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公開 2020年12月25日  

10年前のわたしへ「誰もほめてくれないときは自分で自分をほめて」<第5回投稿コンテスト NO.29>

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10年ぶりに出産したつきママさん。昔の自分に伝えたいことがあるそうです。



「心臓が、く…苦しい」

夫が胸を押さえてうめき声をあげる。

「うん。」

わたしは聞き飽きたそのセリフに軽く相槌をうつ。

夫は苦しみながらも、眠る娘を見つめながら、続けてこうつぶやく。

「どうしてこんなにかわいいの?オレ、つらい」

そう言って、もがき苦しむ。

これが毎日の夫の茶番劇である。

娘が産まれて半年以上経つが、このやり取りが毎日、毎日行われている。

でも、わたしは不思議とこの光景が嫌ではない。

10年前のわたしだったら、もしかしたらこの夫の茶番劇にイライラしていたかもしれない。


そう、わたしは10年前にも出産をした。

そのときは、何もわからなくて、すべてがうまくいっていない気がして、何に対してもイラついた。

夫がテレビを見て笑っているのを見るのも、不快だった。

「どうして誰もわたしの気持ちをわかってくれないんだろう」

「自分はこんなに頑張っているのに報われない」

「わたしばっかり損している」

そんなことばかり考えて育児をしていた。


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そして、今年10年ぶりに娘を出産した。

不安しかなかった高齢出産。

それが、どういうことか、今回の育児は不思議と気持ちが穏やかでいられる。

娘が寝なくても、ミルクを吐いてしまっても、上の子どもが大きな音を立てたせいで娘が起きてしまっても、夫の帰りが遅くても、ぜんぜんイラつかない。

どうしてこれほどまでに違うのだろう?

何気なく母に聞いてみると

「それは経験値の差だろう。あなたも年をとったしね。」

という答えが返ってきた。

うん確かに。

10年前とはわたしも随分と変わった。


まず“人と比べること”がどれだけ無意味かということがわかってきた。

先日、近くの保育園で園開放があり、娘を連れて遊びにいった。

同じ月齢の赤ちゃんも何人か来ていて、もうお座りをして、おもちゃで遊んでいる子もいた。

うちの娘といえば、やっと寝返りができたばかりで、わたしのそばで寝ころがっているだけ。

10年前のわたしなら、周りと比べて落ち込んでいたはずだ。

でも今のわたしは知っている。

成長に個人差があるのは当たり前。

うちの子はうちの子。

できれば、このまま成長がとまって、赤ちゃんのままでいてほしいとさえ思う。


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つぎに“見返りを求めてはいけない”ということも人生経験の中でわかってきた。

「わたしはこんなに頑張っているのに、誰も褒めてくれない」

と昔は嘆いてばかりいたが、待っていても誰も褒めてはくれないので、最近では自分で自分を褒めるようにしている。

子育ても同じ。誰も褒めてくらないのなら、自分で自分を褒めてあげればいいのだ。

「昨夜は娘の夜泣きに5回も付き合った!えらいぞ、わたし。ご褒美にこの高級チョコを買おう」

こんな風に、頑張った時のご褒美スイーツを忘れてはならない。

SNSで自分の頑張りを投稿して、みんなに褒めてもらうのもいい。

待っていても誰も褒めてくれないのなら、自分から「褒めて褒めてー」とアピールしていけばいいのだ。


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タイムマシンがあったなら、10年前のわたしにいろいろ伝授してあげたいのだが、そういうわけにもいかない。

だからこれを読んだ方で、もし子育てに毎日イライラしている方がいたら、

「まわりと比べなくていいよ。あなたはとっても頑張っているよ。」

と伝えてあげたい。

子どもが手のかかる時期はとても短い。

今この一瞬一瞬を、穏やかに娘と一緒に過ごしていきたいと思う。


さて、きょうも夫の茶番劇が繰り広げられている。

夫は胸を押さえながら「娘可愛い!可愛すぎてオレ、つらい!」

と叫んでいる。

この茶番劇には続きがあって、このあと夫はわたしに必ず、こう聞いてくる。

「オレ幸せ。ママも幸せ?」

と。


わたしは、夫と娘の寝顔をみつめながら、毎日こう答える。

「とっても幸せ。」

昨日も、きょうも、明日も。

ずーっと幸せだよ。


(ライター:つきママ)



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※ この記事は2024年11月24日に再公開された記事です。

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