、なんと嘔吐してしまったのだ。

もう後戻りできないところまで来てしまった!

ど、ど、ど、どうしよう。

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新婚生活が始まる


それからしばらく経って、一緒に暮らし始めてみると、意外にも特に問題なく楽しく過ごしていた。

同居を始めて2ヶ月くらいたったある日、親友の所に子どもが生まれたということで、夫がお祝いに出かけて行った。


そして帰って来た夫は、なんだか未だかつてない表情をしていた。

「赤ちゃん、可愛かった。これくらいしかなくてさ」

夫が広げた手のサイズは20センチくらいしかなくて、さすがにそれはないだろ、と笑ってツッコんだ。

「あと、親友が嬉しそうでさ。あいつももう父親だわー」


そこで、耳を疑う一言が出た。

「あーやっぱりこども欲しいなー!」


金ダライ、ゴーン!(2回目)



いやいやちょっと待ってよ、と。

今までの話はなんだったのよ、と。


ポツポツ話し始めた夫の話を要約するとこんな感じだった。

子育てをすることに対して不安だったのは本当で。

自分は兄弟もいないし、赤ちゃんに触ったことも多分なくて。

そもそも誰かと一緒に住んだこともない自分が、そんな未知の結婚生活とどう向き合っていくのか、その時点で少し怖かったのかもしれない。

でも2ヶ月一緒に住んでみて、すごく楽しいし、今日赤ちゃん見たら可愛いし、自分の子だったらもっと可愛いんだろうな、と思って。


分かる気がした。

そう、これは、彼と私の、長い長いマリッジブルーだったのだ。

付き合い始める時に、私が「結婚を考えてない人とは付き合わない」と断言したので、彼は「結婚を前提に」と応じてくれた。

逆に彼はそれで、重くのしかかるプレッシャーを感じてしまっていたのだろう。

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時は流れて


そして今、我が家は4人家族になった。

真面目で慎重派の息子と、兄と同等の扱いを求める、大胆不敵な娘。

夫はそれはそれは子どもたちを可愛がり、本人の心配とは裏腹に、良い父になってくれた。


そんなわけで、最初の質問、パートナーに言われて一番嬉しい言葉は?の、私の答えはこちら。


「この子たちを産んでくれてありがとう」


これは4半期に1回ずつくらい、夫が私に言ってくれる言葉だ。

シチュエーションはもれなく、こども達が寝静まった寝室。

スマホを見ていた夫が視線を子どもたちに移し、じっと見つめる。

「かわいいねぇ」

「宝物だねぇ」

そして、「この子たちを産んでくれてありがとう」


この言葉は、彼が子ども達を愛おしく思っていること、彼がいま幸せであること、私の過去10年での最も賞賛すべき偉業「出産」を褒めたたえるという、なんとも素敵な言葉なのである。

私はそれを聞くと嬉しいと同時に、なんだか恥ずかしくもなり、スマホ片手に「いいってことよ」という謎の返しをいつもしてしまう。

そして静かに思う。

「この人と、結婚して良かったなあ」と。


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※ この記事は2024年12月06日に再公開された記事です。

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