きっかけは娘が2歳になったばかりの頃、パン屋での出来事だった。
地元で人気のパン屋はいつもお客で賑わっているが、その日はお天気が良いこともあって、店外のイートインスペースで席を確保するのに苦労するほどの混雑具合。
なんとか親子3人分のスペースに体をねじ込みパンを食べ始めると、「にゅうにゅうくーださい!」と娘。
パンと一緒に買った、キャラクターのプリントされた牛乳パックをよこせというのだ。
ただ、これは、単純に牛乳が飲みたいというだけでなく、大好きなキャラクターの牛乳パックを自分で持って飲みたいという、親側が少し躊躇してしまう要求が含まれている。
力加減が出来ない2歳児に200ml牛乳パックを持たせたるなんて、ダムの開放ボタンが公園に丸だしで置いてあるようなものだから。
我が家の「イヤ!」対策は、あのギャグが鉄板<第5回投稿コンテスト NO.67>
8,260 View家族で出かけたパン屋さんで、ある失敗をしてしまった、たままさんご夫婦。それをきっかけに編み出した、イヤイヤ対策です。
でも、こういう時の娘は一歩も引かない。
「ママが持ってるからどうぞ飲んでー」とストローを口に運んでも全然飲まない。
「にゅうにゅう!ちょーだいっ!」と、牛乳パックをなんとか奪おうと手を伸ばしてくる。
周りでお食事中の方々がいる手前、大声での要求を続けられては迷惑になる…。
そう考えた私は、娘に牛乳パックを渡すことにした。
ただし、ここはよく言って聞かせねば。
夫と代わる代わる、「優しく持ってね。そーっとよ。ギューっとしないよ、ギューしちゃダメよ。」
強く握るな、角をそっと持てということを、ただひたすら「ギューしないよ」と表現しつつ娘に牛乳パックを託すと、娘は大事そうに受け取り、そして慎重に飲み始めた。
やだ、上手に飲んでる。
2歳児といえども、しっかり目をみて話せば伝わるんだ…とやや感動しつつホッとした私は、貰い忘れたお手拭きを取りに店内へと向かった。
その直後、背後で「ああああああーーーーーー!!」と聞き覚えのある声が響き渡る。
振り向くと、白い噴水と、噴水を浴びている夫、ぺしゃんこになった牛乳パックを握り締め満面の笑みの娘。
「あ…」と声が出た。
と同時に、夫はいいとして周りのお客さんへの被害を食い止めねば!とダッシュで娘の元へ向かった。
幸い、白い噴水の被害は夫以外に及ばなかったものの、テンパリつつ周りのみなさんに謝罪する夫と私。
何事もなかったかのようにパンを頬張る娘の横で後始末に追われるハメになった私は、娘を叱らないように自分を納得させるため「私たちの子だからさ、押すなよ押すなよっていうダチョウ倶楽部のあれと同じで、ギューとするなよするなよって言ったからギューっとしちゃたんだわ。これ。ダチョウ的には正解だよ。」と夫に向けて呟いた。
周りの何人かのお客さんが吹き出した。
肝心な夫には聞こえてなかった。
思えば、「行くな」と言われた方向に行くし、「触るな」と言われた物に触ってきた娘。
ここで私は、「子どもは基本的にダチョウ倶楽部である」ことを痛感した。
それからというもの、極力「○○するな」という言い方を回避するようにしている。
パン屋での出来事から1年後、娘は3歳となり、トイレトレーニングを開始した。
こちらが頃合いを見てトイレに誘うのだが、必ずと言っていいほど断られる。
そして決まって、その直後に粗相をしてしまい、トレーニングはなかなか捗らずにいた。
そんな日々を繰り返していたある日、出先からの帰りの車中で「おうちに着いたらおトイレ行こうね」という私の呼びかけに、娘はいつも通り「やだ!」と被せ気味に応答した。
そこで「絶対この後お漏らしするじゃん」と言いそうになってしまった私は閃いた。
『そうだ、ダチョウ倶楽部だ!』
気持ちを切り替え、私は娘にこう言った。
「じゃあ、ママが先におトイレ行きまーす!」
私の作戦に気付いた夫が続く。
「パパが先に行きまーす!」
すると「私が行くのーーー!!」と娘。
もうお分かりでしょう。
私と夫「どうぞどうぞ!!」
こうして、娘は「私がいちばーーん」と言いながら嬉しそうにトイレに直行した。
この作戦は、トイレ以外にも色んなシーンで使える。
手洗いを嫌がるとき。
お風呂を嫌がるとき。
なかなか寝ようとしないとき。
苦手な物を食べないとき。
などなど。
そして、この作戦を実行するときは、必ず全員が笑顔になっている。
「子どもは基本、ダチョウ倶楽部」
このあるあるに気づけて本当に良かった。
ダチョウ倶楽部さんのすごさをかみしめる毎日である。
(ライター:たまま)
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