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公開 2021年07月04日  

「ママと一緒に生まれたかった」に思わず涙。子に”死生観”どう教える?

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「命」や「死」などのカタチのないものを子どもに教えるのって、難しいですよね。突然そんな話題になった時、皆さんならどんなふうに教えますか?


何気ない会話から「命」を考える話題へ


我が家の場合、「命」について、どう伝えたらいいのか?と悩む出来事が、思いがけない形でやってきました。

発端は、息子が「ぼくが何歳の時にママは何歳」ということをよく聞くようになったこと。

算数の授業で大きな数を習ったためのようです。


「ぼくが40歳の時は、ママは何歳?」

「70歳だよ。その時には、ママはもうおばあちゃんだね!」

「えー!」

シワシワのママを想像したのか、息子、楽しそう……。


「じゃあ、ぼくが97歳の時、ママは何歳?」

「ママは127歳だね。ちょっと生きてないかなぁ~」

すると、とつぜん息子の顔色が変わったのです。


「ママ、死んじゃうの!?」とビックリした様子。

数字の話をしていたつもりの私も、ちょっと焦ります!

大人にとっては「そりゃそうだよ!」という感じですが、子どもからすればショックなことを言ってしまい、しまった!と思いました。



どうやって子どもに説明する?


そういえば……

サンタさんの話はこう言おう、性教育なら絵本の力を借りよう、など「答えに困りそうなことを聞かれた時の対応」は、何となく頭の中にありましたが、大事な命の話は、私の脳内リストにありませんでした。


返事に困っている私に、息子はさらに、「ママが死んだら、また赤ちゃんからやり直すの?」と言い出しました。

輪廻転生をテーマにした絵本を読んだことがあるので、その影響でしょう。


その絵本では、亡くなった人は船に乗って空に行き、また赤ちゃんになって生まれてくるという流れでした。

パパやママの若い頃の話を聞きたがる時も、「それって、ぼくがまだお空にいた時?」という言い方をします。

現在のところ、息子の死のイメージが「空へ行く」ということであれば、遠くに行くという点では間違っていないかもしれません。

今回はそのイメージを踏襲しつつ、不安がらせないような言い方をしようと思いました。


「いつかは死んじゃうけど、時々、様子を見に来るよ。ずっとお空にいたら退屈だからね」

私が、至って普通のことのようにそう言うと、息子は納得したような、していないような表情。

この答え方で良かったのか、悪かったのか…うーん……。


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息子の突然の告白「ママと生まれてきたかった」


それから数日後。

息子が突然、ポツンとこういいました。

「ぼく、ママと一緒に生まれてきたかったな」

「…?ママと双子ってこと?」

はじめ、その意味が分からなかったのですが、息子は続けて、「そしたらずっと一緒にいられるでしょ?」


ここで初めて気づきました!

先日した話が、まだ続いていたのだと。


息子は、ママと離れてしまうんだということ、そして、どうしたらそれが避けられるのか、ずっとずっと考えていたようなのです。


「そしたら、ママと親子ではなくなるよ。ママと同い年になるけど、いいの?」

「いいよ。ずっと一緒にいたいもん」


…じーーーーん……

これには驚き、思わず少し泣いてしまいました。


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普段意識しない、大事な話。少しずつ伝えていこう


ずっと一緒にいたい、と言ってくれたこと。

親子という関係じゃなくてもいいよ、と言ってくれたこと。


……でも、「命」というものを息子なりに一生懸命考えて、理解しようとして、それが永遠には続かないことも、きっと分かっていること。


息子の気持ちや成長ぶりに、感激したり寂しく思ったり……。


いつかは離れていくであろう息子ですが、こんなふうに言ってくれたことは、忘れないようにしたいと思いました。

また、こんなふうに思ってくれている今を大事にしないといけないなと改めて気づくきっかけになりました。

今回のことで、生と死を考えることは、つまり今という時間を大切にすることなんだなと、教えられたのです。


我が家は実家が遠方にあり、お墓参りも年に1回行けるかどうか。

今の時代は、親が意識しないと、命のことを考える機会がなかなか持てないかもしれません。

子どもの死生観ですから、これからまた変わることもあるでしょうが、私も意識して、少しずつ、色んなことを息子と話せたらなと思います。


※ この記事は2024年10月31日に再公開された記事です。

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