少し前のこと。
いつもと何も変りない朝、学校に向かう息子を玄関で「いってらっしゃい」と見送りました。
そして私はいつもどおり仕事に行きました。
夕方、職場に一本の電話がかかってきました。
電話に出た同僚が「大変です!すぐに電話に出てください。救急隊から電話です!」と大きな声で叫んでおり、ふと顔をあげると私の方を向いているのです。
電話に出ると「〇〇救急隊です。△△さんのお母さんですか?お名前をお願いします」と言われました。
冷静に名前を答える一方で、頭の中は何があったのか不安でその時間がとても長く感じたことを覚えています。
救急隊からは息子を病院に搬送しているため、すぐに病院へ向かってほしいと言われました。
電話で息子の状況を確認し、足のケガであること、命に別状はないこと、意識がしっかりしていることがわかりました。
すこしほっとして、病院に向かう準備をしていたときに、携帯電話をみると息子から2度の着信が入っていました。
ケガをして私に助けを求めていたのに、電話に出ることができなかったことに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
病院に着くと息子はストレッチャーの上で横になっており、足はあらぬ方向に向いていました。
このとき、足のケガの程度が思った以上に重症であることに気づきました。
そして息子の横には2人の友達が付き添ってくれていました。
私に連絡がつかないことや動くことができなかったことから、友達の判断で救急車を呼んでくれたことを知りました。
息子の友達には本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。
息子のピンチでも仕事を後回しできない。シングルマザーの壁を感じたとき
14,508 View息子は高校1年生。私を説得して始めた念願のスケートボードで大ケガをしてしまいました。高校生になってからは私と話す機会も少なくなってきていたのですが、この大ケガを機に親子の絆が深まりました。
職場に突然電話!息子が救急車で搬送!?
退院後の課題
息子の足は骨折しており、手術が必要でした。
入院中は新型ウイルスの感染防止のために面会制限がかかっており、息子に会うことはできませんでした。
病院に行くのは差し入れや洗濯物を取りに行くのみ。
息子の顔を見たい気持ちもありましたが、やむを得ない状況なので、私は通常通り仕事をこなしていました。
その後、無事に退院。
一安心したのもつかの間、退院後は大きな課題がひとつありました。
それは高校への通学手段です。
ケガをするまでは自転車で通学していたのですが、自転車はもちろんバスに乗ることや長時間立っていることもできない状況。
私が車で送迎する以外、方法はありませんでした。
私は正社員で働くシングルマザーです。
息子の送迎をするためには、時短勤務をお願いするしか方法はありませんでした。
時短勤務になるとお給料が減ってしまう可能性も。
私1人の収入で家計を支えているので、お給料が減るのは正直なところ厳しい。
しかし、いま何を大切にすべきかを考えた結果、時短勤務を申し出ることを決意したのです。
時短勤務の相談をした結果
職場はギリギリの人数で働いています。
一人でも休むと、その他の社員やパートさんに大きな負担がかかってしまいます。
それがわかっているだけに、時短勤務を申し出ることはとても心苦しかったです。
それでも、私は何のために働いているのか、誰のために働いているのか、いま自分がすべきことを何なのかを改めて考え、意を決し上司に相談しました。
しかし、すぐにOKをもらうことはできませんでした。
母親である私以外、息子の送迎ができないことを再度伝え、必ず仕事の期日は守ることを提示し、了承を得ることができました。
短縮される時間について、有給で処理するかどうかは企業によって異なります。
私の職場では有給で処理した前例がなく、今回は減給となりました。
それでも時短勤務を認めてもらえたことで、息子の送迎に関する不安はなくなり、ほっとした気持ちのほうが大きかったです。
息子の言葉とパックジュース
退院した息子は「どうやって学校に通えばいい?」と聞いてきました。
きっと息子は、本当に自分はどうやって学校に通えばいいのかと不安だったと思います。
「時短勤務にしてもらったから心配しなくていいよ。車で送迎するから」と伝えると息子は黙ったまま、じっと一点を見つめていました。
「ごめん。給料も減るんやろ?会社でなんか言われたりしてない?」と私を気遣ってくれました。
「大丈夫!気にせんでいいから!そんなん大したことではない」
と伝えると、息子はテレビを見ながら
「ほんとごめん。ありがとう。すぐに病院に来てくれて心強かったわ」
と恥ずかしそうに言ってくれたのです。
高校生になってから以前よりも親子の会話が減ってきて、友達と過ごす時間が長くなっていた最近。
ケガを機に親子の時間が増え、改めて絆が深まったような気がしました。
息子は病院から帰ってくるとすぐに、スケートボードを触っていました。
「怖いからもうしない?」と聞く私に息子は「そんなわけないやん。するよ。そんなことで好きなことあきらめるんやったら、俺、おかんの子どもじゃないやろ」と笑っていました。
ケガはもうしてほしくないなと思う反面、好きなことに打ち込む息子を今後も支えていきたいなと思いました。
そして、息子はとても友達に恵まれているなと感じると同時に、友達には感謝してもしきれない思いでいっぱいです。
息子自身も、友達の大切さを強く感じたようです。
毎日送迎をする私に、息子は自分のお小遣いの中から紙パックのジュースを買ってくれ、そこにはいつも一言メッセージが書いてあります。
今、このジュースと息子の「ありがとう」の言葉が、私の元気の源です。
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