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公開 2020年12月04日  

夫に「助けて」がうまく言えなかった産後の私。ピンチを救ったのは、まさかの…!?

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思い出深い育児エピソード、これは私と夫の産後の物語です。


産後の記憶


「産後ってどんな感じだった?」

「産後?大変だった!それはもう大変で、えっとね、……大変だったよ!」

妊娠中の従姉妹に聞かれて全然参考にならない返答をしてしまった。

改めて考えてみると産後は「とにかく眠い」、「あちこち痛い」、「休みがない」。

もちろん個人差はあるのだが、この3つが我が子が生まれたその日から、1年以上続く場合もある。

あと私の場合、前髪がゴソっと抜けて、その後新しい髪が頭皮に対し垂直に生えてきて、常にスーパーサイヤ人みたいになってしまった。

髪の毛が言うことを聞かなくて、毎日が天下”分け目”の戦い。だった。


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イメージと現実のギャップ


そんなわけで産前産後で感じる「思ってたんと違う」ことは色々ある。

けれども、衝撃の事実ランキングTOP3に入るであろうこと―それは、授乳時の乳首の痛さ。

入院中、助産師さんが部屋に来て、授乳指導をしてくれたのだが、思わず聞いてしまった。

「……うちの子、もう歯生えてます?」

それくらい痛かったのだ。


さて、里帰り出産をした私は、実家で母の助けを借りてなんとか産後1ヶ月を乗り切った。

夫は毎週土日に新幹線に乗って会いに来てくれ、ミルクをあげたり、沐浴したり。

オムツ替えだってマスターした。

そして1ヶ月検診を終え、元の家に帰ることとなった。

始まる3人だけの生活。

夫は私の作る朝食を食べ、朝出かけて夜10時過ぎにクタクタになって帰宅する。

夫が帰ると、私は息子を夫にパスし、夫のご飯を用意。

夫がご飯を食べている間は、息子が私の元へ戻ってくる。

そんな感じで、家族3人でいる間、私はいつでも家事か育児か、そのどちらかしかしていなかった。


……いいなあ。

ご飯をゆっくり食べられていいなあ。

お風呂に一人でゆっくり入れていいなあ。

口にこそ出さないが、そう思ってしまっている私がいた。

私の作るご飯を待っている人はいるけれど、私のご飯を作ってくれる母はもういない。

おむつ替え中の「わ、おしりふき足りない!」の一言で、新しいおしりふきをシャッ!と手裏剣のように投げてくれる母は、この部屋にはいないのだ。

授乳(痛い)、オムツ、抱っこ、寝ない、オムツ、授乳(痛い)、寝ない、抱っこ、オムツ、オムツ……とにかくこの作業がずっと続いていく。

その合間に家事をしないといけない。

産前に想像していたより、超ハードモード。

それに加えて、この時のわが家は2ヶ月後に海外転勤を控えていた。

段ボールを組み立てて、荷物を仕分けて、来週にはほぼ発送を完了しないといけないのである。(白目)

生まれ育った実家が転勤族だったので、私はかなり引っ越し慣れしており、余裕余裕~!と思っていたのだけれど。

妊娠中の自分に叫びたい。

子どもが生まれると、変わるから。

産前と生活、ものすごく変わるんだからー!!


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きっかけは、ヤギ!?


当時から7年近く経とうとしているのだが、今もこれを書きながらウッと胸の詰まる思いがする。

ツラかったなぁ、というのが率直な感想。

そして私はこの1週間後くらいに、寝不足や疲れが溜まりに溜まって、我が家に語り継がれる産後の大爆発を起こしてしまう。

ある日こんなニュースを目にしたのだ。


”とある牧場で飼育されている、父ヤギからお乳が!?”

 乳離れをさせようと、子ヤギを母ヤギから離し、父ヤギと夜を過ごすことに。
 すると母を恋しがる子ヤギの鳴き声に反応したのか、父ヤギからお乳が出たのです!
 前代未聞の現象、専門家が原因究メェ~に向け調査中です!


な、なんと!?

お父さんヤギさん!あなたって人(?)は……!!

その夜、私は帰宅した夫に、思わずこう詰め寄ってしまった。

「父ヤギでも授乳しようと思うのに、あなたにはそういう気持ちはないのか!?」


これはもうだいぶ、キている。

夫に「落ち着いて、落ち着いて」となだめられ、「ちょっとそれは現実的には無理だから、その、俺はどうしたらいいのかな!?」

そのど正論な言葉に、ハッとした。


走りながら、私が出した答え


言うまでもなく、私のSOSの出し方はとんちんかんで、自分の状態がなんだかマズイことは夫に伝わったのだが、その先が明確でなかった。

母である私は24時間、赤ちゃんの世話をしているわけであって、メキメキと育児のスキルアップをしていく。

一方、夫は仕事があるのであって、私との育児スキルの差は否応なしに大きくなってしまう。

にもかかわらず、「父乳(?)を出す努力をして」という謎の詰め寄り方をしてしまった。

もちろん、私は本当に夫に父乳を出して欲しかったわけではない。

このツラさを、大変さを、痛みを共有し、共感し、ねぎらって欲しかったのである。

そんなわけで、夫のどうしたらいい?の言葉を受け、私は以下のことをお願いした。


◆ミルクは飲ませるだけではなくて、「調乳→飲ませる→哺乳瓶洗う」を全部やってほしい

◆夫が寝る前、毎日寝かしつけに挑戦する

◆「今日何してた~?」って聞かないでほしい(なんだか責められてる気がするから)


そしてその夜から夫は、寝かしつけに挑戦することになった。

腕の中で泣く息子をあやしつつ、立ったり座ったりを繰り返し試行錯誤する。

のちに夫は、いわゆる「人をダメにするソファ」と呼ばれるあの大きな塊に息子を寝かせ、絶えず揺らす、という独自の寝かしつけ法を編み出したようだった。

成功率は半分ほどだったけれど、育児に「昨日は成功したけど、今日は上手く行かない」があることを、身を以て知ってくれた。

今も我が家ではこのソファが活躍しており、夫はそれを見ると寝かしつけの日々を思い出すそうだ。(私はヤギ事件を思い出す)


産後の私にとって、寝不足の状態で「現状を打開する策」を考えるのは、なかなか大変だった。

けれども、夫婦の会話を通してそれを探り、改善点を共有することで、格段に「我々はチームだ!感」が増した実感もある。

だいぶ経年劣化の見られるこのソファも、私たち家族にとって思い出深いアイテムのひとつ。

親になったばかりの私と夫が、慣れない育児で満身創痍になりながらも手にした、一つの勲章のようなものだから。

ヤギとソファの思い出は、私にとって今もこれからも、変わらず大切なのだと思う。


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※ この記事は2024年09月18日に再公開された記事です。

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